子どもの日焼け止めと虫よけ、どっちが先?|薬剤師ママの着眼点
夏の朝は、時間との勝負です。
保湿剤や塗り薬を塗って、日焼け止めを塗って、着替えまで。上の子は肌が敏感で塗るものが多いので、終わるまでに5分以上かかります。
そのあと家を出て、駐輪場で2人に虫よけをします。
日焼け止めと虫よけ、どちらを先に塗ればいいのか。
一度は迷ったことがある方も多いと思います。
でも、順番を覚えようとしなくて大丈夫です。
それより先に決めておくと、ずっと楽になることがあります。
順番に迷わないための、いちばん簡単な方法
先にお伝えすると、日本小児皮膚科学会は
「塗り薬 → 日焼け止め → 虫よけ」の順
を案内しています。
日焼け止めを使ったあとに、その上から虫よけを塗る形です。
ただ、これを毎朝思い出すのは大変です。
慌ただしい朝に、順番を確認している余裕はありません。
だから私は、塗る場所を分けています。
・日焼け止めは、家の中
・虫よけは、家を出てから
これだけで、順番を意識しなくても、自然とこの順番になります。
もうひとつ、虫よけを外で使う理由があります。
スプレータイプの虫よけは、噴霧を直接吸い込まないよう注意が必要です。特に子どもに使うときは、製品の表示に従って使用します。わが家では、その点も考えて、虫よけは外に出てから使っています。
順番を覚えるのではなく、動線に組み込んでしまう。
これが、わが家でいちばん効いた工夫でした。
なお、製品によっては使い方の指示が違うこともあります。新しいものを使うときは、表示を確認してみてください。
朝がしんどかった時期のこと
今でこそ、この流れがスムーズに回っています。
上の子は素直に塗らせてくれますし、着替えもすんなり進みます。それどころか、塗り忘れた薬があると「ママ、忘れてるよ?」と指摘してくれる、頼もしい味方になりました。
でも、イヤイヤ期のころは本当に大変でした。
塗ろうとすると逃げる。着替えを嫌がる。
何をするにも進まない。玄関を出る前にすでに疲れ果てていて、朝からぐったりしていました。
これから書く選び方も、そのときの自分に教えたかったことです。
続けられるかどうかが、いちばん大事だからです。
日焼け止めは、表の数字より裏を見る
まずは、日焼け止めに表示されているSPFとPAについて整理します。
・SPF
主にUVB(赤く日焼けする紫外線)に対する指標
・PA
UVA(肌の奥まで届く紫外線)に対する防御力の指標
そのうえで、私は使う場面で分けて考えています。
保育園や散歩など、毎日使うとき
ここでいちばん優先しているのは、毎日嫌がらずに塗れることです。
日本小児皮膚科学会は、集団生活で使う日焼け止めについてSPF15以上、PA++〜+++を目安とし、普通の生活ではむやみにSPFの高いものを使う必要はないとしています。
私もこのくらいを基準にしています。
そのうえで見ているのはこのあたりです。
・伸びがよく、短時間で塗り終えられるか
・製品の表示どおりの方法で落とせるか
・実際に肌が荒れないか
紫外線吸収剤は、まれにかぶれを起こすことがあります。肌が敏感だったり、使ったときにかゆみや赤みが出たりする場合には、酸化亜鉛や酸化チタンといった紫外線散乱剤を中心にした製品も選択肢になります。
ただし、ここは誤解されやすいところです。
「紫外線吸収剤だから子どもには危険」ということではありません。ノンケミカルに絶対こだわる必要はなく、その子の肌に合っていて、きちんと塗れるものがいちばんです。
海やプール、水遊びのとき
ここは、考え方をがらりと変えます。
日常生活よりしっかりした対策が必要です。
海やプールなど水に入る場面では、UV耐水性表示も確認したい項目です。
UV耐水性は、日本で使われている客観的な表示です。
・★:40分の水浴試験
・★★:80分の水浴試験
ただし、これは「40分・80分効果が続く」という意味ではなく、耐水性を評価するための試験条件です。また、UV耐水性は汗への強さを示す表示ではありません。
この記事を書きながら、最初はネットで子ども用の日焼け止めを調べていました。そのときは、UV耐水性の表示がない商品が多いように見えました。
でも気になって、実際にドラッグストアへ行ってみたんです。
売り場で子ども用の日焼け止めをいくつか手に取ってみると、私が確認した範囲では、UV耐水性の表示がありました。
ネットで見た画像と、店頭に並んでいるパッケージが違う商品もあります。ネット上には、以前のパッケージ画像が残っている商品もあることに気づきました。
それでも、朝塗ったら夕方まで無敵、ということではありません。水に入ったり、タオルで拭いたりすると落ちることがあります。
通常の屋外活動でも2〜3時間ごとを目安に、汗をかいたりタオルで拭いたりしたときは、状況に応じて塗り直すことが勧められています。
SPFの数字より、大事なこと
実はここがいちばん伝えたいところです。
塗る量と、塗り直し。
SPFやPAの表示が高くても、塗る量が少なかったりムラがあったりすると、期待した効果は得られません。数字だけでなく、十分な量を均一に塗ることが大切です。
学会も具体的な量を示しています。顔ならクリームはパール粒大(7〜8mm)、液は1円玉大を手のひらに取って塗り伸ばし、同じ量でもう一度重ね塗り。首、耳、胸元、腕なども、塗り忘れやムラがないように塗ります。
屋外に出る15分ほど前に塗っておくと、肌になじんで白さも目立ちにくくなります。
そして、日焼け止めだけに頼らないこと。
