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毎週ショートショートnote|学生総隠居

学校は閉まったままだ。
アスファルトの継ぎ目から背の高い雑草が生え、伸び放題になっている。

もはや学ぶ意味など無くなった。
脳をBluetoothで《同期》する世の中になったからだ。

一瞬で理解することができる。
どんな難解な概念でも、どんな微細な感覚でも、どんな特殊な経験でも。

争いも無くなった。
到底受け入れられない主張さえ、《同期》すればその思想に至った経緯が、感情ごと流入してくる。

どんな劣悪な欲望でさえも《同期》され、出所さえ分からず、誰が善で、誰が悪かも、どうでも良くなった。

山の中にひとり、《同期》せずに暮らす若い男が、街を見下ろしていた。
男の目から見ると街の人間は、上空に巨大な脳が浮かび上がり、ただそこに繋がっているだけの存在に見えた。

男は毎日、日の出と共に起き、畑仕事をして、水を汲んで薪を拾い、日没後は家で読書した。

《同期》後、本が出版される事は無くなった。
その必要がなくなったからだ。

自分の脳で考え、自分だけの表現手段を得る事が学校の役割だったのかも知れない。
などと、もう考えても仕方ない事を男は考えた。

458文字


山本蛇内さんの『デュラはん、オッさん、おじいちゃんの国』から《同期》の表現をお借りしました。
アイデアの大洪水!言葉遊びの大手数!面白いです!

そして俺は、半年前にこのショートショートと同じようなことを書いたのを思い出す。

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