麻辣湯はダイエットに使える?ヘルシーなはずが10kg増える本当の原因と痩せる食べ方をダイエットコンサルタント管理栄養士がまとめました
「野菜たっぷりだから大丈夫」
「薬膳スープだから体にいい」
「ダイエット中でも食べていい外食」
その思い込み、ちょっと待ってください。
「週2〜3で食べていたら3kg増えた」
「麻辣湯にハマって気づいたら10kg増えていた」
そういう相談も耳にします。
今日は、麻辣湯とダイエットの「上手な付き合い方」をまとめました。
■ なぜここまで流行っているのか
麻辣湯が急速に広まったのは2022年頃からです。芸能人やインフルエンサーが発信しました。K-POPアイドルが食べる動画もSNSに流入しました。
たとえばLE SSERAFIMのメンバーが「マラタンとマーラータンは違うの?」と議論する動画を公開して話題になりました。東方神起のユンホがNCT DREAMのジェノと麻辣湯を楽しむ動画を配信。「あのアイドルが食べている」という文脈が、麻辣湯を一気に身近なものにしました。
注目したいのは、波及の流れです。
麻辣湯はもともと中国発の料理です。それが韓国でZ世代の日常食として浸透しました。最後に日本へ波及してきました。チーズハットグやタンフルと同じ「韓国先行→日本追随」のパターンです。実際に楊国福(ヨウゴフク)の渋谷店では来店客の約7割が女性というデータもあります。
人気の理由として大きいのは、「自分でカスタムできる」という点です。
具材・麺・辛さなど
「浮腫んでいるからきのこを多めに」
「たんぱく質が足りていないから鶏むね肉を追加」
といったように選ぶことが可能です。
これが「ただの外食」ではなく「自分のための食事を考えている」感覚につながっており、そこが人気の正体なのではないか?だと考えています。
特に女性から支持されているのは、このセルフケア「感」が大きいと感じます。男性に比べると、女性の場合は「気分>理論」なことが多いです。だからこそ「罪悪感が薄れる=ギルトフリー」のような言葉や商品が女性向けに発売されたりします。
食事制限や我慢ではありません。「今日の自分に必要なものを選ぶ」という感覚が、ダイエットや美容意識の高い層にちょうど刺さっています。さらに「薬膳スープ」というワードも、なんとなく体によさそう・美容によさそうというイメージを後押ししています。
真っ赤なスープに山盛りの具材という見た目のインパクトも、SNS映えとの相性が抜群です。
■ まず前提:麻辣湯そのものは悪くない
最初にお伝えします。麻辣湯は、外食の中では栄養設計をしやすい料理です。野菜中心で構成すれば、300〜400kcal台に抑えることもできます。
問題は「どう食べるか」です。

自由度が高いからこそ、気づかないうちに選択がズレていきます。ここが最大の落とし穴です。
■ 「春雨=低カロリー」という最大の誤解
麻辣湯といえば春雨です。「麺の中でいちばんヘルシー」と思っている方も多いですよね。
でも春雨の主成分はデンプン、つまり糖質です。白米やうどんと本質的には同じ糖質です。茹でた状態で比べると下記の通りです。

お店で提供される春雨は1杯あたり150〜200g前後になります。実際の糖質摂取量は、表の数字の1.5〜2倍にふくらみます。春雨は喉越しがよく、咀嚼回数が少ないまま飲み込めてしまいます。「食べた感」が残らないまま、ごはん1杯分に近い糖質を摂取している実態があります。

「春雨だから大丈夫」という安心感こそが、麻辣湯で太る最大の落とし穴です。
■ 無意識に太る具材の組み合わせ

カスタムが自由なぶん、組み合わせ次第で一杯のエネルギーは700〜900kcalを超えます。

もう一つ、見落としやすいのが辛さです。
カプサイシンには、中枢神経や副腎を刺激してアドレナリン分泌を促す働きがあります。アドレナリンが体熱産生を高めて発汗を促し、エネルギー代謝を押し上げます。だからカプサイシンは「ダイエットに適した食品成分」とされてきました。
ただし、同時に食欲を増進させる作用もあわせ持ちます。だから食後に「甘いものが欲しい」「アイスを食べたい」という気持ちになりやすいのです。
「麻辣湯+食後スイーツ」の組み合わせが、体重増加の本当の原因になっているケースは少なくありません。
■ スープを飲み干すと、翌日むくむ理由
「麻辣湯を食べた翌日、体重が1〜2kg増えた」という経験がある方もいると思います。
これは脂肪が増えたわけではなく、多くの場合は「むくみ」です。