帽子、ラッシュガード、日陰、UVカットの衣類、紫外線の強い時間帯を避ける。こうしたものと組み合わせることが勧められています。
虫よけも、裏面の有効成分を見る
こちらはもっとシンプルです。
パッケージの表には、いろいろな言葉が並んでいます。「赤ちゃんにも」「お肌にやさしい」「天然」。
私はそれより先に、裏面の有効成分欄を見ます。
日本の製品で中心になるのは、次の2つです。
イカリジン
小さい子には使いやすい選択肢です。
・年齢による使用制限がない
・蚊などに対する忌避効果がある
・一般に、濃度が高い製品ほど効果の持続時間が長い
3歳と2歳のわが家では、
迷ったらイカリジン
という選び方をしています。分かりやすいです。
ただし、対象害虫や使用方法、効果の持続時間などは製品ごとに確認して使います。
ディート(DEET)
昔から使われている、有効な成分です。
ただし小児では使用制限があります。
・6か月未満:使用しない
・6か月以上2歳未満:1日1回
・2歳以上12歳未満:1日1〜3回
・12歳未満は顔に使用しない
さらに、ディート30%の製剤は12歳未満には使用しない製品になっています。
つまり3歳・2歳ならディートが使えないわけではありませんが、「今日は何回使ったっけ?」を気にする必要があります。
だから日常使いはイカリジンを選んでいます。
子どもに使うときに気をつけていること
虫よけは、選び方だけでなく使い方にも注意が必要です。
・大人がいったん手に取ってから、子どもに塗る
・子どもの手には塗らない(口に入れてしまうことがあるため)
・顔には直接かけない
・目や口に入らないようにする
・密閉された場所でスプレーを使わない
場面ごとの選び方
・保育園、公園、散歩
イカリジン配合で、塗りやすいものを1本
・山、川、キャンプ
イカリジン15%など持続時間の長いタイプ
+長袖長ズボン
長時間の外遊びでは、年齢と使用回数を確認したうえで、ディートを選ぶという方法もあります。
持続時間も、選ぶときの参考になります。
厚生労働省の通知では、イカリジン15%は6〜8時間、ディート10〜12%は3〜5時間が目安とされています。
ディート30%は5〜8時間とされていますが、12歳未満には使用しません。
子どもに使うものなので、持続時間の長さだけで決めず、まず年齢制限を確認するようにしています。
そして、虫よけだけに頼らないこと。
長ズボン、靴下、帽子、草むらを避ける、ベビーカーなら虫よけネット。
虫よけは「刺されないための最後のバリア」くらいに考えると、ちょうどいいと思っています。
子どもを持つまで、私は何も見ていませんでした
正直に書きます。
自分ひとりだった頃、日焼け止めはSPFとPAの数字、ウォータープルーフの表示しか見ていませんでした。虫よけにいたっては、特に何も考えずに選んでいました。
子どもができてから、確認することが一気に増えました。成分を見る。年齢制限を見る。使用回数を見る。考えることばかりです。
でも、それは「子どもの年齢や肌に合い、きちんと効果が期待できるものを使いたい」という気持ちから来ています。同じことを思っている方に、まとめて渡せたらと思って書きました。
それでも、毎日塗れるものがいちばん
ここまで数字や成分の話をしてきましたが、最後にお伝えしたいのはこれです。
完璧を目指さなくて大丈夫です。
日常生活に必要な範囲の紫外線防御力があり、十分な量を毎日続けて塗れるものを選ぶ。私はそれを大切にしています。
塗り直しも同じです。
わが家では、保育園で塗り直してもらうことはできていません。それでも園庭に出るのは午前中だけなので、今のところはそれで回しています。虫よけは夕方の公園で私が塗り直します。
わが家はこれで回していますが、できることは家庭によって違うと思います。
もし今、朝の時間に追われてしんどいなら。まずは1本を、続けられるものに変えてみてください。それだけで、夏が少し楽になるはずです。

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・朝の流れ全体は、こちらの記事に書いています。時短勤務のリアルな1日です。
・薬のことで気になることがあれば、薬局でもっと聞いて大丈夫です。薬剤師の側から思っていることを書きました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
真紀|薬剤師ライター
現役薬剤師/2児の母(3歳・2歳)/時短ワーママ
医療・育児・働き方・お金について、自身の経験をもとに書いています。
執筆のご依頼は、noteのメッセージ、またはX(@maki_pharmacist)のDMからお気軽にどうぞ。
この記事を書くにあたり確認した資料
この記事では、子どもの日焼け止め・虫よけについて、以下の公的機関・学会等の情報を確認して執筆しました。
・日本小児皮膚科学会「こどもの紫外線対策について」
・日本化粧品工業会「気になる紫外線用語CHECK!」
・日本化粧品工業会「UV耐水性の表示に関するQ&A」
・日本皮膚科学会「日焼け Q11 サンスクリーン剤の成分は?」
・厚生労働省「ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について」
・厚生労働省「人体に直接使用される忌避剤の忌避効果持続時間の表示について」
・東京都健康安全研究センター「感染症を媒介する蚊対策講習会講演資料」(令和7年度)
