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偽りの数字と私の「幸せの位置」第三弾【新生・家族の絆編】最終話:私の「幸せの位置」

現在、私は夫に内緒で、真逆とも言えるこの執筆作業に真剣に向き合っている。
時々、ふと不安になるのだ。こんな個人的な経験をnoteに世界に発信していいのだろうか。「映画化」なんて、大それた夢を見すぎではないか、と。夫に見つかったら、真面目な彼のことだから絶対に大反対されるに決まっている。
だけど、私の人生のテーマは「何にでも挑戦すること」だった。だから、この挑戦もやめない。

今の私は、暮らしのなかの小さな実験(趣味)をいくつも楽しんでいる。
毎朝の朝活、そして手帳を開く時間。最近は「自宅のダイエット(ゴミダイエット)」に夢中だ。ゴミ袋ひとつを2キロと計算し、この2ヶ月でなんと50キロもの不要なものを家から減らすことができた。目標は400キロ。家も、心も、すっきりと整えていきたい。

さらに、英会話アプリでの勉強も始めた。簡単な英語を話せるようになりたいし、英語で歌えるようになりたいから。
先日、東京駅で外国人に声をかけられた時は、パニックになって「アイ・ドント・ノー、ソーリー!」としか言えなかった。まだまだ始めたばかりの挑戦だけど、毎日10分、少しずつ続けることを自分に課している。

老後のための趣味は、今から始める。老後になったら突然趣味が見つかるわけではないからだ。
この手帳は、もし将来、夫が私より先に旅立ってしまったときの、私の心の拠り所になると思っている。だからこそ、今の幸せなこと、苦労していること、すべてをこのページに書き残し続ける。

旅先では、夫婦でたくさんの写真を撮るようになった。
「外から見て、自分たちの佇まいが客観的にどう見えるかを確認したい」と言う夫。対する私は、ただただ「夫と仲が良い今の時間」を証拠として残したいだけだ。写真のなかの私は、いつも子どもみたいに弾けた笑顔をしている。

先日の東京観光のときもそうだった。
「お前な、さっきの喫茶店の窓から丸見えだったぞ。おじさんとおばさんがはしゃいで自撮り写真撮ってるの、恥ずかしいだろ」
夫はいつも周囲の目を気にして眉をひそめる。だけど、私は夫と顔を近づけて写真をとることが嬉しくてたまらないのだから、他人の目なんて本当にどうでもよかった。

私たちは今、この瞬間を思いっきり生きている。

東京で、久しぶりに息子を交えて三人で食事をしたときのこと。
「俺、今は〇〇企業について調べてるんだ。ちゃんと準備もしてるよ」
息子は、私にはよく分からない難しい社会やビジネスの話を、夫と対等に交わしていた。
息子が席を外したとき、夫がしみじみと呟いた。
「あいつ、落ち着いてきたな。髪型もすごくいい感じになってる」
内面だけでなく、見た目の清潔感や第一印象も大切にする夫らしい褒め言葉だった。私は、そんな風に背中を預け合える二人の男たちのことが、好きすぎてたまらなくなる。


翌日は、二人でスカイツリーに登った。
地上350メートルの展望台。東京湾を行き交う船がまるで玩具のように海に浮き、眼下に広がる巨大な建造物のひとつひとつが、私の小指の爪よりも小さく見える高さ。
見下ろす圧倒的な景色に圧倒されている私に、夫はぽつりと言った。

「お前は今、この位置にいるんだぞ」

私は地方から出てきた田舎者だけど、その言葉を聞いた瞬間、この350メートルの高さこそが、今の私の「幸せの位置」なのだと体の奥底で噛み締めていた。涙が出そうなくらい、幸せだった。
夫はどうして、こんなにも私の心を救う言葉を、絶妙なタイミングでくれるのだろう。本当に尊敬してしまう。
これまでの人生で、「愛してる」とか「好きだ」なんて甘い言葉は一度も言われたことがない。だけど、「お前は今、この位置にいる」という夫のあの言葉は、私のこれからの人生を支える一生の宝物になった。

