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新しいアート鑑賞ーー”癒される”から”癒す”美術館へ

芸術の秋!なのにめちゃくちゃに寒くて秋はどこ?という気温です。
忙しい職場や学校生活のリフレッシュのために、週末は上野の美術館でも行こうか。そんな人が多いのではないでしょうか。美術館は職場や学校生活で忙しい現代人のためのオアシス。いつも同じ場所で私たちを待って、行けば心ゆくまで癒してくれます。

最近は「博物館浴」という言葉、研究があったり、美術館でサウナによりととのえてしまうようになったり。学術的な意義を超えて、生活に寄り添う癒しの場所である役割がどんどん大きくなる美術館。(↓諸橋近代美術館、国内随一のダリ美術館で「ととのう」とはどういうことだ!?という感じなので気になる。2025年6月まで。第2弾も期待です。)

しかし!癒してもらうばっかりでいいのか。いつも同じ場所に行けば、癒してくれる、楽しませてくれる作品たち。彼らは行き交う人々を横目にいつも同じ形で待っていてくれてる。産みの親が亡くなってしばらく経っても、故郷を遠く離れても、ずっとそこにいてくれる。いつもありがとう、美術作品を気軽に見に行くことができる境遇にも感謝しつつ、作品たちを労いたい。

今日は上野の国立西洋美術館にきた。常設展はいつも無料で見させてもらっている。ありがとう。

◯ロダンの彫刻たち

まずロダンの作品たち、は軒並み癒してあげたい!

雨の日も、風の日も、炎天下でも、いつもそこにいてくれてありがとう。特に《考える人》は毎回観光客や修学旅行生と写真を撮っている時も、ずっと考え続けてくれてありがとう。多分上野観光の思い出の大半を担ってくれているんじゃないか。そして日が落ちた後でもかっこよく光ってくれている。

《カレーの市民》
手前のかっこいい手のポーズの彼、絶対に1番疲れている、楽な姿勢にしてほしい

なぜかライトアップされないブルーデルのヘラクレスも暗闇の中、ありがとう。

エミール=アントワーヌ・ブルーデル
《弓をひくヘラクレス》

↑屋内で見れるロダン作品もいつもありがとう、ここまでは誰でも無料で見ることができるなんて。特に《瞑想》↓は癒したい。ロダン彫刻全般に言えることだけれど、絶対にこのポーズはめちゃくちゃきつい。こんなポーズで瞑想するのはどういうこと?絶対に腰への負担がすごすぎて精神統一どころじゃない。そして顔を隠しているのも辛そうだから、誰もいない時は目を開いて光を存分に浴びてほしい。

他にも西洋美術館の中で癒したい作品のほとんどがロダンの彫刻たち。1Fにいる人たちも含め、彼らはほんとに有給をとって皆んなでてもみんにでも行ってきてほしい。土から出で、土に戻る彫刻たち、誰もいない夜の美術館でみんな泥のように寝ているだろうか。

《うずくまる女》1882年頃(1906-08年ごろに拡大)
腰と肩こりそう
重そう

◯ヨハン・ハインリヒ・フュースリ 
 Johann Heinrich Füssli 
 《グイド・カヴァルカンティの亡霊に出会うテオドーレ》

そして常設展にいつもいる絵画もありがとう!廊下を渡った先の初っ端に出てくるインパクト作品、大好き。ダイナミックかつ、三者三様の疲れ方をしていそうなのがポイント。

画面左から見ていくと、後方に体重をかけているテオドーレは大腿四頭筋あたりがに負荷がめちゃくちゃかかっていそう。そしてお尻から足の疲れ具合が言わずもがな、右側はホノーリア。犬に襲われていて痛そうだし体勢は一番きついでしょう。最後は真ん中、亡霊として現れているグイド・カヴァルカンティ。この人というよりは乗っている馬を癒してあげたい。西洋美術館の動物の中で一番といって良いほど大好きなのですが、もちろん休ませたいのと、とりあえず目がバキバキすぎて目薬を今すぐ指してあげたい。

