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休職者が増えた本当の理由

適応障害で休職してた社労士、きゅうまるです。



精神疾患による休職者は年々増えています。


特に最近では、「〇〇さんが休職しました」という連絡が、当たり前のように耳に入ってくる。


しかし振り返ってみると、私がまだ新入社員のころは、精神疾患で休職するという話は、ほとんど耳にしたことがありませんでした。


なぜ、ここまで増えているのでしょうか。


今回は、実際のデータをもとに、社労士としての知見と、私自身の経験から真実に迫っていきます。



傷病手当金の申請件数とメンタル疾患の割合

まず、傷病手当金の支給件数を見てみます。

出典:医療保険に関する基礎資料 ~令和4年度の医療費等の状況~ 一部抜粋
https://www.mhlw.go.jp/content/kiso_r04.pdf?utm_source=chatgpt.com

このデータは、厚生労働省が発表したもので、平成25年~令和4年までの傷病手当金の支給件数が載っています。


平成25年度にはおよそ169万件だったものが、令和4年度には約402万件にまで増えています。


10年ほどで倍以上。

凄い勢いですよね。


さらにその中で、精神疾患が占める割合にも注目すべき変化があります。

出典:全国健康保険協会 現金給付受給者状況調査報告

こちらは、傷病手当金の申請理由の内訳を表したデータです。


平成7年の段階では、全体の4.45%にすぎませんでした。


それが平成15年には10%を超え、平成25年には25%台、そして令和5年には35.20%に達しています。


つまり、今では傷病手当金を受ける人の約3人に1人が、精神疾患によるもの。


明確に右肩上がりになっています。
(※令和4年はコロナの影響で、相対的に精神疾患の割合が下がっています)


精神疾患による休職者は、確実に増加しているのです。



就労環境は確実によくなっている

一方で、働く環境そのものは確実によくなっています。


昔の仕事番組やドキュメンタリー映像を見ると、驚くほど過酷な場面が多い。


上司が怒鳴り、社員が泊まり込みで徹夜をする。

有給休暇を取ることなど到底許されなかった時代。


それが今では、長時間労働の抑制や残業時間の上限規制、ハラスメント防止法などが整い、環境は大きく変わりました。


働き方改革の影響で、労働時間・働く場所・勤務形態の柔軟性が広がり、在宅勤務や時差出勤も珍しくありません。


また、SNSの普及も大きな影響を与えています。


インスタグラムやX(旧Twitter)、YouTubeだけでなく、転職会議やOpenWorkのような口コミサイトによって、企業の実態が可視化されました。


ブラックな職場であれば、あっという間に情報が拡散されます。

(ブラックな職場な見極め方はコチラ👇)


炎上すれば採用にも影響する。


企業は「見られている」ことを前提に、労務管理を強化せざるを得なくなりました。


そして、こうした変化がコンプライアンス意識の高まりにもつながっています。

内部通報制度の整備や、研修・監査の義務化。

一昔前なら黙認されていたことが、今は通用しません。


ここまで環境が整えば、ストレスの原因は確実に減っているはず。


それでも、精神疾患による休職は増え続けています。



メンタルが弱くなったのか

この矛盾をどう捉えるか。


よく聞くのは「最近の人はメンタルが弱くなったのではないか」という意見。


これは、完全に否定はできないと感じています。


社会に出てからの労働環境が穏やかになったことで、ストレスに対する耐性が育ちにくくなった可能性があります。


また、それ以前の段階――学校や部活動などでも、昔と比べて厳しさが減りました。

体罰は禁止され、上下関係も緩やかになり、叱られる経験そのものが減っています。


それ自体は良い変化。


ただ同時に、理不尽さやプレッシャーに対する “ 免疫 ” のようなものが身につかなくなったとも言えます。


つまり、「弱くなった」という指摘には一定の現実味があります。


とはいえ環境が良くなった分、その影響は実質的にプラマイゼロに近づくと思いませんか?


しかし実際は、そうなっていません。



増えたのではなく「顕在化」した

私が感じているのは、精神疾患が「増えた」のではなく「見えるようになった」ということ。


以前は隠れていた氷山が、水面上に姿を現しただけ。


まず、社会全体でメンタルヘルスへの理解が進みました。

かつては「心の病」を口にすることすら、ためらわれました。


今は、休職制度や傷病手当金などの仕組みが整い、物理的にも休みやすい環境ができています。


また、ハラスメントに対する世間の価値観も大きく変わりました。


一方で昔は「耐えられない方が悪い」という考え方が主流。


しかし今は、「強く当たる方が悪い」「言葉の暴力もハラスメント」という意識が浸透しています。


さらに、転職が一般化したことも大きいです。


以前は、休職すればその職場でのキャリアが閉ざされるというリスクがありました。


今は、別の職場を選ぶという選択肢がある。


無理をして働き続けるより、一度休んで立て直すことが当たり前になりました。

会社は自分がいなくても回りますし。

(コチラにも書いてます👇)


結果として、「休む」という行動そのもののハードルが下がったのです。



最後に

SNSの普及によって、働く人が自分の体験を発信できるようになりました。


同じように悩む人を見つけ、情報を得て、安心できる時代です。


社会がようやく “ 心の不調 ” を正面から受け止められるようになった。


その結果、数字が増えて見えるのだと思います。


では、それを本当に「悪いこと」と言い切れるでしょうか。


私は、見えるようになったことこそが社会の成熟の証だと思います。


休職する人が減ることも大切ですが、「心の不調を隠さずに言える」ことのほうが、もっと大きな意味を持つのかもしれません。


皆さんは休職者が増えたこと、どう思いますか?


「ちょっと気になるな」と思っていただけたら、ぜひフォローしてもらえると嬉しいです。

きゅうまる

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