白銀の騎士(4)第1話 act.4
前回の話
1.自由都市(フリーダムシティ) act.4
「独立宣言の後、新国連は、我々ゴモン民主連盟の加入都市を牽制するために、大勢の宇宙軍を送り込んできています」
ここ数ヶ月のニュースを繰り返すような現代史の授業は退屈だ。
頬杖をついてぼーっと聞き流していたコウは、後ろから背中をつつかれて我に返った。
くしゃっと握らされたメモには『新ネタ、あるか』と書いてある。
「その新国連軍が、B地区コロニーの付近で輸送船を破壊したのが『B地区事変』の発端です。もともとB地区は比較的旧いタイプの居住都市コロニーでしたが、それが災いして被害が拡大し、10万人近い被害者が亡くなるという大惨事となってしまいました」
コウは『あり。ヒゾウの新ネタ』と書いて後ろに回した。
そのメモはどんどん後ろへ回っているようだ。
「わが民主連盟側は、輸送船とコロニーの破壊を行った新国連軍を非難しましたが、全く相手にされず、やむなく報復を宣言。その後、新型戦闘機を投入して勝利を収めたのは、皆さんもよく知っての通りでしょう」
このあたりで鐘が鳴り、授業を終えた教師が出て行くなり、窓際のコウの席に数人の男子が集まってきた。
「ちょっと待ってな」
コウがモバイルに画像を呼び出し、身を乗り出した男子に見せる。
「うっわ、すげ…。どっから手に入れたんだよ、こんな画像」
「もうちょっと鮮明なのはねーのか?」
「ああ…それ以上は難しいな。それより、デカいのならあるけど」
「うわ…大迫力じゃん。マジすげーよ、お前」
「ちょっと本気で旧本国(ステイツ)のコスモネット漁ってみただけだよ。すぐ消されるのもあるから、フットワークと運の問題かな」
コウがちょっと自慢げに胸を張った時、空気を切り裂くような鋭い声がした。
「コウ! ちょっとあんたたちね、スクールで何くだらない事やってんのよ!」
怒りのせいか、それとも他の理由でもあるのか、フィーは顔を真っ赤にして睨んでいる。
「ご、誤解だよフィー、そんなんじゃないって」
コウの慌て方が可笑しかったのか、別の男子が言った。
「コウのヤツ、ほんっとにマニアなんだぜ。そんな画像が山ほどデータに」
フィーは真っ赤な顔でつかつかと近づいて来るなり、コウに手を差し出した。
「見せてみなさいよ、笑ってあげるから」
「…知らないぜ、怒っても」
取り上げたコウのモバイル画面を見て、フィーはあっけにとられた顔をした。
「『黒…騎士』?」
ゴモン独立都市民主連盟軍が誇る巨大な人型戦闘機、通称『黒騎士』。
その、重厚な勇姿がいくつも画像や映像に納められていた。
中には、従軍記者レベルでないと撮れないようなものも少なくない。
「今のところ、『黒騎士』が参戦した局地戦では不敗を誇ってるんだ。我が軍が攻撃するのも、敵の軍艦や軍事施設に限られてる。なんて言うかこう、筋が通ってるよな」
興奮気味にまくしたてるコウに、周りの男子も目を輝かせながらうなずいている。
フィーは興味なさげにパラパラと画像を見てから、コウにモバイルを返した。
頬の紅潮は退いたが、妙な誤解をしてたことを見透かされてたと思うと、また顔が赤くなる。
「まったく、男の子って、どうしてああいうのが好きなのかしら」
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