人間をソフトウェアが身体を備えたものとして捉えることで、より健康的な未来を築く時代が訪れる(前編)
ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)氏のポッドキャスト番組「Moonshots with Peter Diamandis」からのエピソードとして、彼とつながりの深いサーリム・イスマイル(Salim Ismail)氏との対談コンテンツを紹介します。(2025年4月22日収録)
尚、長尺のコンテンツであることから、約半分の以下サブテーマをカバーするコンテンツを前編として掲載します。ご参考下さい。
・中国のロボット技術の進歩
・AIモデルのIQ比較
・AI競争:グーグル対OpenAI
・AIとバイオテクノロジー(ベン・ラム氏とデミス・ハサビス氏)
・AIと医療と長寿と倫理
後半は、ビットコインの将来、ベンチャーキャピタルの新たな役割などがテーマとして語られており、別途掲載予定です。
1. ファイアサイド・チャット

[ピーター・ディアマンディス]
Moonshotsのエピソードへようこそ。今朝は、僕の友人サリム・イスマイルと一緒にお届けしています。
サリム、おはようございます。こちらはまだ朝早い時間ですが、テック業界では本当にたくさんのことが起きていて、今日はそれを話せるのが楽しみです。体調はいかがですか?

[サリム・イスマイル]
元気ですよ。本当にいろんなことが起きていますね。世界全体が混乱している中で、そういった騒がしさに隠れがちですが、テクノロジー業界の動きは驚くほど速いですね。
[PD]
本当にその通りです。言いたくはないのですが、やっぱり長い目で見れば、テクノロジー業界の動向の方がずっと重要だと思っています。

[SI]
間違いないですね。
[PD]
では、さっそく本題に入りましょう。僕のStrikeforceメンバーの一人、マックス・ソンが北京の会議に到着したばかりで、空港で撮った写真を送ってくれました。左側に写っているのがその写真なんですが、これは北京空港での光景です。つまり、中国はロボットとAIに本気で取り組んでいるということなんです。一方で、僕が最近通ったJFK空港では、ファッションの広告ばかりが並んでいました。この対比には重要な意味があると思っていて、中国の文化がいかにテクノロジーに前向きかがよく分かる光景でした。どう思いますか?

[SI]
まさにその通りですね。中国は今、深刻な人口減少の問題を抱えているので、労働力を自動化するためにロボットが必要不可欠なんです。今後10年から20年の間に人手が足りなくなるのは確実なので、そうせざるを得ない状況です。でも僕にとってこのスライドで面白かったのは、JFKで見たラルフ・ローレンやグッチなどの広告の皮肉さですね。そのバッグ類やバーキンバッグなんかも、結局のところ全部中国製なんですよ。そう考えると、すごく象徴的な対比ですよね。中国は今、その方向に本気で舵を切っていて、これからそれが世界中に広がっていくと思います。とても興味深い展開になっていくと思いますよ。

[PD]
そうですね。こちらではOptimus(Tesla)とかFigure(Figure AI)、Digit(Agility Robotics)、Apollo(Apptronik)、X1(Unitree)といったロボットの話題をよく耳にしますが、中国でも同じくらい、もしかするとそれ以上の数のロボットが開発されています。なぜなら、中国政府がこの分野の開発を本気で支援しているからです。これからその成果が目に見える形で現れてくると思います。
[SI]
前回か前々回のエピソードで、Google Wingを紹介しましたよね。ドローンで物を届けられるという話でしたけど、あのときはみんな、すごい!って盛り上がったんです。ところが、中国にいる知り合いから「それ、私たちは何年も前からやってますけど?」というメッセージが来たんですよ。こっちは、「えっ、そうなの?」って感じで、驚きましたね。
[PD]
そうですね、未来はもう始まっているんですが、それが均等に行き渡っているわけではないんですよね。
さて、今日もうひとつご紹介したいのがこちらです。音声でお聞きの方のためにご説明すると、これは最新のAIモデルのIQテストの結果を示したグラフです。人間のIQの分布を左端がIQ50、右端がIQ160の超天才まで表示しています。ご存じの通り、平均的な人間のIQは100と定義されています。この数年間で、大規模言語モデルのIQもこのスケール上でどんどん上がってきました。およそ18か月前に、最初にIQ101に到達したのがClaude 3でした。その後、GPT o1がたしか120に到達したと思います。そして今回の分布を見ると、OpenAIのo3モデルがIQ133程度でトップを走っていて、それに続くのがGemini 2.5でIQ127くらいです。これはかなりすごいことだと思います。どう思いますか?

