10【ジジとババと、みなさまと私】ババに名前を、さん付けで呼ばれた日
父が入院して、四日ぶりに実家から帰ることにした時の話。はじまり、はじまり👏👏👏
「ごめんね。助かった」
と母は言った。
「はいはい、大丈夫です」
と私は返した。
そして、呼び方が変わっていた。
以前は、私のことを下の名前で呼んでいた。
どちらかというと、上から下に圧がある感じだった。
私の返事も、どこか身構えたところから始まっていた。
いつからか、母は私の名前を呼ぶとき、下の名前に「さん」をつけるようになった。
母なりの、私に対する気持ちの変化なのだろう。
教えなきゃいけない子どもより、
一人の大人として扱われている気がした。
今まで全部自分でやってきたのは母だったんだと思う。
そして、母が歳をとったんだな、
そうなったんだな。
変わった母より、
変わりかけている私のほうが、落ち着かない。
でも、まあ。
そのうち慣れるんじゃない?
実家を出て、今の家に帰る時
母は、夜ご飯のおかずを持たせてくれて、
「Hさんにも、みんなにも、ありがとうって言ってね」
と言った。
「はいはい、ありがとう」
と私は言った。
「まぁゆっくり寝なね」
と母に言いながら、帰ってきた。
今日もジジとババと、みなさまと私の一日。
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