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2026年2月 西安旅行-3

2026年2月19日(木)

驼铃传奇 秀

この日の午前中は舞台を観に行くことになった。昨日の兵馬俑のガイドさんが「西安らしくて良いミュージカルがある、自分を通して買えば割引が効くので気が向いたら連絡してくれ」と言ってくれていたのだった。紹介動画を見てみると、本物のラクダや狼が出てきてなかなか派手な演出があり、見応えがありそうだった。チケットも本来7000円くらいのところ5000円くらいになるということで、なかなかの割引率だと思った。妻の希望もあり、この日の午前中に観劇することにしたのだった。西安には有名な「长恨歌」という舞台があるが、今回我々が観に行ったのは「驼铃传奇 秀」という舞台だった。ざっくりあらすじを書くと、シルクロードの起点たる西安から交易にために旅立った男たちが、苦難を乗り越えてローマに向かい、そして愛する家族の元に帰る...といった内容である。

開場してすぐに入場、席についた時点で開演10分前だった。なかなか忙しないスケジュール感だったが、その10分の隙間さえも逃さないのが中国流。皆の前に出てきたおじさんが今年の干支の馬にちなんだだいぶデカい書を販売し始めたのだった。「誰が買うねん」と思っていたらそこそこ売れていたので驚いた。サクラみたいな人達も多少いるだろうと邪推するけれど、それでも10枚くらいは売れていたと思う。

そして舞台が始まる。デカいスクリーンに一番最初に映し出されたのは、まさかの習近平国家主席の言葉だった。どうやら陝西省出身の彼(初めて知った)はシルクロードに特別な想いがあるとのことだった。初っ端から意外な展開に少しウケてしまった。

舞台そのものは非常に見事な舞台効果に溢れていた。島式の観客席(座席は同じ方向を向いている)の周囲をぐるりと巨大なステージが囲っており、そのステージが5か6つに区切られている、という作りだった。場面転換のたびに島式観客席がまるごと数十度くらい回転し、隣のステージが見えるようになる。本物のラクダと狼が出てきたり、とんでもない水量の滝が出てきたり、演出のインパクトは凄まじいものがあった。その他、中国語+韓国語/英語の字幕ディスプレイも用意されていて親切だった。60分の限られた時間で舞台演出も非常に凝っているので、ストーリーはちょっと物足りない印象だった。(そう思って妻の方に目をやると、彼女は泣いていた。僕の感性が死んでいるだけかもしれない。)

チケットの写真くらいしか撮ってなかった
帰りのシャトルバスの運転席に起爆札を発見

老回坊麻辣烫(大皮院店)

観劇の後再び中心部に戻って、回民街に繰り出した。この日の昼食はYouTubeで観たローカルな麻辣烫屋さんだった。ここが非常に良い店で、おばちゃんが優しいし安くて美味しかった。セルフサービスで勝手に棚から串に刺さった食材を持ってきて鍋に投入して、最後に串の本数を数えて会計してくれる形式。(上海でよく見るタイプの麻辣烫屋さんは食材の重さを計って会計した後、キッチンで煮込んで提供してくれるし、スープもこんなに火鍋っぽくない) 芝麻酱ベースのつけダレも濃いめだけど美味しかった。2人で食べて87元、安いと思った。

ローカルな佇まい
火鍋みたいなスープ
葉物も串に刺さっている

その後、これも名物らしい花奶奶酸梅汤という酸梅汤屋さんに行ってみた。ここでは酸梅汤と醪糟(澄んだ飲みやすい甘酒)を注文した。僕は乌梅の効いた、煙っぽい酸梅汤が好きで、このお店はなかなか良かった。妻はどっちかというともっとライトなのが好みらしい。

西安城墙

夕方になって西安城墙を見に行った。これは明代に作られた城壁のことだ。「城」という漢字をみると日本人は天守閣を思い浮かべることが多いと思うが、中国では都市そのものを指す意味合いで使われることが多い。この西安城墙も、かつての長安の街をぐるりと囲うように建てられている。この文章では初めて触れるが、初日にもタクシーで街に入る時に潜っている。

定番は南側の永宁门から城壁の上に登るのだが、いざ行ってみたら入れなかった。春節向けの装飾がされているためこの門だけは特殊なチケットを買う必要があるらしく、既に売り切れているようだった。これを受けて急遽北の安远门の予約を取り、地下鉄に飛び乗って向かった。