[SI]
このスペクトルを見ると、本当に人間の知能分布とよく似ていると感じますよね。右側にも左側にも少数がいて、大半は真ん中に集中しています。もちろん大きな違いは、AIはどんどん右側、つまり高い知能の方向へ進化し続けるのに対して、人間はだいたい真ん中にとどまったままという点です。しかも私たちは、小さな頭蓋に収まった1リットルから1.5リットルほどの脳で、さまざまな時代遅れの課題を処理しているわけですからね。
[PD]
本当にそうですね。まるで小さなエンジンを積んだフィアットのようですよね。それに関連して、このo3モデルはこのグラフ上ではIQ133あたりに位置しています。もちろんこれは厳密な数値ではないですが、かなり正確な指標といえるでしょう。ちなみに、メンサの入会基準ってIQ140くらいでしたよね?
[SI]
ええ、メンサの基準はIQ140で、それが天才の水準とされていますね。たしか、アインシュタインのIQは160だったって話です。ここでいつものように僕のコメントを挟ませてもらうと、こうしたIQの進化は素晴らしいんですが、もっと他の知能の測定方法についても考えていけると思うんです。たとえば、意思決定能力、感情的知性、スピリチュアルな知性などですね。これらも非常に重要な指標だと思います。このグラフについては他にもコメントがあるので、また後でお話ししますが、IQテストはあくまでひとつの指標に過ぎません。ただし、この進化で「自宅に天才がいる」ようになるのは本当にすごいことですよね。普通、IQ140クラスの人と会話しようとすると、彼らはあまりに頭が良すぎて、こちらがバカに見えてしまったり、社交的に扱いづらいことが多いんですが。でもAIなら、そういう社会的な面もトレーニングできるので、とても扱いやすくなる。そこが僕にとって一番ワクワクするポイントです。
[PD]
そうですね。そして、あなたがさっき言っていた大事なポイントのひとつが、「人工的な限界がない」という点です。つまり、AIのIQが高くなればなるほど、その進化は止まらずに続いていくんです。そして、ある時点を越えると、メンサのIQスコアのような基準自体が意味を持たなくなってくると思います。AIがIQ200、500、1000といったレベルに達したとき、一体それが何を意味するのか、もう想像もつきません。
[SI]
本当ですよね。IQ160のAIが2体いたら、合わせてIQ320になるのかって、ぜひ本人たちに聞いてみたいところです。
[PD]
では、次のスライドに進みましょう。よく聞かれる質問のひとつに、「AI競争で誰がリードしているのか?」というものがあります。これに対して、答えはふたつあると思っています。まず現時点では、ほとんどすべての指標においてGoogleのGemini 2.5が優勢です。ここに私がまとめたスライドがありまして、AI Analysis Intelligence Indexを見ても、各モデルは非常に拮抗していますが、やはりGemini 2.5が一歩リードしています。トークン出力量、入力と出力のコスト、そして特に面白いのが「Humanity’s Last Exam」と呼ばれる推論と知識に関する試験のスコアです。これは会話型AIにとって非常に興味深い指標だと思います。あなたはどう思いますか?

