「お前は、男にごちそうしてもらうのが当たり前だと思ってる。」
これは、まだ20代だった頃の話です。
毎日のご飯は、
いつの間にか私が作るものになっていた。
そんな暮らしの中で、
私が望んだことは一つだけだった。
週に一度くらい、
ご飯の担当を代わってほしかった。
それだけだった。
気づけば、
食費は私が出すようになっていた。
買い物へ行くのも、
献立を考えるのも、
料理を作るのも、
私だった。
それが当たり前になっていた。
だから思った。
週に一度くらい、
「今日は俺が考えるよ。」
そんな日があってもいいんじゃないか、と。
料理ができないなら、
外食でもいい。
でも、その日は、
どこへ行くかを考えるのも、
お金を払うのも、
あなたが担当してほしかった。
毎日の食費を私が出していることなんて、
わざわざ請求したことはない。
でも、
「いつもありがとう。」
「これ、食材費に足して。」
そんな一言が、
どこかで自然にあるものだと思っていた。
それからしばらく、
そんな気持ちのまま外食へ行く日が続いた。
私は、
「今日は担当の日だから。」
そんな感覚でいただけだった。
でも、数週間たったある日。
彼は突然言った。
「お前は、男にごちそうしてもらうのが当たり前だと思ってる。」
私は、言葉を失った。
違う。
そうじゃない。
私が話していたのは、
たった一回の外食代のことじゃない。
毎日の暮らしのことだった。
普段の食費も、
毎日の料理も、
私が担ってきた。
その積み重ねがあって、
「週に一度くらい担当を代わってほしい。」
そう伝えたつもりだった。
でも、
彼には、
外食の場面だけが見えていた。
私は、
男の人にごちそうしてもらうのが当たり前なんて、
一度も思ったことはない。
私が欲しかったのは、ただ一回の外食代じゃない。
毎日の献立を考え、買い物へ行き、料理を作る。
その積み重ねごと、
「今日は俺がやるよ。」
と受け止めてもらいたかった。
暮らしを、一緒に支えている。
その実感がほしかった。
でも、
その違いは、
最後まで伝わらなかった。
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「週に一度だけ」の願いは終わっても、料理との向き合い方は、また少しずつ変わっていきました。
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