麻辣湯のスープは塩分が高めです。
スープ約223gに食塩相当量が約1.92g含まれているというデータもあります。飲み干すと一食で一日の推奨摂取量の半分以上になります。塩分が増えると体は水分を欲して飲み物を多く飲みます。だから翌日むくんで体重計の数字が上がるのです。
スープを残すだけで、エネルギーを150〜300kcal、塩分を3〜5g削減できます。スープは「具材を美味しくする液体」と割り切って、全部飲まなくて大丈夫です。
■ お店で食べる?カップ麺で楽しむ?選び方と注意点
まず日本で展開している主な麻辣湯チェーンを整理しておきます。

お店で食べる場合のメリット・デメリット
メリットは、具材を自分で選べる点です。
野菜・たんぱく質・麺の量を調整できます。食べ方を知っていれば、栄養設計をしやすい外食です。
デメリットは、具材選びに迷うと無意識に高カロリーな組み合わせになりやすい点です。特に楊国福のようなビュッフェ形式は、ボウルに盛りすぎる行動心理やついつい食べ過ぎてしまう傾向があります。
カップ麺(中華房 麻辣タン春雨など)のメリット・デメリット
TikTokでも話題になっている中華房の麻辣タン春雨カップ麺のような商品も増えてきました。手軽に麻辣湯の味を楽しめる点が最大のメリットです。
ただし管理栄養士として気になる点が2つあります。
ひとつは具材のたんぱく質が少ない点です。
カップ麺は麺と調味料が中心になります。お店のように鶏むね肉や豆腐を加えられません。だから糖質に偏りやすくなります。
もうひとつはスープを飲み干しがちな点です。
お店なら「残す」選択ができます。一方カップ麺は少量のスープに塩分が凝縮されています。飲み干すと塩分過多になりやすくなります。
どう選ぶか
ダイエット中・体重管理したい方
→お店でカスタム注文する。野菜とたんぱく質を意識して選ぶ
手軽に食べたい・おうちで楽しみたい方

→カップ麺でも大丈夫。卵や温泉卵、肉やエビなどの魚介類、冷凍野菜を加えるのがおすすめ(お湯を沸かすついでに具も一緒に茹でられます)。サラダチキンや豆腐を別で足すのもアリ。スープは半分残す
■ 痩せる人の注文の組み立て方(お店編)

お店で食べるときに意識したいのは、この3つです。難しく考える必要はありません。
① ボウルの半分は葉物野菜を土台にする
白菜・もやし・チンゲン菜などをベースにします。
小松菜・ほうれん草・ニラ・春菊などの緑黄色野菜も加えると、β-カロテンやカリウムがとれて栄養バランスが整います。その上に具材を乗せるイメージで組み立てます。
② 噛み応えのある食材を入れる
キクラゲ・山くらげ・干し豆腐・乾燥湯葉など。よく噛む食材があると、満腹中枢が早めに刺激されます。だから食べすぎを防げます。
③ たんぱく質をしっかり確保する
鶏むね肉(皮なし)・海老・豆腐・白身魚・牛すじあたりがおすすめです。揚げていないもの、脂身が少ないものを選ぶとベターです。
そして春雨は「当たり前に全量食べる」をやめます。こんにゃく麺や野菜増量に変えられる店なら、そちらも選択肢に入れます。ハーフにしてその分野菜を増やすだけでも、糖質量は大きく変わります。
お店別・注意するポイントが違う

七宝麻辣湯は春雨が最初から固定されています。だから「何を足すか」という加算思考になりやすくなります。
楊國福はビュッフェ形式で盛りすぎやすくなります。ボウルに入れる前に一度立ち止まる意識が大事です。
■ 麻辣湯の翌日にやること

