ヨコタ博物館・春の常設展示1
半年ぶりのヨコタ博物館
ヨコタ博物館は、半年前の『秋の朗読&コンサート』イベント以来です。ここは私設博物館であり、有志によって地域の文化交流の場として愛されている博物館……そのあたりは、先の記事を御参照いただくとして……今日はそんな地域イベントの一つ、博物館マルシェが開催されていました。自分はほとんど展示にかぶりついていたので、少し覗いただけでしたが、ご家族でいらしてるお客様がお店の方と談笑していたり、小規模ながら穏やかな空気の良いイベントでした。
民族衣装の展示室

半年もたつと、常設展示室の展示物の入れ替わりも多く、引き続き展示されている品物も、場所などがかなり違っています。今までは読み取れなかったことも、なんとなく見えてきます。第一展示室は、主に民族衣装や手回り品の常設展示をしています。
ヤオ族(ミェン族)
タイ北部の山岳地帯に住む山岳民族。「ヤオ族」は漢民族の言葉で野蛮人を意味するので、自分たちは「ミェン」と称しているとのこと。
山岳民族の中でもっとも手先が器用できれい好きと言われています。刺繍意外に銀細工も得意としています。ヤオ族(ミェン族)の人たちは、もともと自分たちの文字を持たず、女性たちは、文字の代わりに、伝統的な衣装や刺繍の文様を娘たちに伝えていきました。

細かい文様が全部刺繍。藍染の濃い色合いのせいか、妙に存在感があって、布本来の厚みよりも厚く感じる。
銀のパイプは、細い方は何かメルヘン絵本の挿絵に出てきそう。太い方は、ヒョウタンか何かを模しているのかな?

赤いポンポンが特徴なのだそうだ。この帽子をかぶった子供をおんぶした女性の写真がかかっていた。その女性の衣装にも、首飾りのように赤いポンポンの紐が首から下げられていたけど、同じものだろうか? 赤いポンポンには、子供の成長にまつわる、何か意味があるのかな?
メオ族(モン族)
やはり中国南部を起源とし、タイには19世紀半ばにラオス経由で移住してきた山岳民族。
「ミャオ」または「メオ」は蔑称であり、自らは、空に一番近い民族である「空の民」を意味する「モン(Hmong)」を名乗っています。
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顔つきは、日本人と、とてもよく似ています。モン族の文化には、餅つき、こま回し、羽根つき、納豆、甘酒など、日本と同じものがたくさんあります。

アップリケでこんな細かい文様が作れるの? 「モン族の伝統的なアップリケは、普通のアップリケとは逆に、縫ってから布を切り取る『リバースアップリケ』という技法で作られる」なんて解説もあったけど、今一つピンとこない。
四つの渦巻の文様、グルグルの方向が隣同士で逆なんだ? こういうの「卍」みたいに、全部同じ方向に巻くのが定番かと思ってた……

仏画のようにも見えるけれど、中国の皇帝みたいでもある。服装も清国みたいだし、鳳凰や竜がいるからなおさら。 信仰そのものは山岳信仰でも、絵にする上では、中華風にならざるを得なかったのかな?
独立自尊の気風が強いことで知られ、宗教、世界観などにも伝統的な文化を保持しています。
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モン族は長い間、山の自然に宿る精霊を信じ、山の斜面に焼畑で米やとうもろこしを作り、山の中で、自然とともに、山とともに生活していました。

こちらは青不動っぽいけど、やっぱりちょっと違う。お付きの二人が武官っぽいのは良いとしても、持ってるのが斧だったり、背中に羽が生えてたり。何とか自分たちの信仰にふさわしいものにしようと、色々苦労している感じがする。

タイでは白モン族(モン・ダオ)、青モン族(モン・ジュア)の2グループに別れ、民族衣装、言語、習慣がやや異なります。
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青モン族のみがロウケツ染めの技術を持っております。文様を描くにあたり、パティック・ペンを持ち、手前に引きながら線を描いていきます。X型、杉綾型の組み合わせ文様となり、曲線は引けません。
ファンタジーものの漫画やラノベには、白エルフと黒エルフなんてのが出て来るけれど、現実にそんな分かれ方をしている民族がいるとは知らなかった。それにしても細かいなあ。ライフゲームの画面かと思った……

