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「空港って、通過するだけでしょ」と思っていた。鳥取に来るまでは。

「鳥取って、行くのが大変そう」

そう思っていた人は、意外と多いのではないでしょうか。新幹線は通っていない。電車の本数も多くない。地図を見ると日本海側のあのあたり、という漠然とした遠さがある。

でも実際に鳥取に住んでみると、その感覚はあっさり書き換えられました。

飛行機を使えば、東京まで約1時間。便数は1日5〜6往復あって、ANAの路線がシンプルにつながっています。チケットを選ぶ迷いがなく、駐車場は無料で、空港まで車で数十分。出張のたびに「思ったより気軽だな」と感じています。

でも今日、わたしが本当に伝えたいのはアクセスの話ではありません。

鳥取の空港には、「飛行機に乗る以外の理由で行きたくなる」という不思議な引力があります。


鳥取には空港が2つある

県の東側にある「鳥取砂丘コナン空港」。そして県の西側にある「米子鬼太郎空港」

どちらも規模はコンパクトで、路線もシンプルです。でも一歩中に入ると、そこはもう別の世界です。


鳥取砂丘コナン空港

外観からすでにコナンのキャラクターが溢れていて、飛行機を降りてボーディングブリッジを渡る瞬間から、キャラクターのイラストとともにコナンのお馴染みのBGMが流れてきます。空港に着いた、というより、コナンの世界に入った、という感覚です。

フォトスポットが至る所に設置されていて、思わず何枚も写真を撮ってしまう。「コナン探偵社」というショップには、ここでしか手に入らない限定グッズが揃っています。すなば珈琲が入っているので、搭乗前にコーヒーを飲む時間も、少し特別な気分になります。

さらに土日祝日には「ナゾ解きラリー」が開催されています。到着ロビーの案内カウンターで「ナゾ解きコミック」を受け取り、館内の展示物を巡りながら謎を解いていく。答えが合っていたら、オリジナル缶バッジがもらえます。

子どもは夢中になるし、コナンファンの大人も本気になってしまう。

わたしが鳥取空港をよく利用するのは自宅から近いというのが一番の理由ですが、出発前に少し早めに着くようになったのは、この空港が「うろうろしたくなる場所」だからかもしれません。


米子鬼太郎空港

米子の空港は、その名のとおり鬼太郎で満ちています。

境港出身の漫画家・水木しげるにちなんで、館内のあらゆるところにゲゲゲの鬼太郎のキャラクターが息づいています。荷物を受け取るターンテーブルには目玉のおやじが佇んでいて、逆走禁止の案内はぬりかべがガードしています。バスも、自販機も、交番も鬼太郎一色です。

特に妖怪ステンドグラスは見ごたえがあって、初めて見たときには思わず立ち止まりました。小さな空港だからこそ、どこを向いても世界観が途切れない。その完結感が、独特の没入感を生んでいます。

わたしは以前、米子空港の近くに住んでいたことがあります。あの頃は「空港は通過するだけの場所」という感覚でした。今になって改めて訪れると、鬼太郎空港は単なる移動の起点ではなく、境港の世界に入る「助走路」なのだと感じます。


「装飾」ではなく「体験」をつくっている

日本には、名前に地域の名物を冠した空港がいくつもあります。

高知龍馬空港、徳島阿波おどり空港、熊本空港のくまモン。どれも地域への愛着が感じられます。

ただ、鳥取の2つの空港が少し違うのは、「ネーミングと装飾」にとどまらず、空港そのものが「体験空間として設計されている」点だと思います。謎解きラリー、キャラクターギャラリー、季節ごとのイベント。見るだけでなく、動いて、発見して、持ち帰れるものがある。「通過する場所」ではなく、「そこにいる時間そのものが楽しい場所」になっています。

先日、鳥取県立図書館の記事を書きました。「本を借りる場所」だと思っていたら、ビジネス支援・医療相談・起業前の専門家相談まで揃った、問題解決の拠点だった、という話でした。

鳥取の空港も、同じ発想で設計されているのかもしれません。

本来の用途を超えて、その場所にいること自体が価値になるように整えていく。しかもそれが、図書館と空港という、まったく異なる2つの施設で実現されている。

人口最少の県が持つリソースは、量ではないのだと思います。ひとつひとつの施設に、使う人が「ここに来てよかった」と感じられる体験を丁寧に積み上げていく。その積み重ねが、鳥取に来た人が感じる「なんか予想と違った」という驚きになっているのではないでしょうか。

鳥取の空港を使うたびに、この県の底力のようなものを、静かに感じています。


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