[SI]
いや、本当に人間ってこういう分野では苦戦してもおかしくないんですよね。というのも、人類が何世紀にもわたって積み重ねてきた科学的探究の知識って、本当に膨大なデータ量なんです。僕も以前、出身校のウォータールー大学でランダムに選ばれた12の博士論文のタイトルを見たんですが、半分くらいは、そもそも何の分野かすら分からなかったくらい専門的でした。そんな膨大で細かい知識に、AIが即座にアクセスできるというのは本当に驚異的です。これによって、どんな質問にも答えられるようになりますし、近い将来、まさにジャーヴィス的なパーソナルAIが私たちのそばにいるような世界がやってくるんだと思います。
[PD]
「Humanity’s Last Exam」の中身を見ると、本当にほぼランダムに近い質問が並んでいます。量子物理学、考古学、生物学といったさまざまな分野からの出題で、まさに後から悪夢に出てきそうな、あのタイプの試験なんですよね。
[SI]
本当ですよね。もしかしたら、あの時落とした熱力学の試験に今なら合格できるかもしれません。信じられませんね。
[PD]
いまだに夢に見ますよ。「あの授業を取り忘れていて、期末試験が迫っている!」みたいなシチュエーション。
[SI]
ひとつエピソードを挟ませてください。あのとき受けた試験のひとつで、3時間の試験だったんですが、問題文はたったこれだけでした。「高度Aの軌道上にある衛星が地球を周回していて、その下には北から南へ流れる川がある。地球の自転の影響で、川の片側の水位がもう片側よりもわずかに高くなっている。どちらの岸が高いか、そしてその差はどれくらいかを求めなさい」。たった2行しか書いていない試験問題だったので、「あれ?ページが抜けてるんじゃないか?」と思って裏返したんです。でも、それが全てでした。そこからは自分で仮定を立てて、衛星の軌道から流体力学や地球の自転をもとに三角関係を導き出すという、本当に頭をフル回転させる内容でした。
[PD]
いまだにあの試験の悪夢を見ますよ。
[SI]
本当にあれは最悪の試験でした。もう二度とあんな経験はしたくないですね。だからこそ、AIが隣に座っていて、「はい、これ解いといて。あとで答え教えてね」って言える世界が必要なんですよね。

[PD]
では、ここでいったんまとめましょう。現時点では、パフォーマンスの指標で見るとGoogleのGemini 2.5が圧倒的に優位です。ただし、別の指標である「ビジネス面」、つまり収益の面ではどうでしょうか。
[SI]
そうですね。
[PD]
そこでは、OpenAIが他社を圧倒しています。

