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4【ジジとババと、みなさまと私】「聞こえんわ!」の日


次の食事のとき、少しでも自分で食べられるように工夫することにした。

父は、あんパンが大好きだ。
小さいあんパンを用意して、手で持って食べられるようにする。

バナナは一口サイズに切って、マグカップへ。
フォークで自分で刺せるように。

コップにはストローをさして、できるだけ自分のペースで食べられる形に変えた。
言うなら、子どもに機嫌よく食べてもらうための工夫と、ほとんど同じだ。
母は私のやり方を見て、「そんなやり方、知らない」と少し寂しそうに言った。

「ま、ジジのペースで食べられるやり方でいいんじゃない?」

お盆の上には、手つきのマグカップや小さな器が並ぶ。
父は、自分の体が動く範囲で、自分のペースで、ゆっくりと口に運ぶ。

食べさせなくてもいい。
父は、自分で食べている。

その姿を、母はじっと見ていた。

父のベッドの横に座り、
「ババが食べやすいように切ってくれたんだよ」と言った。

「自分で食べられて、いいよね」と声をかけると、
父は「あぁ」と小さく答えた。

食べ終わり、母が食器を下げようと部屋を出ていく。

その背中に向かって、父は母に聞こえないように、
おちゃらけた声でつぶやく。

「……ありがと」
「きこえんわ!」
私は父の背中を、ぺしっとはたいた。

今日も、
ジジとババと、みなさまと私の一日。


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