「かいちゃん、優しいから」
幼稚園の頃、息子は毎日
スクランブルエッグを作っていた。
朝も卵。夜も卵。
一週間くらい続いたと思う。
正直に言うと、私は少し飽きていた。
またか、と思いながら、黙って横で見守っていた。
きっかけは幼稚園のチャボだった。
掃除当番の時に卵を見つけて、
クラスのみんなでパンケーキにして食べたらしい。
息子はその話をうれしそうにしてくれた。
「じゃあ、おうちでもやってみる?」
そんな流れだったと思う。
卵液をフライパンに流し込む。
息子はシャカシャカと箸で混ぜた。
黄色い卵が少しずつ固まっていく。
「おっ」と言いながら、また混ぜる。
シャカシャカ。シャカシャカ。
気づくと火が入りすぎて、
ポソポソになっている日もあった。
茶色くなっている日もあった。
でも私は何も言わなかった。
夢中になっている時に
横からあれこれ言われるのは嫌だ、と思った。
大人だって嫌だから。
ある日、今日は作るのかなと思って
様子を見ていたら、作らなかった。
「あれ、今日は?」
息子は首を振った。
「たっぷり楽しめた?」
コクンとうなずく。
私は息子の頭を、思いっきりクシャリとした。
窓掃除の時は、お気に入りの水鉄砲を持ってきた。新幹線こまちの赤いデザインで、
大きな水タンクが付いているやつだ。
窓に向かってビシューッと水を飛ばす。
私は横でワイパーを持つ。
ビシューッ。シャーッ。
ビシューッ。シャーッ。
東の空から差し込む光の中で、私は窓を磨いた。
上履きは、右足が息子、左足が私。
給食の白衣は、
自分でアイロンをかけるようになった。
食べた食器は自分で片付ける。
野菜を切っている横で、
炒め物を混ぜてくれることもある。
ただそれだけで、次の野菜が切れる。
暮らしは、そういう小さなことで回っている。
最近、ふと聞いてみた。
「なんでゴミ捨てとかやるの?」
ママが言うから。
うるさいから。
そんな答えが返ってくると思っていた。
息子は言った。
「かいちゃん、優しいから」
へぇ。
そうか。
そうだったんだ。
私は息子の頭を、思いっきりクシャリとした。
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かいちゃんの優しはこれだけじゃない!笑
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コチラも優しさの塊(親バカ笑)
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#家事のみかた #子どもの成長を感じるとき
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