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第3回:「違う」はこわくない。「好き」を持ち寄る効用

同じ言葉を使っているのに、なぜか通じない。
違う価値観にイラッとしたり、逆にホッとしたりする瞬間。
そして、誰かの「好き」に触れて、少し世界が広がること。

風土醸成のヒントって、案外そんな“ちいさな違和感”のなかにあるのかもしれません。

今回は、「話が通じないとき、どうしてる?」「“好き”って語っていいの?」を語り合いました。

皿洗い、好き?

ミクニ:わたしは経費精算とか伝票作成とか、事務処理が本当に苦手なんですよ。「やれば終わる」とわかっていても、終わった状態が明確すぎて情熱が持てなくて。といっても、ミスが多すぎて自分のことが嫌になるという理由がいちばんですが(笑)。

そんな自分を観察していると、わたしは「どこに向かうかわからない」「答えがない」ことが楽しいんだなって、年を取ってきて思うようになりました。

ウエムラ:そっか~。 わたしはたまにやりたくなるんだよね、事務処理。わたしにとっては気分転換。ずっと答えのない仕事をやってると、果てしなくてくらくらしちゃって。事務処理は答えもあるし、終わりがあるから、すごくすっきりする。事務処理がすきなわけでは、けしてないです。そればっかやってたら飽きて「つまんない!」てなる(笑)。

室長:面白いね。うちの父、皿洗いが好きでさ。「汚れていたものがきれいになって、なくなるのが最高に気持ちいい」って、ウエムラさんの事務処理と同じだね。

ウエムラ:まさに。

ミクニ:わたしは、皿は食洗器に洗ってもらって、床はお掃除ロボットに掃除してもらって、そのあいだ自分の好きなことをしたいんです。たとえ皿を洗ったほうが食洗器に入れる時間よりも早く終わるとしても!(笑)。

室長:わかる! わたしもミクニちゃんと同じで、使えるものは使いたい。
先が見えないこと、答えがわからないものをずっとやってるのがいいってところも同じ。

それいでいくと、ウエムラさんの仕事のモチベーションは何?

ウエムラ:うーん。今やってる仕事でいうと「誰かがわたしに語ってくれた言葉を、きちんと届けること」かなあ。そもそも、その人の来し方というか、生きてきた話を聞くのが好きなんですよ。で、インタビューで「おもしろい!」「すごくいい!」と思ったことを形にして世に出すのが、話を聞かせてくれた人への恩返しというか。それだけですね。

従業員ロングインタビュー「東急ライフストーリー」
人の数だけキャリアがある、というテーマで
多様なバックグラウンドを持つみなさんのお話を伺っています

室長:それが届いた先でどうなってほしい、とかじゃないのか~。でも、それを読んだ人の気持ちとか行動が変わる、は確実にあると思う。

わたしは、ほんとにマーケティングとか営業が好きで。施策を打った後にお客さんの動きが変わるのがほんとに面白いんだよね。人事に来てからも、室内のメンバーがちょっとずつ変わっていくのを感じられて、やっぱり楽しいね。人の成長や変化を間近で見られるのが、今のわたしの「好き」。

ミクニ:それ、すごく風土の話に通じる気がします。行動の変化って、派手じゃないけど確実に空気を変えていきますよね。

室長:なるほどね〜。個人の「好き」が、周囲の行動や組織全体の空気感にも影響を与える。

見ている景色が違うのは当たり前。大事なのはそこにリスペクトがあるか


ミクニ:
こうやってそれぞれの「好き」を持ち寄ると、意外な違いに気づかされますね。同じチームにいるのに、こんなに見てるものが違うんだって。

ウエムラ:うん。それでも、わたしはこのチームはうまく回ってるなと思う。こんなわたしといっしょに仕事してくれてありがとう(笑)。
同じ日本語を使ってるのに、「言葉が通じない」って感じることも多々あるからさ。その点、このチームではそれがなくてありがたい。

ミクニ:ウエムラさんの、まさにその「言葉が通じない」場面を先日見かけました(笑)。

ウエムラ:わはは。そんなとき、いつも助けてくれてありがとう。
陽キャの室長でも、そんなことあります?  苦手な人とかいなさそう。

室長:もちろんあるよ~。鈍感力もあるほうだと思うけど(笑)。例えば、勇気を出して発言したことを「みんなそんなふうに思ってないよ」って言われて……ああ、分かり合えないって一瞬思ったり。

でも、「お互いに違う景色がある」ことを前提に、尊重して、程よい距離感で仕事するのがいいと思ってる。どちらが正しいじゃなくて、両方の景色に意味があるから。

「仕事で幸福感を感じるのはどんなとき?」
室長と従業員がとことん語り合う「マキ個の部屋」。
この回のゲストはSHIBUYA109エンタテイメントの石川社長

ミクニ:それでいうと、わたしとウエムラさんって、タイプも価値観も違うと思うんです。でも一緒にやれてるのは、お互いにリスペクトがあるからだと。ですよね?(笑)

ウエムラ:それだ~。少なくともわたしはミクニさんのこと、めっちゃリスペクトしてる(笑)。それはもしかしたら、真逆だから、かもしれない。「そこは、わたしにはないあなたの強みだから」と安心して任せられるのがいい。

「好き」こそが、組織の多様な風土を織りなす糸になる


ミクニ:大人になると、仕事中はなにかと「好き」より「得意かどうか」で選びがちじゃないですか。でも最近は、自分の「好き」の中に、ちゃんと役割や強み、組織貢献の可能性が隠されていると思えるようになってきた気がします。

室長:うんうん。そうだね。ちゃんと伝えると、まわりも理解してくれるし、うまく分担できたり、新しい役割が生まれたりする。それぞれの「好き」を認め合うことで、チーム全体の可能性も広がると思うよ。

ウエムラ:価値観が違っても、「この人はこういうことを大切にしているんだな」ってわかれば、関わり方も自然と変わるし。

ミクニ:そうですね。あらためて、「好き」って風土を語る入口になるんだな。個人の内側から湧き出る「好き」こそが、組織の多様な風土を織りなす糸になるのかもしれません。

室長:第1回で「風土は行動の積み重ね」と話したけれど、その行動の根源にあるのは、やっぱり一人ひとりの「好き」なんだろうね。その「好き」が、日々の業務や人との関わり方、ひいては組織全体の「空気」を少しずつ変えていく。

ミクニ:そう考えると、わたしたち風土醸成チームの活動も、ただイベントを企画したり記事を書いたりしているだけでなく、それぞれの「好き」を可視化し、共有する場を提供しているという側面もある、と捉えられますね。

ウエムラ:うんうん。風土の可視化は「好き」の可視化かあ。

そういえばさ、わたしたち、めっちゃニッチなとこで「好き」がいっしょだよね。

ミクニ:そうでした!! 

室長:なになに?

ウエムラ:われらがBunkamura、シアターコクーンの芸術監督である松尾スズキさんです!

ウエムラ:わたしとミクニさんは2020年の同じ日に中途で入社したんですけど、それよりもはるか昔、ふたりとも松尾さんのやってた有料メルマガ(松尾スズキの【のっぴきならない日常】)の読者だったことが発覚したんですよ。

ミクニ:わたしはそこに読者のお悩み相談を投稿して採用されたこともあります。松尾スズキさんに回答してもらったんですよ、幸せですよね。

室長:へ~! 職場でそんな人と出会えるのはよいねえ。あなたたちは「違って」いるけれど、仕事じゃない「好き」のところで共通言語があるのね~。

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