#003|キリンの首の骨、実は人間と同じ数だって知ってた?|動物・脳の雑学3選
動物園でキリンを見上げるたび、僕はいつも同じことを考えます。「あの長い首、骨はいったい何個入っているんだろう」って。
子どものころの僕は、絶対に何十個も詰まっていると信じ込んでいました。でも本当の答えを知ったとき、思わず「えっ、そんなことある?」と声が出てしまったんです。
今日はそのキリンの話から、喉まで出かかっているのに思い出せない"あの現象"、そして脳の真ん中にある太い「橋」の話まで。少しずつ深いところへ潜っていきます。
キリンのあの首、骨は何個入っている?
結論から言うと、キリンの首の骨は7個。しかもこれ、僕たち人間とまったく同じ数なんです。
哺乳類の仲間には、ちょっと不思議なルールがあります。首の骨(頸椎)の数は、基本的にどの種も7個。首の長いキリンも、首の短いネズミも、そして僕たち人間も、みんな同じ7個で組み立てられているんです。
じゃあ、なぜキリンだけあんなに首が長いのか。
答えは「数」ではなく「長さ」。7個という数はそのままに、骨1つ1つを極端に長く伸ばすことで、あの2メートル近い首を実現しています。ブロックの数を増やすのではなく、1個ずつを大きくした、というイメージですね。
もう一段、面白い話を。
国立科学博物館の郡司芽久さんの研究によると、キリンは首の骨のすぐ隣にある「第一胸椎」——本来は胴体側の骨——を約15度動かして、まるで"8番目の首の骨"のように使っているそうです。首の全長が2mほどあるので、その付け根が15度動くだけで、頭の先が届く範囲は50〜60cmも広がる。ルール(7個)は守りながら、隣の骨をこっそり借りて可動域を稼ぐ。この"制約の中の工夫"、進化の賢さを感じませんか。
ちなみに「首が長い=骨がたくさんある」というのは、よくある勘違い。実際は数ではなく、1個あたりの長さの違いなんです。
10秒で誰かに話すなら——「キリンの首の骨って、実は人間と同じで7個しかないんだって。数じゃなくて、1個1個が長いだけらしいよ」。動物園デートや、子どもと図鑑を眺めているときにこぼすと、一気に物知り扱いされます。

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喉まで出かかっているのに、思い出せない
あの「もう少しで思い出せそうなのに出てこない」状態には、ちゃんと名前があります。心理学でいう「舌先現象(TOT現象)」です。
英語では tip of the tongue、つまり「舌の先まで来ているのに」という意味。1966年、ハーバード大学のロジャー・ブラウンとデイビッド・マクニールが、初めて実験でこの現象を確かめました。
彼らは、珍しい単語の"意味の説明"だけを読み上げて、その単語を当てさせる実験をしました。すると面白いことに、肝心の単語そのものは出てこないのに、頭文字や音の数、似た響きの言葉は、偶然よりずっと高い確率で答えられたんです。
これはつまり、「思い出せない」ときでも、記憶の一部にはちゃんとアクセスできている、ということ。完全に忘れているのではなく、取り出しに一時的に失敗しているだけなんですね。
以前#002の記事で「一度気になると急にそればかり目につく」頻度錯覚の話をしましたが、これも脳のクセが生む面白い現象という点では、遠い親戚のようなものかもしれません。
ある研究では、この舌先現象はほとんどの人が経験する"ほぼ普遍的なもの"で、平均すると週に1回くらい起こり、年をとるほど頻度が増える傾向があるとされます(もちろん個人差はあります)。特に「人の名前」で起こりやすいのだとか。心当たり、ありませんか。
10秒で誰かに話すなら——「喉まで出かかって思い出せないの、あれ"舌先現象"って正式名称があるんだよ。頭文字だけは出てくるでしょ? あれ、記憶が半分は取り出せてる証拠なんだって」。
左右の脳をつなぐ、約2億本の"橋"
僕たちの脳の真ん中には、左右の脳をつなぐ神経線維の太い束があります。その名も「脳梁(のうりょう)」。中を通る線維は、なんとおよそ2億本。
脳は右脳と左脳に分かれている、という話は聞いたことがあると思います。その二つを結んでいるのが脳梁で、右脳で感じたことと左脳で考えたことを、瞬時にやりとりさせる"橋"の役割をしています。
この橋がどれだけ大事か。それを教えてくれたのが、スペリー(Roger Sperry)らの「分離脳」の研究です。てんかんの治療などで脳梁を切り離した人を調べると、右側の視野に文字を見せれば読めるのに、左側の視野に見せると読めない、という不思議なことが起きました。左右の脳が、別々に情報を処理していたんですね。
以前#001の記事でも記憶や脳の話に触れましたが、脳って調べるほど"分業"の仕組みが見えてきて、本当に面白いんです。
ちなみに神経線維の本数は、研究によって「約2億〜2億5千万本」と幅があります。全長もおよそ8〜10cmと、調べ方で少し変わる。1つの数字が独り歩きしがちですが、"だいたい2億本前後"と幅で捉えるのが正確です。
10秒で誰かに話すなら——「脳の真ん中に、左右の脳をつなぐ2億本の線の束があるんだって。これが切れると、右目で見た文字は読めるのに左目だと読めない、みたいなことが起きるらしいよ」。
今日の引き出しは3つ
キリンの首の骨は人間と同じ7個。思い出せないあの状態は「舌先現象」。そして脳の真ん中には約2億本の橋がある。体の話って、こんなに身近なのに知らないことだらけですよね。
今日の都市伝説|まゆげコアラを見つけると、幸せになれる?
子どものころ、こんな話を聞いたことはありませんか。
ロッテの『コアラのマーチ』には、まれに"まゆげのあるコアラ"が紛れていて、見つけると幸せになれる、願いが叶う——。まゆげコアラや盲腸コアラといった珍しい絵柄は縁起がいいと、子どもたちの間でずっと語り継がれてきました。
実際のところは、こうです。
絵柄の種類は初代の12種から、今では365種類ほど(ピーク時は500超、歴代では累計800種を超えるとも)。ただ「まゆげ」はメーカーが眉を描いたわけではなく、トランペットを吹くときの眉間のシワが眉に見えたもの。「盲腸コアラ」も転んだ傷跡がそう見えただけで、どちらも公式の設定ではなく、消費者側の"見立て"なんです。1990年ごろ、女子高生の口コミから「まゆげコアラで幸せに」が自然発生し、社会現象になりました。各絵柄の出る確率は均等で、レアな封入率を下げているわけでもない。つまり厳密には「当たり」ではないんですね。
あくまで都市伝説。でも——見つけた瞬間にちょっと嬉しくなるのは、本当。幸せになれるかどうかは、きっと見つけた人の気持ち次第です。
情報源
キリン: 東山動植物園 公式ブログ「キリンの首の骨はいくつ?」(2016) / これから研究の話をしよう(郡司芽久氏インタビュー)
舌先現象: Brown (1991) レビュー(PubMed) / Wikipedia: Tip of the tongue
脳梁: 脳科学辞典「分離脳」 / StatPearls: Corpus Callosum (NCBI) / Cleveland Clinic: Corpus Callosum
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