見出し画像

息子が笑っていた夜、私は家を出たくなった。

その日、私は息子の友達と、その弟を家に招いた。三人はゲームをしながら、何度も笑っていた。

私は病院へ行く予定があったので、
そのあと息子をママ友にお願いした。

帰ってきた息子は、映画の話をして、
ガストの話をして、また映画の話をした。

「今日は楽しかった。」
そう書いてあるみたいな顔だった。

学校で苦しい時間が続いてきたからこそ、
あんなふうに笑う顔を見られただけで、
胸の奥がほどけた。

母親として、
あの笑顔を見られただけで十分だった。

なのに、その夜だった。
私は、家を出たくなった。

一人で暮らしたい。
そう思った。

息子が嫌になったわけじゃない。
一人になりたいほど、息子に疲れたわけでもない。

ただ、もう
何も考えなくていい部屋に行きたかった。

誰にも話しかけられない夜がほしかった。

「ママ。」

その一言に
返事をしなくてもいい時間がほしかった。

ご飯を考えなくていい。
洗濯をしなくていい。
明日の学校を心配しなくていい。

そんな時間が、少しだけほしかった。

きっと、世の中には同じことを
思ったことがある親がいる。

でも、口には出せない。

「家を出たい。」
そう言った瞬間に、
「子どもを愛していない母親」
になってしまう気がするから。

だからこそ苦しい。

その笑顔を見られたことが、本当に嬉しかった。
それでも私は、家を出たいと思うほど疲れていた。

そのどちらも、本当だった。



📚 前の記事

「助けて」と言える相手が、夫ではなく他人だった。支えを求める相手が変わった理由を書いています。⏬️

📚 あわせて読みたい

頑張ることが当たり前だった私が、初めて立ち止まった日。心と体が出していた小さなサインについて書いています。


#子育て
#子育てエッセイ
#母の本音
#エッセイ
#日常
#暮らし
#育児

いいなと思ったら応援しよう!

とも|教育のプロ、家ではバタバタ母 記事を読んで応援したいと思っていただけたら、とても励みになります。いただいたチップは執筆活動に大切に使わせていただきます。