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週刊やわらか返信室 第10号「今回は、あまり自信がありません」

皆様、こんにちは。

今週も編集部では、
どうでもいいことに、
それなりの時間を使いました。

それでは、
今週号をお届けします。


今週のインタビュー No.7 雨宮 澪

雨宮 澪(あまみや みお)

1996年生まれ。

東京都出身。

声優。

高校時代、
放送部で読んだ一冊の絵本をきっかけに、
声の仕事を志す。

専門学校卒業後、
ゲームやテレビアニメ、
ナレーションなどを中心に活動。

派手な役より、
静かな役を担当することが多い。

代表作

・『商店街ヒーロー日和』
・『爆笑戦隊ガハハマン』
・『終点図書館アルカディア』
・『天使か悪魔か吉田さん』
・『星屑スケッチ』

収録現場では、
台本を読む前に、
必ず一度だけ無言でページをめくる。

理由を聞かれると、

「紙の音を聞いています」

とだけ答える。

趣味

図書館で返却された本の栞を見ること。

特技

高校から続けている剣道は現在四段。
休日は地域の道場で子どもたちの稽古にも参加している。

編集部

本日はよろしくお願いします。

雨宮

お願いします。

編集部

今日はスタジオではなく、

剣道場帰りと伺いました。

雨宮

はい。

毎週通っています。

編集部

声優と剣道。

最初は結びつきませんでした。

雨宮

皆さんそう言います(笑)

でも私には、

結構普通なんですよ。

編集部

収録にも影響しますか。

雨宮

姿勢ですね。

長時間立っていても、

前より疲れにくくなりました。

編集部

以前、

食レポもされていましたよね。

雨宮

しました(笑)

ラーメン六杯。

最後は、

「美味しい」

しか言えませんでした。

編集部

色々なお仕事を経験されていますが、

現場ごとに空気は違いますか。

雨宮

違いますね。

静かな現場ほど、

始まる前のおしゃべりが多い気がします。

編集部

意外です。

雨宮

本番が始まると、

急に誰も話さなくなるんです。

その切り替わる瞬間、

私は結構好きですね。

編集部

新人時代で、

今でも覚えていることはありますか。

雨宮

あります。

収録が終わって、

「今日は駄目だったな」

と思って帰ろうとしたら、

先輩が、

「また来週ね」

って普通に言ってくださって。

その一言だけ、

今でも覚えています。

編集部

救われた言葉ですね。

雨宮

そうですね。

あの一言がなかったら、

続いていなかったかもしれません。

編集部

それでも続けられた理由は。

雨宮

向いていたかは、

今でも分かりません。

でも、

続ける日は、

毎回来ました。

編集部

最後に、

読者へ一言お願いします。

雨宮

……

「話すのが得意な人より、

聞いてくれる人を、

私は結構覚えています」

(取材が終わり、編集部員が、ボールペンを落としました。
雨宮さんは、拾い上げる前に、
「キャップ!」
机の脚の奥でした。その一言が、今日一番印象に残りました)