ヒダになってるからよく分からないけど、紺の部分にはビッチリと、ロウケツ染めの細かい文様が入ってる。外周には刺繍と、パッチワーク。モン族の装飾、全部込みのスカート。形からして、プリーツスカートっていうレベルじゃない……広げたらまん丸になるのは、サーキュラースカートって言うんじゃなかったっけ? 1950年代のロックンロールのダンスシーンで、たっぷりのペチコートで膨らませて、クルクル回るアレだ。どんな着こなしをしていたんだろう? 全然想像つかない……
ティン族
ティン族はラオスやタイをしょっちゅう移動する移民で、現在も両国に分布しています。出稼ぎをしたり、特製の塩漬けや民芸品で生計を立てています。
あんまり、博物館の展示解説で「しょっちゅう」という言葉は使われない……以前もツッコミましたっけコレ? その時はまだまだ、手書きのキャプションも多かったけど、今回は見ませんでした。だいぶ洗練してきたようです。だけど、やっぱりこういう、収集した個人の趣味と経験が伝わってくる感覚というのは、大切に持ち続けて欲しい……

高床式の家を建て、村人はトウモロコシを栽培したり、竹でニワトリのかごを編んだりして、生計を立てています。昔から森、水、田畑などの魂や先祖の霊を信じています。衣装や織物に華やかさはないが、落ち着きのある洗練された美しさがあります。
本当に、東北地方の民藝と言われたら信じちゃいそうな、朴訥さというか、手仕事の味わいというか。布は刺繍なのに絣や紬みたいでもあるし、竹の籠も、単純な色分けだけど丁寧な仕事に見入ってしまう。

ただやっぱり、白いタカラガイやビーズが使われているのを見ると、東北地方の民藝と決定的に違うと思う……だけど妙にしっくり馴染んでいる。これなら、南方の海のタカラガイを、山国である東北の民藝に合わせるのもアリなのかな? なんて、新しいアレンジが思い浮かんだりもするのです。
アカ族
チベットからタイへ、1911年に移ってきた民族。高地に住むためか、「アカ」には「川から遠く離れる」という意味があるとのこと。
父系制で祖霊崇拝を重視し、共通の祖先から始まって代々父親の名の一部をとって子供に命名していく「父子連名法」により、各自が50代以上にわたる祖先の系譜を暗誦しています。
アラブ人も「自分の名・父の名・祖父の名」という命名をするそうだけど、50代も遡れるとはスゴイなあ。父系が強いにしては、女性の衣装もなかなかキレイなんだけど。

一本取りの刺繍とたくさんの飾りボタン。色糸の房もたくさん。サイズから、女性の衣装だと思うんだけど……仕事はできそうにないので、何かの晴れ着なのかな? それに比べると、紡錘車はやたら単純だ。クルクル回して糸を撚る道具のはずだけど、こんなに軽そうでいいのかしら。それとも、自分が想像してるような使い方じゃないのかな?

アカ族はアニミズム(あらゆる物に精霊が宿るという考え方)を深く信仰する民族と知られ、変わった習慣を多く持つ民族です。精霊が人を幸福にも不幸にもすると考え、精霊をなだめるために現代でも儀式や生贄をおこなっています。
銀で飾られ非常に重い、しかし帽子を脱ぐと、頭から悪霊が入り込むという、アニミズム信仰から、1日中かぶったまま就寝時も畑仕事のときも取らない。その兜の種類によって、アカ族の種族を見分けることができる。
ここでもタカラガイが登場している。今まで、他の民族の衣装にもタカラガイがついていたけど、あれは単なる装飾じゃなくて、護符の意味もあったのかな? 山の民にとって貴重品であろうタカラガイが護符になるのは、なんとなくわかる。コインが一緒にくっついているのは、貨幣つながりで、やっぱり護符なのかな? コインを御守りにしたり、願いを込めてお賽銭にすることを考えると、なんとなく理解できる感覚。

