【BL二次小説(R18)】 朝まで踊りたい②
「靖。初めてじゃないか、連れがいんの」
ス、スキンヘッドで口髭の大男が……!
「店長、こいつオレのマブダチ。イケメンだろ」
「おう。いつでも遊びに来てくれよ、イケメン君」
大柄な店長に背中をバンバン叩かれる。
ゲホゲホ。
「靖。一度ぐらい女の子と一緒に踊ってやれよ」
「ハァ?ヤだよめんどくせー。オレぁ一人で気楽に踊りてェの」
「オマエが一緒に踊ってくれりゃあ、もうちっと女性客増えるんだがなぁ」
「オレ従業員じゃねーんだけどォ?客だぜ?好きにさせてくれヨ」
「いっつもタダ酒喰らってるだけじゃねーか。もっと貢献しやがれ」
「だから今日、ダチ連れて来たじゃねーか」
豪快にガハハと笑う店長と靖友とのやり取りを聞いていて、益々オレは……寂しくなっていった。
オレの知らない靖友の生活。
大学生になって酒も呑めるようになり、少し大人になって行動範囲も広がった。
高校時代と違うのは当たり前だ。
変わっていないのはオレだけか……。
「女の子と踊ったりするんだ、靖友」
「ハァ?今ちゃんと話聞いてたかァ?踊らねーっつってんだろ」
オレはなんでこんな質問したんだろう。
靖友が、女の子と一緒に踊る姿なんか想像したくない……そう思った。
「気ィ遣うだろーが。そんなことしたら。踊った後もドリンク奢ったり?この後どっか行くゥ?とか?ハッ!ウッゼ!」
……そう聞いて、ちょっとホッとしたオレがいる。
「新開、それ全部呑んじまえよ」
呑みかけのグラスを指差され、オレはグイッと呑み干した。
「踊ろうぜ」
靖友がオレの手を引く。
「あ、このグラスは?」
「そこ置いときゃ勝手に片付けてくれっから」
オレは靖友に連れられて、ダンスフロアへ入る。
初めてで、すごい緊張する。
靖友は人混みの間をぬって、壁際へ。
壁は一面の鏡だった。
「ここで自分の姿を確認しながら少しずつ覚えんだ」
「ス、ステップとか?」
「ステップなんてェのは流行がすぐ変わっから、覚える必要ねェ。なんなら足なんか動かす必要もねェ」
「そうなの?」
「足を肩幅に開いて。重心は腰の後ろだ。そうそう」
靖友に腰を掴まれて、なんだかくすぐったい。
「さすがバランス感覚イイな。すぐ覚えンぜ。次は腕だ」
両腕を高く挙げさせられ、恥ずかしい。
「腕が一番のポイントだ。常に両腕は挙げておけ。肘をもっと上に。顔の横まで挙げンだ。それだけでもうダンスになってる」
「ええ?」
「ホラ。鏡見てみな」
……確かに、腕を挙げただけで踊ってるように見える。
「この基本ポーズだけ覚えとけ。あとは音楽にノッて揺れてるだけだ。簡単だろ?」
「へぇ……」
思ってた程難しくなくて拍子抜けした。
「オレの真似しな。腰をこうグラインドさせて……」
「こう?」
「そうそう。うめェじゃねーか。肘をこう観音開きに……」
言われた通りにやってみる。
「オメー、筋イイな。もうアイドルみてェだ」
「なんだよソレ」
誉められてんのかよくわからない。
だけど、靖友と一緒に踊ってるの……楽しい。
「次はこう……肘を締めて耳につけたまま頭の上まで挙げて、手はパーに広げたまま首の後ろを掴み、顎を上げる。視線は前だ」
ドキン!
「そ、そんなセクシーなポーズ……」
「踊りなんて全部セクシーだぜ。みんなやってんだ。躊躇してたら余計恥ずかしいって」
い……いや、自分がやるよりも、靖友のセクシーポーズにグッときちまって……。
なんかオレ……おかしい。
すると、今までアップテンポだった音楽が急にスローで静かな曲に変わった。
照明も暗く落とされる。
ダンスフロアからサーッと客がいなくなり、残っているのはカップルだけに。
「チークだ。来いよ、新開」
「えっ?だけどチークって……」
「チークだって覚えなきゃいけねーだろ?」
靖友は右手でオレの左手を握り、左手はオレの首に回した。
