ケープタウン・ナミブ砂漠旅③ナミビア着
【今回の旅程/2024年9月】準備編はこちらを見てね!
Day1・2 KIX→(SIN→JNB)→CPT(ウォーターフロント観光)→WDH★
Day3 ナミブ砂漠ツアー1日目
Day4 ナミブ砂漠ツアー2日目
Day5 ナミブ砂漠ツアー3日目
Day6 WDH→CPT(ライオンズヘッド)
Day7 喜望峰ツアー
Day8 ヘルマナスくじらツアー
Day9・10 CPT→(JNB→SIN→)KIX
ナミビアへ
搭乗時間が迫ってきたので、再びウーバーでケープタウン空港に戻ってきた。預けていた荷物を受け取りに行くと、朝と同じスタッフの青年がそこにおり、頑丈な鉄格子の扉の奥から私のスーツケースを取り出してくれた。荷物の保管場所としての安心感はすごいが、一方、この牢屋風の扉を守っているのはこの青年ひとりである。
搭乗手続き前に、スーツケースからダウンジャケットを取り出し着こむ。寒い寒い。

ウィントフック行きの飛行機は18:15発、これでようやく「行き」のラストである。2席×2席の小さな飛行機ではようやく通路側に着席できたのだが、二時間程度の飛行時間だったので、トイレに行く暇はなかった。
ところで、この飛行機にて、本日初めての「働く白人」(CA)を見た。経由地のヨハネスからケープタウン空港、ウォーターフロントにて、様々な働く人に出会い、見かけてきたが、その働く人らの中にはひとりとして白人はいなかったのである。南アで白人の占める割合は10%弱との情報を見たことがあるが、そうだとしても計算が合わない。このCAにしても、ナミビア人の可能性もある。南アの白人は一体全体、どこで働いているのであろうか。
ウィントフック到着、宿へ
沖止めの飛行機から徒歩で空港建屋へ向かう。関空のT2ピーチスタイルである。
ナミビアの入国には、今や懐かしき感さえある入国カードが必要のようだ。機内で配っていたかもしれぬが、機内食をおいしくいただいた後は爆睡していて準備がないので、入国審査の列に並びつつ、急いで記入する。ナミビアでの費消予定金額まで書かされるのはどんな目的なのだろうとか、このペーパーレスの時代に集まる大量の入国カードの行く末などに思いを巡らせつつ、ケータイで通話中の入国審査官におざなりにハンコを押されて無事ナミビア入国である。
到着ロビーに出ると、ちゃんとお迎えの人が来ていて大変安心した。この空港送迎はナミブ砂漠ツアーのサービスに含まれているもので、ほかのお客さんと一緒になる可能性ありとのことだったが、本日は私だけのようだ。
ウィントフックは、ケープタウンとは時差がないのに気候は異なり、なまぬるく暖かい。緯度の移動なのだ。ダウンジャケットを脱ぎ、運転手と駐車場に移動すると、私を今晩の宿まで運んでくれるというその車はなじみある日産マーチであった。
スーツケースを納めるはずのトランクには謎の立方体ドデカ荷物がすでに載っており、それを何とか脇に寄せて詰め込む(運転手が)。同様の立方体ドデカ荷物は助手席にも積まれており、それらの運送のついでに人間も運ぶ、といった風情である。
そして運転手は駐車料金を払ってくるから少し待っていてくれ、と言い残し、車内に私一人を置いて暗闇に消えていった。
さて、最初は周りに人影があったが、5分経ち、10分も経つと誰もいなくなり、非常に心細くなってきた。ここで強盗なんかがやってきたら身ぐるみはがされ全財産ボッシュートである。は、はよ戻ってこい!とドキドキしていたころ、音もなく急に暗闇から窓の外に人影が現れ心臓が爆発しそうになった。運転手であった。
曰く、駐車料金の機械が故障して手払いをする必要があり、長い行列ができていたんだスマンスマンとのこと。ビビらせやがって。なんでもいいからもうはよ出発してくれ。

