アルペンスキー名門一家の原点を訪ねる。コクランスキー場【🇺🇸スキー場探訪記⑦】
3月中旬、在米中にどうしても行きたかったバーモント州のコクランスキー場(Cochran's Ski Area)を訪れた。チェアリフトのない小さなローカルスキー場だが、アメリカのスキー史を語る上で欠かせない場所でもある。ゲレンデは地元の子どもたちがスキーを楽しむ声が響き、アットホームな雰囲気に包まれていた。
コクランスキー場を滑る
スキー一家「コクラン家」の本山
コクランスキー場は、NYCから車で5時間ほどの場所にある。約300マイル(約480キロ)離れており、カナダ・モントリオールからの方が近い。
スキー場の設立は1960年代。「コクラン家」が自宅の裏庭に設置したのが始まりで、その後、一家は長年にわたってトップレベルのアルペンスキー選手を輩出している。その証として、ロッジには五輪やワールドカップのビブ(ゼッケン)が所狭しと並ぶ。今年の冬季五輪の男子スーパー大回転で銀メダルを獲得したライアン・コクランシーグルもここでスキーを始めたという。
小規模だが滑り応えのあるコース
前述の通りチェアリフトがなく、バーを腰に引っかけることで滑走しながら斜面を登っていくTバーリフトが整備されている。ゲレンデにはTバーのガチャンガチャンという音と、子どもたちの声のみが聞こえるという穏やかな空気感だった。
コース距離は長くない。しかし斜度のある斜面に加えてちょっとした林間を抜ける緩斜面などコースバリエーションは意外にあると感じた。下から見上げて左側の「The Race Trail」というコースは、斜度もあり起伏も豊かで1番好みだった。
非営利で運営される
日本と同様にアメリカのスキー場もリフト券の高額化が話題となるが、ここは非営利で運営されているのが大きな特徴だ。ホームページには「地域の青少年や家族に手頃な価格でスキーやスノーボード、レッスン、レーストレーニングを提供する」ことを使命としていると掲げられている。
大規模スキー場では1日のリフト券が100ドル以上することも珍しくないが、ここは週末の大人1日券でも19ドルだ。チェアリフトがないとはいえ、かなり安価といえる。
子連れ客でにぎやか
来客は子ども連れが大半を占めていた。こうした光景は日本のローカルスキー場ではあまり見たことがなく新鮮だった。来場している車のナンバーはほぼ全てがバーモント州で、地元に愛されるスキー場なのだと感じた。
リフト券も用具も高額になる中で、このような気軽にスキーやスノーボードに親しめる場所は本当に貴重だ。
写真と動画

















まとめ
アメリカのアルペンスキー名門一家が運営するスキー場と聞くと硬派な印象を抱くが、実際は子どもたちがスキーやスノーボードを始める1歩を踏み出す地域に開かれた場となっていることが体感できた。
このような雰囲気の中で滑っていると、スキー場の在り方を考えさせられる。リフト券や用具の高額化が進む中で、地域に根ざしたスキー場は大規模リゾートとは違う役割がある。
ウインタースポーツを持続可能なスポーツとして維持していくためには、環境問題への対応に加えて、新たなファンを獲得するためのすそ野を広げることも大切だ。アメリカでも日本でも、このようなスキー場が永続的に運営されていくことをいち愛好者として願っている。
短い滞在時間だったが、とても印象深いスキー場だった。
参考
https://www.usskiandsnowboard.org/athletes/ryan-cochran-siegle
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