食べた翌日はカリウムを意識して摂取するのがおすすめです。カリウムはナトリウムの排出を助けます。だからむくみが早く抜けます。
あわせて水分をしっかり補給することもポイントです。「むくんでいるから水を控えよう」と考える方もいますが、逆効果です。水分が不足すると体は余計に水を抱え込もうとします。常温の水や白湯を1日1.5〜2L目安にとると、ナトリウムの排出がよりスムーズになります。

先にも述べたように、家で食べる場合は麻辣湯にほうれん草や海藻を多めに入れておく、お店の場合も野菜を多く選ぶこと自体が、むくみの予防になります。
翌日の食事で塩分を控える工夫
みそ汁は「だしと具を多めに」
だし(だしパック可)をしっかりとって、具を増やすと、味噌の量を減らしても満足できる味になります。サラダよりお浸し系を選ぶ
ドレッシングは意外と塩分・脂質が多いです。お浸しなら少量のしょうゆやポン酢で済みます。サラダにする場合は「千切りに注意」
千切りキャベツのような細かい野菜は表面積が大きく、ドレッシングを多く吸います。同じ量をかけたつもりでも、塩分・脂質の摂取量が増えやすいので気をつけましょう。
■ 一食だけで考えないのが本当のポイント
麻辣湯で太る人に多いパターンは、麻辣湯そのものではありません。「前後の食事が崩れること」のほうです。
「今日はヘルシーな麻辣湯だったから」と油断して夜にスイーツを足す
お腹が空きすぎてコンビニに寄る
翌朝食欲がなくて朝食を抜く
お昼に血糖値が急上昇する
この連鎖のが、体重変化に影響します。
そこで私がおすすめしているのが、1週間単位で整える「1週間コントロール法」です。
平日バージョン

毎週きっちりやる必要はありません。「こういう流れで整えられるな」という感覚を持っておくだけで、結果は大きく変わります。
応用編:いつ食べるかで変える1週間の組み立て方

水曜以外に麻辣湯を食べる日もあると思います。週末に楽しみたい方向けに、土曜・日曜パターンも紹介します。
麻辣湯を「土曜」に食べる場合

麻辣湯を「日曜」に食べる場合

※翌週の月曜は「むくみ解消+代謝リセット」を兼ねて、ほうれん草の和え物・バナナ・具だくさんの体内活性みそ汁+たんぱく質中心の食事にします。
土日に食べるときの共通ポイント
土日は外食や飲み会が増えやすいので、麻辣湯と他の外食を同じ日にしないのがコツです。たとえば「土曜のランチに麻辣湯を食べたら、夜は雑穀入りごはんと体内活性みそ汁の一汁一飯でやさしく整える」というように、一日の中で調整します。
また、翌日にむくみを持ち越さない工夫として、日曜に食べた場合は月曜の朝食にバナナやキウイなどのフルーツ、具だくさんの体内活性みそ汁などカリウムを意識した食事を取り入れるのがおすすめです。
▼体内活性みそ汁
■ まとめ:麻辣湯は「食べ方を知っている人」の味方になる

春雨は「ごはんと同じ炭水化物」として扱う
揚げ物・加工品の重ねとり、スープの飲み干しを避ける
ボウルの半分を野菜の土台にする。噛み応えのある食材とたんぱく質を組み合わせる
翌日はカリウムを意識する
一食単位ではなく、1週間の流れで整える
麻辣湯は、知識があれば十分楽しめる外食です。「太るから食べない」ではなく、「こう食べればいい」を知っていただけたらと思います。
外食などを楽しみつつ「食べながら痩せるサポート」を行っています。まずはお試しカウンセリングにお越しくださいませ(オンラインです)。
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▼三か月オンラインダイエットスクール
■ 参考文献・出典
日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
三城円「1週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法」サンマーク出版(2019)
中村宜督「からだにいいってホント?食品でひく 機能性成分の事典」女子栄養出版部(2022)
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日本パーソナル管理栄養士協会代表理事/San-CuBic代表 三城円です。当協会のパーソナル管理栄養士チームとともに、おいしく食べながら「内臓力アップ」と「健幸美ライフ」の情報、管理栄養士としての想いを発信してまいります。よろしくお願い申し上げます。