[SI]
本当に、OpenAIには信じられないほどの敬意を払うべきだと思います。まったく新しいカテゴリーをゼロから作り上げ、それを民主化して多くの人に開放したわけですからね。そして、これだけの収益を上げているという事実も、驚異的です。これはどんなスタートアップの創業者にとっても、非常に心強い証拠になると思います。「GoogleやMicrosoft、Metaといった大手がひしめく分野で、自分も何かを成し遂げられるのか?」という問いに対して、OpenAIは、可能だと証明してくれました。これはまさに初心者の心、創業者マインドの強さの象徴だと思います。だからこそ、これからの時代、スタートアップこそが最も優れたアイデアを生み出し、それを世の中に広めていく最良の手段になるのだと、私は強く感じています。
[PD]
ここで質問させてください。この件については、僕から伝えたいことがふたつあります。ひとつ目は、覚えている方もいるかもしれませんが、もともとAIの分野ではGoogleが他を大きくリードしていたという点です。でもGoogleは、安全性の懸念から、それをインターネット上で一般公開することを選ばなかったんですよね。つまり、AIはしっかりとコントロールされるべきだという、暗黙の了解のようなものがあったわけです。その一方で、OpenAIは一気にその技術を世に出し、Googleはその後を追う形になったわけです。そこでお聞きしたいのが、この状況が「ファーストムーバー・アドバンテージ」の影響によるものなのかどうかという点です。
そしてふたつ目は、スティーブン・コトラーとの共著の中で僕も書いた内容なのですが、いわゆる「ユーザーインターフェース・モメント」についてです。つまり、あるソフトウェアが複雑な技術を誰でも使えるようにしてしまう、その瞬間のことです。最初の例として僕が挙げたのはMosaicでした。マーク・アンドリーセンがMosaicというブラウザをARPANETの上にのせたことで、一気にウェブサイトの数が爆発的に増えました。そして今、ChatGPTはGPTモデルの上にのった、まさにそのユーザーインターフェース・モメントを象徴する存在だと思っています。
[SI]
まさにその通りだと思います。いわゆる、欺瞞的な成長から破壊的な成長へと移る転換点、つまり使いやすさのインフレクション・ポイントの話ですね。僕がよく例に挙げるのは、iPhoneがスマートフォンを本当に使いやすいものにした瞬間です。それ以前のノキアの携帯などは、かなり不格好でしたね。もうひとつは、Coinbaseがビットコインの購入をボタンひとつでできるようにしたことで、一気に市場が拡大したことです。複雑な技術を、いかにシンプルに使えるようにするか。これは本当に難しい課題です。たとえばNFTを買う場合、まだまだ手続きが煩雑で、一般の人にはハードルが高いままです。だから主流化しないんですよね。
技術の中で一番難しいのは、ごく自然にシンプルに見せることなんです。僕がYahooで製品デザインをしていた頃の話ですが、グラフィックデザイナーたちは、ほんの少しピクセルを動かすかどうかに何時間もかけて議論していました。当時は、「そこまで重要?」と思っていましたが、実は大きな影響があるんです。ひとつエピソードをご紹介すると、Yahooメールのホーム画面で「送信」ボタンを5ピクセル右に動かしただけで、利用率が急激に落ちたんです。
[PD]
えっ、本当ですか?
[SI]
本当なんですよ。ちゃんとデータもありました。だから、このインターフェースは絶対に変えられないって話になったんです。というのも、ユーザーは「送信」ボタンがそこにあることに慣れていて、そこをクリックした後すぐ別の画面に移動するんですよね。自分では送信されたと思っているのに、実は送信されていなくて、あとで気づいて怒るわけです。つまり、一度そのボタンの位置がユーザーの心理に根付いてしまうと、もう動かせないんです。これって、本当に不思議な心理的な現象ですよね。だからこそ、まったく新しいモデルが必要になる。OpenAIのような新規参入者が、それを打ち破る存在になれるんです。
これは何度も見てきた現象です。電気自動車もそうでした。テスラが電気自動車を開発し、それを一般化させたのであって、大手自動車メーカーではなかった。その理由は、大手は、車にセンサーをつけたものとしてEVを見ていたのに対し、テスラは、ソフトウェアに車輪をつけたものとして捉えていたからです。
[PD]
今表示しているこのチャートは、2024年12月末時点のもので、ここにはOpenAIがこの4か月間で達成した驚異的な成長はまだ反映されていません。それでも、OpenAIの売上はおよそ25億ドルに達しており、Geminiはその5分の1以下の約5億ドル未満です。そしてAnthropicはさらにその下。この状況は、検索エンジンの分野でGoogleとBingの間に見られた構図を思い出させますよね。私たち人間って、一度何かを選ぶと、それをずっと使い続ける傾向があって、乗り換えるコストが非常に高く感じられるんです。

