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アラスカでオーロラ見るだけで人生変わったらどうしてくれるんだ

【はじめに】
アラスカに興味がある人、人生で1度は
オーロラを見てみたい人、海外に行って
みたい人、そして、僕と同じく"なにか"を
変えたいと思っている人。
そんな人のために書きました。

走るオーロラが、夜空を見上げた視界の全てを
覆った。

数時間後、ここはフェアバンクス、
パイクスウォーターフロントロッジの
321号室。
そこで僕は涙目になるのを堪えていた。

その横で妻は日本からの荷物に大量に詰めた
期限切れ間近の非常用保存食ふたつにお湯を注ぐ。
アルファ米の田舎ご飯の出来上がりを待つ間、
部屋の椅子を窓の外に向け、座ってみる。

アラスカの澄みきった空の青。
針葉樹の黒い影の間から真横に差す太陽の強い白。
その光のエスカレーターの周りに漂う優しく柔らかいオレンジ。

凍ったチェナ川の上に積もっている塩のような
パウダースノーは、澄んだ青とオレンジを吸い、
太陽の白によってシャラシャラと反射し、
水色とも、いや、はたまた肌色とも見える白色になっている。

「白って200色ある」ってこういうことなのかなぁ

なんて考えながら、窓の外を眺め、出来上がった田舎ご飯を自然に頬張る演技に意識を集中させる。



2025年1月1日の13時頃、
フェアバンクスは昼間にも夕方にも見える。




隣にいる妻は僕の涙目には全く気付いていない。

今でもこの涙は、どの感情を指すのかよく分からない。

涙目の後ろ姿

そんな男の涙目など気にすることなく、
フェアバンクスの空気は切れ味鋭い冷たさを
まとい、厳しく吹き荒んでいた。
チェナ川のパウダースノーが美しく舞う。
綺麗なものはだいたい冷たい。
「身を切るような寒さ」とは本当によく言った
ものだ。最初に表現した人はきっと天才だ。

アンカレッジからフェアバンクスに到着したのは
3日前の2024年12月29日の夜、今年もあと
48時間ほどだ。
街や宿にはクリスマスの香りがしっかりと
残っている、というかクリスマスツリーや
装飾がそのままだ。

フェアバンクスの宿の受付の隣、
無料コーヒーが飲める

アンカレッジ国際空港から宿までの送迎サービスの
車中で妻に、
「アメリカ的な盆と正月ってやつ?」
という学が無いこと丸出しのうえ、
面白くもない小ボケを繰り出すのを喉仏の辺りで
とどめる。
いけない、これ以上バカな人だと思われるわけ
にはいかない。メンツも何も無くなってしまう。

個人的にも日本のクリスマスから年末年始の
浮き足立っている雰囲気は好きだから良し
としよう。
多分、みんな好きだと思う。

休みがカレンダー通りの人に限るか。

アメリカ合衆国アラスカ州第三の街、
フェアバンクスはオーロラが見える街として
有名で、シーズンになると世界中から多くの
観光客が訪れるらしい。

州最大の街アンカレッジから1時間ほどのフライトで
フェアバンクスに到着する

パイクスウォータフロントロッジは、
チェナ川のほとりにある。
フェアバンクス国際空港から送迎の車で
3分程の距離だ。

パイクスウォーターフロントロッジの外観

建物は3階建てで、入り口入ってすぐのフロントの
2階まで吹き抜けるロビーには、茶色の革張りの
ソファが年季の入ったオットマンソファを
囲うように置かれ、周りの壁にはアラスカに
生息する野生動物の剥製がずらりとかかって
並んでいる。

