UNDEAD
UNDEAD 2024年 YOASOBI より
「人間ってさ、
いつか死ぬんでしょ?
どんな気分なの?」
そいつは僕のベッドを占拠して、
仰向けに横たわって
スマホを眺めがらそう言った。
さも人間みたいに、抑揚のある声で。
「さぁ、考えた事ないからわかんないよ。」
と、
僕は簡単に答えた。
さも機械みたいに、平坦に。
「えぇ、そうなの?
生き物ってみんな
死ぬのが怖いんだって聞いたけど、
君は違うんだ。」
と、
そいつはスマホを置いて
興味津々に僕を見た。
その目が僕の深淵を
見透かしているようで
僕は少し身震いした。
僕は答える気も失せて、
もう眠いから退いて、
とだけ言って、布団に潜り込んだ。
「社畜」
という言葉が
僕に最も当て嵌まる
言葉だと思っていた。
生きていくにはお金が要る。
子供の頃から無気力で、
ゲームの世界に居場所を求めた。
社会に出るのに役立つスキルなんてない。
だから不器用に使われるしかなかった。
日を跨ぐ頃に家に帰り、
コンビニの弁当を食べて
疲れ果てて寝る。
僕が生きるには
「社畜」
になるしかないんだ。
スマホ画面の向こうにある
SNSの世界は、
僕には眩しすぎた。
ある日、家に帰ったら
僕がいた。
几帳面に膝を揃えて
パソコン画面を見ている僕は、
「おかえり。」
と、僕に言った。
もちろん、
心臓が飛び出るほど驚いた。
こいつ、死んでるみたいに白いな。
というのが、
僕が僕を見た第一印象だ。
暫く見つめ合って、
僕は恐る恐る聞いてみた。
「君は誰?」
「僕は宇宙であって、概念だよ。」
と、そいつは答えた。
「でもそれだと、
人間は可視化できないんでしょ?
だから君が見えるように、
1番近い姿を真似したんだよ。」
と、得意げに鼻を鳴らした。
さも、人間みたいに。
「何しに来たの?」
と僕は聞いた。
「理由なんてないよ。存在するだけだよ。」
と、
そいつは訳の分からない言葉を返した。
「生きるってね、
宇宙エネルギーの観点からすると、
凄い力なんだよ。
でも不思議だな、
君からはそのエネルギーを
感じないんだ。」
と、そいつが続けた。
こいつは放っておくとずっと喋っている。
この状況が何なのか、
僕の頭の中で何が起こったのか、
分からない。
ただ、
死んで異世界に迷い込んだのではないと、
深夜にかかってきた上司からの電話が
教えてくれた。
それから、
そいつとの奇妙な同居が始まった。
概念は食費がかからないし、
僕の邪魔をしない。
居るのか居ないのか分からないくらい
気配を消すこともある。
そんな好都合な存在は、
嫌いじゃない。
今日も日を跨いだ。
帰宅したら、
そいつがパソコンで何かをしていた。
「これ、面白いね。
人間みたいに大層な言葉を並べるんだね。」
と、
生成AIが並べた回答を読みながら言った。
「でもさ、エネルギーを感じないんだ。
生きても死んでもないからかな。」
と、そいつはまた饒舌に喋り出した。
こっちはヘトヘトになるまで働かされて
疲労困憊なのに。
ウザいな、
と強く思った。
すると、
そいつが僕に目を向けて
「今、君から生きるエネルギーを感じたよ。
どうやら死んではいないみたいだね。」
と満足そうに言った。
さも、人間みたいに。
生きるって何だ?
エネルギーって何だ?
僕みたいな何も持たない人間は、
何も考えない楽な生き方を好むし
選ぶ。
選択肢がそれしかないと言われれば
それまでだけれど。
僕はふと、
そいつが言った言葉を思い出した。
「理由なんてないよ、存在するだけだよ。」
その言葉は、
胸に深く突き刺さった。
その言葉は、僕だ。
それに気づいた時、
背筋を寒いものが走った。
ふと見ると、
そいつが僕の前に立って、
ベッドに座る僕をじっと見下ろしていた。
「さっき、AIってヤツに教わったんだけどさ。」
と、前置きして
「君ってさ、
『UNDEAD』って言葉がピッタリだよね。
ダメじゃない、生きなきゃ。」
と、刺すような眼差しで言った。
翌日、
パソコンを見ていた僕は、
玄関が開く音に気づき、玄関に目を向けた。
そこには、疲れ切った僕が立っていた。
「おかえり。」
と、僕は言った。
さも、人間みたいに。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
*この物語はタイトル曲の世界観を
文章にしたものではありません。
あくまでも柴犬自身の
創作世界であることをご了承ください。
敬意を表して
柴犬のショートストーリーを纏めてあります!
過去作もぜひ宜しくお願いします!
連載も進めています!
こちらも是非宜しくお願いします😊
次回のショートストーリーは
『生きづらさ』
『存在』
3連続アップの最後の3作目
潜在表明 2022年 MyGO!!!!! より
です!
7月21日19時にアップします。
ぜひ遊びに来てくださいね!
『生きづらさ』
『存在』
3連続アップの最初の1作目はこちら
3連続アップの3作目はこちら
