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28【ジジとババと、みなさまと私】ジジに、あの弁当の話をしてみた日


会いに行く理由をひとつ持って、
ショートステイにいるジジに会いに行った話、
はじまり、はじまり。


「1月4日に、みんなで会うよ」と伝えると、
父は「そうか」と言った。

「正月は、ここなんだな。」

少しだけ、
寂しそうな気配がした。

ひとまず報告が終わると、
もう、話すことがない。

何を話そうかと考えたとき、
また、例の“悪いむくむく”が出てきた。

「ねえ、覚えてる?」

父は、こっちを見る。

「あのさ、めっちゃジジに怒れた時、
あったんだよね。」

少し間を置いて、続ける。

「あのさ、弁当作ってたじゃん。
あの黒いジャーのやつ。
味噌汁とご飯とおかずが入ってるやつ。」

昭和レトロ 象印ランチジャー、たぶんこれ


父は、「おう、あったあった」と言った。

「私さ、ババが仕事してたから、
ジジの夜勤の弁当、作ってたんだよね。
高校生の時。」

父は、黙って聞いている。

「でもさ、ジジさ、
私が作った弁当に、
めっちゃ文句言ったんだよ。」

「覚えてる?」

そう聞くと、
父は目に手を当てて、隠しながら、

おっ、困ったポーズ発動

「そんなこと、言ったかなあ」と言った。

「ジジがさ、文句言ったからさ、
私、ジジの目の前で、作った弁当、全部
ゴミに捨ててやったんだよ。」

(高校生の娘が、
夜勤の弁当を作ってくれてるんだよ。
中身がどうとかじゃなくて、その行為自体が、
ありがたいって思わないのかよ)
※これは、当時言いたかった、言ったかも?
 黒い私の心の声。
 この時はいくらなんでも、
 ここまでは言っていない。

「それから、一切作らなくなったんだよ。」

私が、そう言うと、父は下を向きながら、

「弁当、あったなあ。」
とだけ言った。

覚えてないんかい!

私は、めっちゃ怒ったんだよ。

父との記憶は、
本当に数えるほどしかないけれど、
これは、めっちゃ覚えてる。

覚えている記憶の、ひとつ。

昔は、何を言っても「うるせえ」と言う人で、
私は、話をする気にも
聞く気にもならなかった。

だから、言えなかった話を、
今、している。

父は、聞いている。

目を隠しながら、聞いている。

その姿を見ていたら、
黒い私が、また、皮一枚ふわっと離れていった。

目の前にいるこの人、
うるせえも言わずに、
おちゃめなポーズしてるだけで、

……なんか、力が抜けた。

あんなに怒って、
ずっと抱えていたのに、
私の方が、ちょっとバカみたいだ。

まあ、今日も、許してやるか。

✨✨✨✨✨

今日も、ジジとババと、みなさまと私の一日。



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とぼけ具合は、けっこうそのままです。

次は――
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