白銀の騎士(14)第5話 act.2
前回の話
5.陽炎の記憶 act.2
コウは知らないふりでもう1ゲーム遊んでからヘルムモニターを外したが、母は気づいていたらしく、家に帰ってから怖い顔で詰問された。
「どこから聞いていたの? 研究所の話」
「えっ、何のこと?」
「とぼけないで。聞いていたんでしょ? ゲームを止めてたことはデータを見ればわかるの」
「じゃあわかるんだろ、母さんは。全部って言えばいいの? その時間に話してた事」
母は額に手を当てて溜息をついた。
「あのね、コウ」
「もういいよ。研究機密だかなんだか知らないけど、俺にまで嘘ついて。
ゲーム機の開発なんて嘘なんだろ」
「ごめんなさい、コウ。嘘をついた母さんが悪かったわ」
いつもは絶対に折れない母がそんな風に子供に謝ったのは初めてだったので、コウは驚いた。
今度こそ何日かは拗ねていようと腹をくくっていたが、あっさり拍子抜けした。
「コウは、戦争が好き? 軍人さんになりたい?」
「…そんなわけないだろ。戦争は厭だし、人殺しもしたくない。母さんと同じだよ」
「なら、いいの」
コウの答えに母は安心したような、でもどこか寂しげな笑顔を見せた。
それから、母はコウにこう説明した。
あれは体感ゲーム機じゃないけど、軍事パイロットを養成するためのシミュレーション訓練機なの。
最近の兵器はどんどん進化しているから、効率的な訓練をしないと兵士の養成が間に合わない。
だから、国家プロジェクトとしてあの機械を開発しているの。
もちろん重要な国家機密だし、だからあなたにも固く口止めをした。わかるわよね?
あなたが軍人になるつもりがなければ、あの機械はあなたの人生と関わりを持つことはない。
完成さえすれば、一生使うことも見ることもない。
だから、今日聞いた話は忘れてほしいの。今話したことも。
もちろん、父さんにも内緒にしてちょうだい。お願いよ。
それから、母さんの勝手な言い分かもしれないけど、あと何回かデータを取るのに協力してほしいの。新型ゲーム機のテストプレイだって信じてる振りを続けたままでね。
もちろん、コウが厭だったら断っていいのよ。これは…母さんの、勝手なお願いだから。
秘密さえ守ってくれるなら、もう母さんは何も望まない。
二度と軍事研究のために協力してくれなんて言わないわ。
でも、もしコウが良かったら…お願いしたいの。
母さん、どうしてもあの開発だけはやり遂げたいのよ。
子供の直感で、母が全ての真実を話しているわけじゃないことは、わかった。
同時に、母がこれほど懸命に取り組んでいる仕事に、自分でよければ協力したい、とも感じた。
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