[SI]
そうですよね。Googleが独占状態だと指摘されたとき、エリック・シュミットは「検索エンジンは他にも5つあるし、ユーザーは1クリックで離れてしまう可能性がある。我々は常に最先端にいなければならない」と主張していました。そして、OpenAIが素晴らしいのは、常に新機能をリリースし、製品の改良を非常に早いサイクルで続けている点です。最近発表された「メモリ機能」なんかも、本当に面白いですよね。
[PD]
ええ、非常に興味深いです。OpenAIのシステムでは、基本的に無限のメモリがあり、過去の会話をすべて記憶してくれるんですよね。ちょっと面白いのが、ChatGPTのo3モデルに「私について教えて」と聞いてみることです。本当にやってみると面白いですよ。Grokでも同じようなことを試してみたんですが、Grokは「あなたのことは知りません」と返してきたんです。でも、「いや、知ってるでしょ?」って返すと、「あなたのX(旧Twitter)の投稿を見る許可が必要です」と言われました。意外でしたね、Grokはそういう制約がないかと思っていたんですが、ちゃんとプライバシーの保護をしていたということです。
[PD]
さて、次のトピックに進みましょう。今、Google、あるいはアルファベットがDeepMindを通じてリードしている大きな領域のひとつが、AIが医学や生物学に与える影響です。最近、「60 Minutes」で、デミス・ハサビス氏――今はナイトの称号を受けて、「サー・デミス・ハサビス」あるいは「ドクター・ハサビス」ですが、インタビューを受けていて、AIが病気に与える影響や、それによって、病気を終わらせる未来、さらには、豊かさの大爆発へとつながる可能性について語っていました。個人的には、「豊かさ(abundance)」という言葉が、いよいよ主流のテーマとして語られるようになってきたことがとても嬉しいです。CBSのインタビュー、観ましたか?
[SI]
観ましたよ。そしてあの内容は、これまで私たちが話してきたことと完全に一致していると思いました。以前は、人間の健康を測る指標といえば、心拍数、血圧、血糖値くらいのものでしたよね。でも今では、ウェアラブル機器を通じて、実に40種類以上ものデータストリームが取れるようになっています。たとえば、コヒーレント・ステートや最大酸素摂取量(VO2 Max)なども測定できるようになっていて、そのすべてをAIに流し込めば、医療との相関を見つけることができるんです。これによって、リアルタイムで医師よりもはるかに正確に判断できるAIドクターが、あなたのそば、いや中に存在するようになるわけです。
これは、早期発見がすべてと言っても過言ではないような慢性疾患において、本当に革命的です。そしてさらに、CRISPRのような技術と組み合わせれば、これまで考えられなかったような治療方法まで実現できる可能性がある。先週のベン・ラムとの対談も、まさにその点が強烈に印象に残っています。彼らがやっていることは、DNAやゲノム、細胞の編集など、生物を完全にハックするための基礎的なツール群を構築しているんです。つまり、約50兆の細胞から成り、それぞれの細胞がDNAによって制御されている人間の体を、ソフトウェアエンジニアリングの問題として扱おうとしているわけです。これはまさに巨大なパラダイムシフトです。

[PD]
ちなみに、今お聴きの皆さんで、セリームと私がベン・ラム(Colossal社CEO)と行ったインタビューをまだお聴きでない方がいたら、ぜひチェックしてみてください。本当に素晴らしい内容でした。
ダイアウルフの復活といった話も出ましたが、実はそれは話のほんの一部でしかなくて、合成生物学や生態系への影響、絶滅種の復活に必要な要素、さらには「恐竜を復活させるにはどうすればいいか?」といった話題まで、幅広く展開しています。とても楽しい内容になっているので、ぜひお聴きください。
[SI]
ちなみに、ネタバレをひとつ言うと、恐竜は絶対に復活できないということが分かったのが個人的にはとても面白かったです。
[PD]
でも、恐竜をシミュレーションすることはできますよね。
[SI]
ええ、恐竜を「シミュレートする」ことはできますね。
[PD]
そうですね。たとえばニワトリや現存する爬虫類に、恐竜が持っていた特徴の遺伝子を加えることで、新しい形の恐竜のようなものを作ることができるわけです。つまり、オリジナルのDNAから恐竜を復活させるわけではないけれど、新しい種をデザインするという発想は、とても魅力的ですよね。まさに「ヌーボー恐竜」という感じです。