ビーズでびっしりの飾り帯。貝? 石? 木の実? 素材が何なのか、小さくてよく分からない……似たような玉は、ここまでの展示品でもよく出て来たから、そんなに希少なモノではないと思うんだけど……こんな小さな玉に、一つ一つ穴をあけているとしたら、大した手間だなあ。
ラフ族
ラフとは火で虎(ラ)の肉を焼く(フ)という意味。
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狩猟採集民族としての文化を色濃く残しており、正確の温和さとホスピタリティの豊かさは山岳民族の中でも際立っている。ラフ族の家庭は血縁関係のある親戚同士が1世帯を形成しており、一般的には6~7家族、大きいものになると20~30家族になる。
性格とかホスピタリティとかは、実際に訪れた故横田館長の実感だろう。こういう風に端々にあふれ出す、現地への愛情や思い入れが、本当に素敵。

もう少なくなったけど、こういう手書きの表示から来る、地元の歴史資料館みたいな雰囲気からも、第二の故郷のように思っていたのかなあ……なんて、故横田館長の気持ちが想像されて、とても良い。
展示物も、なんとなく日本のモノっぽい。だけどよく見ると、色々と違う……馬の背にかけるアーチ型の部分、こんな風に木の棒を曲げる加工、日本にあった? 首にかけるところも、こんな木の塊だった? 自分が知らないだけ? 籠もよく見ると竹じゃないっぽい……考えて見れば、タイの山岳部に竹は生えて無かったかも……弁当箱も、フタのところが麻の葉模様っぽくて、ちょっとドキッとしたけど、こんな茶筒型の弁当箱って、日本にはないよなあ。日本のご飯は、縦長の容器だと食べにくそうだ。
ラフ族は山岳民族の中で唯一男女平等の社会を持っている民族。遺産相続も、息子と嫁に平等に分けられる。夫は結婚した後、5年から10年妻の家で暮らす決まりがあり、基本的に離婚は社会的に許されないことで、離婚する場合は罰金を払う制度がある。
何をもって「男女平等」とするかは、色々と意見が分かれるところでしょうが……ラフ族が男女平等というより、他の民族での女性の扱いが、日本人から見ると、少々心苦しいものだったのかもしれない。
この部屋には、首長族の真鍮の輪の展示もあった。
女性の手足や首に真鍮の輪を嵌めていく風習は、おそらくは逃亡防止のためだろう……そんな内容の解説があり、持ち上げてその重さを実感できるように、女性が全身に着ける真鍮の輪と、同じ重さの重りが置いてあった。
こういう、現地の文化を何もかも全肯定するわけではない、そんなスタンスも、個人の想いを引き継ぐミュージアムだからこそできる事かもしれない。

それはそうと、このラフ族の女性の晴れ着、ジオン軍みたいで、すっげぇカッコイイぞ!
リス族
リス族はビルマ、タイ北部に居住する山岳民族。山岳民族の中でも美男美女を輩出する種族として有名である。
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女性の民族衣装はカラフルで、特に新年祭のときには重厚な銀のアクセサリーを身につけて踊る。クラン(氏族集団)ごとに蜜蜂、山猫、魚など独自のトーテムをもち、同一クラン内での婚姻はタブーとされている。
「美男美女を輩出する種族」っていうのも、あんまり博物館では出てこないセリフだと思います。周囲からそう評価されているってことなのかな?

リス族がビジュ良いという評判は「民族衣装が鮮やかであることもその理由の一つ」なのだそうで……確かにコレはオシャレだ。民族衣装という単語にこのカラーリングは、なかなか結び付かない。ラフ族がジオン軍なら、リス族はエウーゴかしら。ZもZZも良く知らないのだけど。

どうやって、こんなに鮮やかでクッキリしたカラーリングにしているのかな、とよく見たら、この細い線も細かい部分も、染め分けや刺繍じゃなくて、完全に別の布で作っている。そりゃ、クッキリするわけですね……
第二展示室へ
第一展示室は民族衣装でしたが、第二展示室はやきものです。世界遺産のバンチェン遺跡が、発見されてすぐの出土品は、日本でいえば三内丸山遺跡の頃のもの。そんな古代の品から、後に秀吉の時代、日本の茶室でも「宋胡禄」と呼ばれて珍重された、スワンカローク陶器まで。