未来予想図

2046年

2046年。

電車の座席に、

「あと二駅で降ります」

ボタンが付きます。

押すと、

席の上で小さなランプが光ります。

譲る人も、

立ち上がる人も、

少しだけ慌てなくなりました。

便利でした。

でも、

降りる駅を寝過ごした人だけは、

最後まで押せませんでした。

一瞬だけ、漫画だった日

人生を振り返ると、ほんの数秒だけ、

漫画の一コマのようになってしまう瞬間があります。

そんな「あとから思い返すと漫画だった瞬間」を、
記録する企画です。

手を振った先は、違いましたの巻

古書院りひとの勝手に悩み相談室

質問

古書院先生、こんにちは。

福岡県在住、三十五歳、会社員です。

最近ふと思いました。

先生は死んだ後、

周りの人に、

どんな人だったと思い出されたいですか。

私は、

優しかった人と言われたい日もあれば、

面白い人だったと言われたい日もあります。

先生のお考えを伺いたいです。

古書院

皆さん、

死後の話になりますと、

墓石へ何を書くか、

遺影をどうするか、

その辺りから考え始めます。

私は、

少々違います。

星です。

もっとも、

私が夜空へ打ち上げられる予定はありません。

天文学では、

遠くの恒星を見ているつもりでも、

届いているのは、

何百年も前に放たれた光です。

オリオン座のベテルギウスも、

今夜見えている姿は、

約六百四十年前のものになります。

星というものは、

「今」よりも、

「昔送り出した光」で知られております。

人も、

案外そういうものです。

亡くなったあとに思い出されるのは、

最後の一日ではなく、

もっと前に何気なく話した一言だったりします。

だからでしょうか。

昔から、

命日に好物を供える風習があります。

あれは、

亡くなった人の食事というより、

残った人の記憶を呼び起こす合図なのです。

饅頭を供えれば、

「あの人は甘い物が好きだった」

漬物なら、

「いつもこれだけは欠かさなかった」

そんな話が自然と始まります。

名前より先に、

癖を思い出す。

人とは、

そういう生き物らしい。

ですから、

私なら、

「変なことばかり考えていた人」

そのくらいで十分です。

そう思い出していただければ、

星の話も、

風習の話も、

ついでに思い出していただけるでしょう。

もっとも、

その頃には、

私は確認できませんので、

少々気楽な話であります。

編集部解釈

色即是空(しきそくぜくう)

今週の変な音

静かな部屋で、

壁が

「パキッ」

と鳴りました。

何も起きていません。

でも、

少しだけ姿勢を正しました。

編集部装丁

編集部が、その本の余韻を勝手に表紙と帯にしました。
※当記事には Amazon アソシエイトリンクを含みます。

📖 『旅のラゴス』 筒井 康隆

編集部帯

旅が終わる頃には、見送る人まで忘れられなくなっていました。

編集部コメント

再読するたび、

ラゴスが歩いた道より、

立ち止まって見送った人たちの方を、

長く思い出します。

妄想旅行

長崎県・五島列島

まだ行ったことはありません。

でも、

フェリーが港へ近づく頃には、

潮の匂いだけではなく、

少し古い木の匂いも混ざっている気がします。

港には、

急いで歩く人より、

知っている人を見つけて立ち止まる人の方が多そうです。

坂を上ると、

洗濯物が風ではなく、

島の時間に揺れているように見えます。

昼ご飯は、

五島うどん。

細いのに、

思っていたより強くて、

あごだしは静かな味でした。

「優しい」ではなく、

何度でも戻ってこられそうな味です。

午後は、

海を見ながら何もしません。

観光地なのに、

何もしない時間の方が、

贅沢に思えてきます。

夕方になると、

港へ戻ります。

帰る船を待っている人もいますが、

見送りに来ただけの人もいます。

手を振る距離が、

少し長い島でした。

船が岸を離れると、

建物より先に、

防波堤に立っている人が小さくなっていきます。

その景色だけで、

「また来ます」

と言ってしまいそうでした。

まだ一度も行っていないのですが。

今週の一曲 Adele Hello


Hello

今週はこの曲でした。


やわらか返信室では、
現在は主に4つの企画を書いています。


もし気が向いたら

他の企画や自己紹介ものぞいてみてください。

どこかで、自分だけだと思っていたことに出会えるかもしれません。

📖人間関係の小さい温度差を観察する話


🌙生活の途中で思い出す、景色や気持ちの話


📮少し昔の相談員が現代の悩みに答える話


📰編集部がどうでもいいことを真面目に考える雑誌

編集部より

編集部の冷蔵庫は、麦茶だけ減り方が少し本気です。

やわらか返信室 編集部

編集後記

今週、

「夏らしいことを一つだけ挙げてください」

という話になりました。

花火、

風鈴、

高校野球、

かき氷。

いろいろ出ましたが、

一人だけ、

「スーパーへ入った瞬間の冷房」

と言った人がいました。

少し考えましたが、

それも夏でした。

今週号はこの辺で。

また来週、

どうでもいいことを観察してきます。


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