展望台のショップで、『ソラカラちゃん』のキーホルダーが目に留まった。
……あ、これ、自宅にある。
随分前、私の母が東京土産に買ってきてくれたものだ。あの時、私は母にちゃんとお礼を言えただろうか。母もかつて、この美しい景色を見上げて、私を想ってこれを買ってくれたのだ。
自宅に帰ってから引き出しを探すと、あのキーホルダーが懐かしい姿で出てきた。私はそれを、大切なアイデアを書き留める手帳のリングへと繋いだ。

実は、私のnoteのアイコン写真は、あのスカイツリーからの景色だ。
この果てしない広がりこそが、私の「幸せの位置」。
スカイツリーには、たくさんの外国人がいた。地震が起きても絶対に倒れない、世界に誇る日本の技術。私がかつて20代の頃、海外から誇らしく見上げていた「輝かしい日本」の力が、今も目の前に、シンメトリーの圧倒的な美しさとして存在していた。その最高の場所で、私は夫から一生ものの言葉をもらったのだ。

帰りの新宿駅のホーム。
溢れかえるような、たくさんのスーツ姿の社会人たちが、一様に疲れた顔をして立っていた。この国を、東京を支えている名もなき人々。
息子も数年後には、この群衆のどこかで、同じように戦う社会人になるのだろうか。
そんな感傷に浸っていると、またしても隣の夫が言った。

「お前は今、この駅にいる誰よりも幸せだぞ」

夫にとっては、何気なく口にした無意識の言葉だったのかもしれない。
けれど、私は心の中で静かに答えた。
──うん。私、本当に幸せだよ。こんなにたくさんの人がいる中で、間違いなく私が一番、幸せ者だ。

仕事があること。
健康であること。
家族がみんな、健やかに前を向いていること。
500万円を失ったあのどん底の夜には、すべてを失ったと思い込んでいたけれど、私は今、人生で一番の富を手に入れている。

この執筆作業は、今も夫には内緒のままだ。やっぱり、怒られそうだから。
だけど、もし本当にこの物語が映画化されたその時は、特等席のチケットを渡して、最高のサプライズとして打ち明けようと思う。

それまでは、有料記事のままでいい。
もし誰にも読まれなかったとしても構わない。これは、私が私自身の人生を心から愛し、大切に抱きしめるための、世界にたったひとつの名作なのだから。
(完)



※プライバシー保護のため、一部の設定や数字を変更(フィクション化)して記述しています。

『SNS詐欺で500万失った主婦が、家族の崩壊と再生の果てに映画化を目指す話』、これにて完結となります。

最初は、誰にも言えない恥と絶望を吐き出すために始めた場所でした。
だけど、言葉を紡ぐうちに、私は失ったお金以上の「本当の宝物」に気づくことができました。

ここまで一緒に伴走し、私の大切な「名作」を読み届けてくださったあなたへ。あなたの存在が、私の挑戦を支える大きな光でした。本当に、本当にありがとうございました。

私の映画化への旅路は、ここからが本番です。
またいつか、劇場のスクリーンの前で、あるいは新しい物語のページでお会いしましょう!

サキ

(もしこの物語があなたの心に届きましたら、最後に「スキ(ハートマーク)」や、SNSでのシェアで応援していただけると、私の夢への大きな一歩になります!)


(作者より、大切な読者のあなたへ)
本文の最後で「有料記事のままでいい」と書きましたが、今回、この物語を『創作大賞2026』という大きな挑戦の舞台へ送り出すにあたり、たくさんの方や審査員の方々に最後までこのドラマを見届けていただきたいと思い、応募期間中は【全編無料】で公開することに決めました。

夫に内緒のまま、一人でスマホに向き合っていたあの夜の私の決意は、今こうして無料という形で、あなたへと繋がっています。最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。

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