気まずさのシュールな天才奇術師 デイヴィッド・リンチ
リンチ愛
小学生の頃にツインピークスにハマり、勿論DVDは持っている。
ロケ地の聖地巡礼と大きな音楽フェスに行きたくてしかたなかった…。
その頃は考察していたけれど、大人になってからは、彼の作品を一度は観てもハマるまでは行かなかった。しかし

『ファミリー・ディナー』2022年 を観て
気まずさを作るのは、意外と難しいのだなと思った。
その点、デイヴィッド・リンチはそれを作る天才で、彼の魅力は奇妙さや怖いもの見たさよりも、気まずさなのかも知れない、と消しゴム頭を30年ぶりに見返して思った。
イレイザーヘッド
配管工の父ちゃん
鶏のダンスはまだしも、中身
異形の謎赤ちゃん
血が滲み出てくる岩
天国を歌う、おたふくの女性歌手
冒頭の『ファミリー・ディナー』には、時間が流れている。全てが予定調和で、意味不明なもの/ことへの畏怖がなかった。
一方、リンチの魅力はそのモンタージュ的な時間ぶった斬りにもある。連続性がないのだ。かと言って、知性がないのではなく、ゴダールの神的なヒトへのアプローチとは全く異なる、
夢と現実を繰り返すような断絶性だ。
彼らの奏でる「気まずさ」の先輩はダリやガルーストら。後輩は草間彌生や、藤本タツキの『ファイアパンチ』、平山夢明、香取慎吾などか。
個人的に↑の人たちは、ブニュエル、寺山修司、マルセル・カルネ、ケネス・アンガー、キューブリックらとは別ジャンルな気がする。何でだろ、その内整理するかも…。
『イレイザーヘッド』は最も楽しく、美しい体験だった。興行の心配をせず、手作りで時間を(5年も)かけて撮ることができた。
タイトル繋がりで
ロブ=グリエの消しゴム
を思い出した。詳しくはよく覚えてないけれど、
主役はヴァラスではなく消しゴムだったのか、と感じたのを覚えている。
消しゴムの意味
・望まぬ現実を消す男
・人の愚かさ(過去を消して過ちを繰り返す
・消しゴムがすり減るように、世代交代して新しい消しゴムになる。
・創作を諦めて仕事をする = 脳内のアイデアを頭ごと殺し、没個性を強いる労働をする(鉛筆工場の消しゴムとして画一化され自己分散して世の中の役に立つ)
そんな感じでしょうか。
ある日、父と弟に「完成の見込めない映画作りは諦めて、家族のために仕事につくんだ、時間を無駄にせずに」と言われた。
その言葉は深く突き刺さり、寝室で泣いた。彼らは理解してくれなかったが、真剣だったんだ。
そらにしても自分が妻なら、許せないですね、こんな作品。
やはり、ペギーはこの作品を5年も楽しく作ってる人なんかと同居するのは不可能だったのでしょう。彼の元を去ったようです。
更に、自分がこの時の子どもなら、病み確定だし、父を恨むと思うのだけど、娘のジェニファーは映画監督になってデイヴとも一緒に作品を撮っていたのだと知りました。
悪夢が終わらない…。
『デヴィッド・リンチ:アートライフ』David Lynch: The Art Life 2016年
こちらもゴダール同様、追悼のために拝見。展示会やらないのかしら。

国内だと、GYREでの2019年が最後の模様。
学生時代、
彼の世界は3つに分かれていた。
厳しい親の支配する家庭
悪も内包する他家庭や学校
自己解放できるアトリエ
まさに
ホワイトロッジ
ブラックロッジ
舞台裏の赤い部屋

各場所でそこに相応しい人物像になり、演じ分けていたデイヴィッド。
同じような経験をして青春時代を過ごした人は多いはずだ。
しかし、そのペルソナがやがて自己を分裂させ、完全に混乱し、
深刻な精神疾患に陥ってしまう。
これもよくあることなのだと思う。
短編映像 アルファベット
他にもYouTubeで、彼のショートフィルムが沢山見られます。が、
これは完全に病み…。
いや、本当に監督になって良かったね、デイヴ…。
芸術に昇華するのが1番。
おまけ
PS2のCMだって。