[SI]
私たちはすでに、これと似たことを昔からやってきていますよね。それを交配と呼んできたわけです。犬や猫、馬などを何千年もかけて交配し、欲しい特徴を持つ個体を選択してきました。ただ今は、それがフィルム写真からデジタル写真への進化のように、ソフトウェア上でできるようになったということなんです。そして、無理な交配で生まれる突然変異種やその後の対応に悩む必要もない。
その中で、私が本当に感銘を受けたのは、Colossal社がすべてのプロジェクトにおいて倫理チームを設けているという点です。哲学者やバイオサイエンスの専門家から成る倫理チームが、各プロジェクトの道徳的・倫理的な側面をきちんと検証しているんです。これは非常に深い意義があると思いますし、同社が明確なMTP(変革的使命)を掲げていて、その中に倫理観を組み込んでいるという事実は、本当に素晴らしいと感じました。こうした倫理観の導入は、AIの世界にもぜひ取り入れていくべきだと思います。
[PD]
ではここで、デミス・ハサビス氏の映像をひとつご紹介します。彼は本当に素晴らしい人物で、実は今週、彼に会う予定です。Time 100アワードに出席するのですが、そこで1億ドル規模の「マスク・カーボンXプライズ」の受賞者が発表されます。今月のTime誌の表紙にもデミスが登場していて、彼もその場に来る予定です。再会を楽しみにしています。
では、病気をこの10年で根絶するという彼のコメントを含むインタビューを、ぜひご覧ください。
今は、ひとつの新薬を開発するのに10年もの歳月と莫大な費用がかかっています。でも、それを数年ではなく、数か月、もしかしたら数週間にまで短縮できるかもしれません。今の感覚では信じがたいことかもしれませんが、かつてタンパク質の構造解析も同じように不可能だと思われていた時代がありました。AIの助けを借りれば、人類の健康に革命が起きると思います。そして、いつかすべての病気を治せる日が来るかもしれません。

病気の終焉ですね。

ええ、それはもう手が届くところまで来ていると思います。おそらく、次の10年のうちには実現できるのではないでしょうか。できない理由が見当たりません。

[PD]
実は今週、このテーマに関するブログを出したばかりなんです。タイトルは、「私は常に、寿命延伸やスケープ・ベロシティ(逃避速度)について語ることで批判を受けるけれど、それは確実にやってくる。だから、今やるべきことは、あと10年健康で生き延びることだ」という内容でした。
[SI]
そう。バスにはねられたりしないようにね。
[PD]
ええ、何にもぶつからないように気をつけてください。そして、その中で引用したのが、今回のデミスのコメントであり、またAnthropicのCEOであるダリオの発言でもあります。彼は3か月ほど前、ダボス会議の場で「人間の寿命を今後5〜10年で2倍にできる可能性がある」と語っていたんです。これは単に私たちの知能が高まったという話ではなく、私たちが手にしたツールの進化、つまりAIの力で私たちは自分たちの体に何が起きているのかを理解できるようになってきているということなんです。
[SI]
この話には、必ず倫理的な反発も伴いますよね。なぜなら、これまで地球上のすべての人間、すべての生物が死を迎えてきたわけです。ある意味で、私たちは、死ぬために生まれてきているような存在であり、そのプロセスを通じて種として進化してきたんです。
でも今、そのサイクルを突破しようとしている。そして人々は、それに対して「いや、それはちょっと……」という反応を見せますよね。でもこれって、ベン・ラムとのバイオサイエンスや絶滅種復活の話とも共通する部分があって、要は、選択肢を持てるようになるということなんです。
実は僕も、最初にシンギュラリティや寿命延伸の話に触れたとき、「それって道徳的にどうなんだろう?」と悩んだ時期がありました。でも、あなたがこう言ってくれたことで腑に落ちたんです。「できる限り長く健康でいるということを望まない人がいるでしょうか?」と。
その瞬間に、すべてがつながりました。今では、そのためのツールが現実的に存在するようになっていて、誰もがより長く、より健康的な人生を送りたいと望む時代に変わってきているんです。

(以上、前編)
2. オリジナル・コンテンツ
オリジナル・コンテンツは、以下リンクからご覧になれます。
尚、本投稿の内容は、参考訳です。また、意訳や省略、情報を補足したコンテンツを含んでいます。
Peter H. Diamandis
(Original Published Data : 2025/04/29 EST)
[出演者]
ピーター・ディアマンディス(Peter H. Diamandis)
サリム・イスマイル(Salim Ismail)
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