事前調査を怠った自分を呪ったものの、日没の前に安远门に到着することができた。入場ゲートを潜ると、まず門の中の広場のようなスペースに入る。ここは四方を高い壁に囲まれていて、無骨ながらかっこいい空間だった。「うわぁ三國無双っぽい空間...」という浅い感想を持ったが、それっぽい撮影をしているおじさんも居たので大きく外れた感覚ではないようだ。城壁に登ると、余裕を持って自動車どうしが対向できる幅を持った道になっていた。実際ここを自動車で走ることはできない(と思う)のだが、代わりに城壁専用のレンタサイクルがそれなりの数走っていた。周囲に目をやると、城壁の外には高層マンションが何棟も建っていたが、内側にはそれほど高い建物が無いことに気づいた。やっぱり少し京都に似た場所だな、と思った。この場所は、中国の有名観光地にしては人が多くなくて非常に居心地が良かった。赤橙色をした西の空が徐々に暗い青色に追われるのを眺めていると、いつのまにか赤色の灯りがともっていた。中国の観光地にしては控えめなライトアップがよく映える、素敵な場所だった。

真・三國無双で見たことある感じの景色
人が少なくて良い...
(画面右側が城壁外で、高層マンションが多い)
外から城壁を眺めると、中国でよくある縁取りのライトアップになっている

永兴坊(永興坊)

城壁を降りて、そのまま市バスで飲食店が集まる観光地、永兴坊に向かった。ここに来た目的は、摔碗酒という酒のためだった。陶器の小さな盃に注がれた酒を飲み干し、その器を地面に投げつけ叩き割る...という伝統文化があるらしい。混雑した永兴坊に足を踏み入れて真っ先に摔碗酒の場所へ向かった。この種のアトラクションにしては珍しく、意外と混んでおらず、すぐに順番が回ってきた。挑戦者(?)はスクリーンでライブ中継されており、アナウンサーみたいなおっちゃんの掛け声に合わせて酒(甘めの米酒だった)を飲み干し、盃を投げつける。いかにも中華なテイストの銅鑼を鳴らしてくれるのも楽しい。楽しかったけど、儚さを感じるくらい一瞬で終わってしまった。あんまり並ばないのも頷ける回転の良さだった。

華やかな場所だった
摔碗酒、楽しい


その後は、永兴坊の中で色々と食べ歩いた。まずは西安名物の肉夹馍。馍と呼ばれるパンみたいなにコンビーフが挟まった中華ハンバーガーみたいな料理だった。一緒に入っていた青椒の香りが効いていて美味しかった。(画像ではわかりにくいが)具が大量に入っていて、食べながら歩いてたら知らないお姉さんに「それ具めっちゃ多いね!」と話しかけられた。

肉夹馍を作る屋台
具、めちゃくちゃ多い


あとはこれも西安名物の凉皮。冷やしたモチモチの麺に辛いタレが絡んだ料理だ。店には「明星凉皮」つまりは「大スターの凉皮」と掲げられていた。店頭に立っているコロコロチキチキペッパーズのナダルみたいな顔の店主が、注文ついでにいろいろ話しかけてくれた。しきりに「熱いタイプのやつが美味いよ!」と勧めてくれたのだが、それを固辞して冷たい凉皮を注文した。店内の席につくと、壁にさっきのナダルみたいな店主を紹介するパネルがあった。どうやら凉皮哥(凉皮の兄ちゃん)としてたまにテレビに出て歌を歌っているらしい。明星凉皮の看板にも合点がいってスッキリした。凉皮の味はそこそこだった。

明星たる凉皮哥の等身大パネル
凉皮、味はそこそこだった


ちなみに、この店でついでに売っていた手作りっぽいスナック菓子を翌日用の非常食として購入した。薯片(ポテチ)と書いてあるのに味は絶対にポテトではなくコーンスナックだった。謎すぎる。

その他、構内の屋台で羊肉串と小さめの淡水魚の揚げ物も食べた。どれもこの種の観光地にしてはそこそこ美味しかった。何より雰囲気が楽しいので、永兴坊は少なくとも大唐不夜城よりも断然オススメだと思った。

𰻝の石

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