◯ギュスターヴ・クールベ 《眠れる裸婦》

生活感のあるリアルな疲れといったら、西洋美術史No.1かもしれないクールベの裸婦。まるで自分の母親の姿を見ているよう。疲れが溜まっていそうな、眠り方と、顔が最初に気になりますが、一番すごいのはめちゃくちゃ外に抜けている部屋ということ。半屋外になっている。季節が夏だとしてもこんな格好で寝ていたら確実に風邪をひいてしまうので、そっと毛布をかけてあげたい。全てのお母さんにありがとう。

◯エドヴァルド・ムンク 《労働者たち》

世界中の人が知っている傑作、《叫び》に代表されるように精神的に癒してあげたくなるようなドロドロとした画面が展開されがちなムンク、ここまで肉体的にわかりやすく癒してあげたいと思う絵は珍しいのかも。ノルウェー生まれの画家が織りなす雪の描写は、私たちの目にはかなり魅力的に映るけれど、そこで働く人々はしっかり暖炉などで体を暖めることができているのだろうか。

◯アルベルト・ジャコメッティ 《カロリーヌ》

今期の国立西洋美術館常設展初展示のジャコメッティの絵画。実存主義の画家が描く人物像はいつもボロボロで消えてしまいそうなイメージだけれど、今回のジャコメッティの若い愛人でもあるモデルのカロリーヌは結構ガッチリした存在感。でも顔面はしっかりと色々な線で構成されていて、そこにも人間の複雑な精神性を感じられるよう。ほぐしてあげたい。

すごい眼底

◯シャイム・スーティン 《心を病む女》

作品としての最後は、西洋美術館の中で唯一でしょうか、タイトルからしてガッツリ病んでいることを申告している人物。《Mad Woman》、別の邦題だと「狂女」とか言います。肘を押さえて右の何かを見ている。実際に見える景色に怯えているのか、もっと言いしれぬ不安に襲われているのか。なすにきびは彼女が実際にいたら、小刻みにガタガタと震えているのかな?と思ったり、、

「狂女」というと東京国立近代美術館にいる徳岡神泉が描く《狂女》も思い浮かびますが、彼女と比べてもこちらの西洋の狂女は赤い服と緑の帽子という鮮烈色合いが、こっちの不安も煽ってきます。一番癒すのが難しい人物と言えるかもしれない。しかし、一番癒してあげたい。

◯フランク・ブラングィン 《松方幸次郎の肖像》

そもそも全部この人のおかげ、ありがとうございます。

◯美術品を癒すという姿勢

「美術作品に癒されるのではなくこちらから癒しに行く」という観点は、ドイツのパフォーマンスアーティストのクリスチャン・ヤンコフスキー、Christian Jankowski の「マッサージ シリーズ」のものです。以下、横浜美術館の展示より。その名の通りマッサージ師が彫刻作品のツボを刺激してあげている映像と写真。

横浜大通公園にいる《瞑想》もこの通り

なんとなく面白いとも取れるこの視点ですが、画家の意匠としての作品の見方ではなく、一種の新しい生物として作品を見ることで、作品にもそれぞれ心がある。そういうところを見るなかなか興味深いかもしれません。

逆に癒すという行為は勝手すぎて、作品は嫌がっているかもしれないけど。

そして今回紹介した作品は全て現在西洋美術館の常設展で見ることができます!現在は版画展示室のデューラー特集も最高なのと、なすにきびはまだ行っていないですが、企画展の印象派展もおそらく素晴らしいのでしょう、楽しみ!

最後までお読みいただきありがとうございました。
他に癒したい作品があったら是非教えて下さい。
東博編やMoMAT編もあるかも、、、

作品との間で癒し癒されの素敵な関係がたくさん生まれますように!

おわり

癒される初展示
グスタフ・クリムト 《アットー湖の島》

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なすにきび...勝手美術 偏った美術愛ですが、面白いなと思っていただけたら、いいねフォローなどよろしくお願いします。大変はしゃぎます。

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