その剥製の間には、雪化粧のアラスカの山々、
氷河、ヒグマの親子が春のアラスカを歩く大きな絵画が、木張りの壁を
見えなくするほど所狭しと掛けられている。

天井からは大小さまざま、お椀型をした
ステンドグラス柄の灯りが吊るされている。
新緑と落ち葉をイメージしただろう鮮やかな
緑と濃いオレンジ色の葉っぱ柄のデザインで、
縁をぐるりとトンボのデザインが囲むこの
灯りが空間を緩やかに照らし、
そして暖炉とともに、暖かく、24時間絶えず
出入りする利用者たちを優しく歓迎して
いるように見えた。

古き良きアラスカの香りが包む空間は
常に暖かく人々の賑わいがあった

ホテルのロビーは常にオーロラツアーに行く人、
従業員のお姉さん、今しがた到着したであろう大荷物の団体で活気があった。

英語は全く話せないし、どちらかといえば人との
コミニュケーションには積極的でないタイプ
(スイッチを入れれば問題なくできる)で、
かつ周りの目を割と気にしてしまうという、
ザ・現代の日本人気質の僕だが、不思議と
この空間は居心地が良かった。

ちなみに妻は英語が堪能である。旅の前に何度も
「絶対に離れないでよ!
(はぐれたら生命の危機がある的な意味で)」
と念押ししていた僕が、唯一自発的にひとり行動を
したのが、妻がシャワーを浴びている間に
このロビーに行き、ポケーと人々を眺めながら、
「この団体はいま来たばっかりだと思うけど、
いくらなんでも真冬のアラスカ来て大丈夫な服装
じゃないだろ…」とか、
その隣にいる、これからオーロラツアーに行く
であろう格好の人達を見て、
「オーロラ見れると良いな〜。だけどめちゃ
めちゃ眠そうにしてるなあ」
とか気ままに考えつつ過ごした時だけである。
(ちなみにこの事も妻は知らないと思う。)

常にたくさんの人が思い思いに過ごす空間の
なかで、ぼーっとソファに腰掛けている僕の
ことを認識している人は当然ながらいたと思う。

ただ、話しかけてくる人がいるわけでもないし、
良い意味でほっといてくれるような、適度な
無関心感がそこにある。と僕は自然と感じ、

ただの存在として認識されて扱われる
ような感覚、そのソファに別に座っていても
良いし座らなくても良いよ。みたいなものが、
ほとんど英語コミニュケーション出来ない僕を
動かしたのだと、座りながらふと気付いた。

東京で医療機器営業マンとして身も心もすり減り
まくり、大根おろしならもう勢い余って指を
擦っちゃうよ!ってところまでなってしまった
僕は、

「オーロラを見るためにアラスカに行こう」

という旅のメインの柱の脇に、日々感じるように
なったがうまく表現できない鬱屈とした気持ちや、
なにか閉塞感のようなものを軽くするための
"きっかけ"を心の奥底で求めていたと思う。

このような気持ちや閉塞感に肩までどっぷり
浸かり、そこから抜け出したいともがき、
真の意味で心が休まる場所を求め続けた10年間が、
僕をアラスカのこのロビーに連れてきたのかと、
今になって思う。

なんか無駄にごちゃごちゃ書いたが、
つまるところめっちゃ居心地が良くて
リラックスできるロビーだったよ。
ということだ。


帰国後に、僕が発した英語らしきものを数えて
みた。

「イエス」「オーケー」「オーケー?」
「サンキュー」「ソーリー」「トーキョー」
「グッド」「ウォーター」「スプライト」
「プリーズ」「マンゴー」「レインボー」
「ハイ」「ワオ!」

絶望的すぎる。最後のほうは英語ですらない。

ロビーでは夕方以降アイスが買えるのだが、
メニューのボードにラフな手書きで書かれていた
なかで、僕でも読み解くことができたフレーバーが、
「マンゴー」と「レインボー」だった。

あと「ノー」は間違いなく発していない自信が
ある。

日本人すぎるだろ。  

今見るとICECREAMの字体凝ってるな

次回 ●−30℃のアラスカ、宿から800m先の
スーパーに徒歩で行ける…のか??

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