「見る」と「観察する」は違う。【AIが代替できない価値を見つける思考法 #1 | 鳥取の梨売り場から】
なぜこの思考法が必要なのか
「地方の価値を見つける思考法」シリーズとして、いいものインサイトをはじめとした当アカウントの記事が、どのような思考プロセスを経て生み出されているのかをお伝えしていきます。
もちろん、価値が眠っているのは地方だけではありません。ビジネスや生活のあらゆる場面に、まだ知られていない価値がきっとあるはず。それに気づくための思考は、AIでは代替できない価値があると考えています。
地方はないものだらけではない、「あるもの」に目を向けていきたいと思っています。こちらの記事でさらにご紹介しています。
観察していないだけかもしれない。
「見る」と「観察する」。この二つを同じだと思っている人がほとんどです。でも、この違いを意識するだけで、地方の景色はまったく変わって見えます。
「見る」と「観察する」はちがう
鳥取の梨売り場で「新甘泉」を見かけたとします。
一般の人はこう思います。「甘そう」「ちょっと高いな」「鳥取の梨か」。
ここで終わります。これは情報を受け取っただけです。
私は農学部出身で、農作物にもともと興味があります。だから同じ売り場でも、視線の動き方が少し違う。新甘泉を見たとき、すぐに違和感を持ちました。
「これ、赤梨だ。なんで?」
鳥取の梨といえば二十世紀梨。日本を代表する青梨のブランドです。そのイメージが強いからこそ、赤梨の新甘泉が「鳥取の梨」として売り場に並んでいることが、私には引っかかりました。
ここから問いが始まります。「どういう経緯で生まれたんだろう?」。そして調べる。
すると事実が出てきます。県の研究員が2万粒の種を20年かけて育て選んだこと。そしてその研究員が残した一言。「私が生産者じゃなかったから、青梨にこだわらず純粋においしい種を残せたのかもしれない」。
違和感の正体:自分の感覚とのズレに敏感になる
ここで少し立ち止まります。
私はなぜ、新甘泉に違和感を持てたのか。それは農学部で農作物を学んでいたからです。「鳥取の梨=二十世紀=青梨」という知識があったから、赤梨がそこにあることが「ズレ」として感知できた。
違和感とは、自分の感覚に対してズレている感覚のことです。
逆に言えば、違和感を持つためには「自分の感覚」が必要です。感覚がなければ、ズレに気づくことができない。
「なんとなく気になる」「なぜかひっかかる」——その小さな信号を大切にすることが、観察の出発点です。
ここで定義を置きます。
観察の入り口:「違和感を見つけ、その理由を考え始めること」
事実と理論を結びつける
調べて事実が集まったあと、私がやることがあります。
知っている理論と結びつけること。
新甘泉の場合、研究員の「生産者じゃなかったから」という一言を聞いたとき、二つの概念が頭に浮かびました。
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