空港からウィントフック市内の宿までは、なんと35キロも離れているとのことだ。実際、空港を出てからは真っ暗で何もない中をヘッドライトの明かりを頼りにひたすら爆走である。すれ違う車もほぼない。こんなに何もないのに、なにゆえ街から35キロも離れたところに空港を建てたのか、ここでもいろんな利権がうごめいているのだろうか。
路上にて
30分ほど走ると街の明かりが見え始め、しばらくすると車は暗い住宅地に入っていった。敷地の入口に有刺鉄線が張り巡らされている、あまり治安のよくなさそうな地域だが、宿はこの辺りにあるのだろうか。
ほどなくして、車はある通りの路肩に停止した。ヘッドライトの向こうでは、ゴミ箱パトロール中のホームレスが照らされている。宿に到着したんか?と窓の外に目をやろうとしたとき、運転手が小さく「ソーリー」と呟いて車を降りた。何がソーリーなん?と思った次の瞬間、右後ろから白い車が音もなくスー・・っと日産マーチに横付けしてきたのである。少なくとも3人の男が乗っているのが見えたと同時に、助手席から男が降りてきた。
こ、殺される!グルの車や!日本人のカモが手に入ったぜアニキ、などと先に連絡していたのであろう、きっとこのまま有り金と荷物も全部奪われて死ぬんや!!
本気でそう思ったのだ。心臓は実際一瞬止まったはずだが、その男らは私には目もくれず日産マーチに積んでいた例の立方体ドデカ荷物を受け取り、去っていった。
まじでめちゃくちゃビビった、お前(運転手)ほんまに土下座しろ。
こうして、ただ後部座席に座っていただけなのに何度も寿命を縮められ、ほうほうの体でようやく宿に到着した。日本を発って約36時間である。ヨレヨレのヘロヘロである。とにかく早く眠りたい。
カメレオンゲストハウス
ウィントフックでの宿はナミブ砂漠のツアー会社がオススメしていたうちのひとつで、のちに聞いたところによるとツアー会社とはシスターカンパニーとのことであった。地球の歩き方にも載っていたので、わりと日本人も多く利用するようだ。
あたりは真っ暗な中、運転手が到着を知らせると、頑丈な鉄の扉が開かれた。
敷地内もほとんど真っ暗で何がどうなっているかサッパリわからない。対応したスタッフも、今日はもう遅いから説明は明日すると言って、部屋に案内するだけですぐに消えた。宿自体は他に誰もおらんのか?と思うほどとても静かである。
到着日は疲れているだろうからとエアコン付きのちょっといい方の部屋をとったのだが、夜はエアコン要らずの涼しさである(翌朝震えて起きて、カーテンを開けたときに窓がひらきっぱなしだったことに気づくことになる)。

異臭警察出動
さてこのお部屋、トイレシャワー付きであるが、どうもその水まわりが臭うのである。それがなんとも説明しがたい、もわーんとした異臭なのだ。バスルームに入った瞬間にギャッとなるような、いわゆるウンチョスやシッコス系の馴染みある刺激臭タイプではなく、長年かけて醸成されたような”まるみ”のある臭さというか、包み込んで内側から破壊してくる系の臭さというか、なんとなく違和感を感じながらしばらくいるうちにオェェェェとえずいてくるのだ。とにかく表現が難しいのだが、この異臭警察の鼻はごまかせない。
臭いの発生源を突き止めようと嗅ぎまわっているうちに、トイレの備品にair freshenerというラベルが張られた霧吹きボトルがあるのが見つかった。さらに、便器の上部に15分だか20分周期で自動的にプシュッとする機械も発見したのである。
これは、宿側もこの部屋に対してクサイ認定をしている証左である。
試しにair freshenerをシュッシュと水回り一帯に振りかけてみたが、全然フレッシュされている感がない。そもそもこのair freshenerは市販のものではなく、白地の容器に得体のしれない液体が入れられた手作り感あふれるボトルなので、まったく信用ならない。
そうこうしているうちに、トイレ上部に設置された自動でプシュッとする機械がけたたましい音を立てて(なぜか扉を開くような音がして、その度にドキッとする)プシュッとするのだが、これも同様に全く効果がなさそうであった。
調べの結果、どうも洗面台あたりからこの異臭は来ているようである。その洗面台には「ナミビアでは水は大変貴重です。歯を磨いている間、水は止めてください。水を無駄にしないでください」的なメッセージが貼られているのだ。これは私の推測であるが、このメッセージを見た心ある人はみな節水を意識し、そろりと蛇口をひねり出水を最小に食い止めるだろう。そうして流れるべき水が流れず、臭いはこもり、それが下水から逆流しているのではないだろうか。知らんけど。
このように結論づけた私は、シャワー後、洗面ボウルにタオルを突っ込み異臭をブロックして眠りについた。15分だか20分周期で非常識な音を立ててプシュッとする機械にはそのたびビビらされたのだが、疲れが圧倒し、朝まで泥のように眠ったのである。
