『光の庭園 ~ののちゃんとゆかいな仲間たち~』冬の章
【辺り一面が真っ白に。光の庭園の冬に、ののちゃんは?】
「白くてふわふわしてるにゃあ!」
【新連載第2回】
ののちゃんはジャガーの子供。
いつでも元気いっぱいな女の子。
今日も光の庭園に建つお家の中で、仲良しのお友達と楽しく遊んでいます。
季節はいつの間にか、冬になっていました。
ふと窓の外に目を向けたののちゃん。
いつもとは全く違う景色に、目を丸くしています。
好奇心が抑えられないののちゃんは、どんな出来事に出会うのかな?
皆さんと一緒に、今回の物語を見ていくことにしましょう。
『目の前のもの、すべてが冒険なんだ!』
【あのふわふわを捕まえるにゃん】
『ののちゃんと冬の探検隊、寒さなんてへっちゃらだ?』
電脳空間の片隅ににある『光の庭園』その中に建つ小さなお家。
そこにはジャガーの子供、ののちゃんが毎日楽しく暮らしています。
秋の日の探検から何一もたって、日に日にお外は寒く、お日様も急ぎ足で山の向こうへ去っていくようになりました。
森で出会ったお友達はみんな、長い冬の眠りについている事でしょう。

お部屋の中で、ののちゃんは絵本を読んで過ごしています。
今日は、仲良しのちょこちゃんが来ています。
ちょこちゃんは、お向かいにすんでいるペンギンの女の子。
少しくらいの寒さだったら平気です。
でも、今年の冬は特別みたい。
ちょこちゃんのお家は、すっぽり雪の中。
何とかお家をぬけだしてきたちょこちゃんは、ののちゃんのお部屋の中で小さくまるまってぷるるん震えておりました。
「くちゅん。くちゅん!」
ちょこちゃんは、くしゃみを一つ。
また一つ。
あらあら大変!
このままでは、風邪をひいてしまうかも知れません。
電脳世界のAI精霊、庭園の管理人アレーナさんが、そっと暖炉の炎を強くしてくれました。
電脳魔法の力で暖炉の炎はいきおい良く、赤々と燃えはじめ、お部屋の中はぽかぽかとっても暖かです。
『さあ、このジンジャーカモミールのお茶をお飲みなさい。すぐに良くなりますよ』
アレーナさんは、ちょこちゃんの為にハーブティーを淹れてくれました。
それから、ののちゃんの為にはホットミルクを。

「ありがとにゃん。アレーにゃさんは親切にゃん」
「からだが温まって、元気がでてきた気がするぺん」
二人は飲み物を美味しく頂くと、アレーナさんに感謝の言葉を伝えました。
『どういたしまして。ちょこちゃんもう大丈夫よ。魔法で元気を強めておいたから、後でお外で遊ぶことも出来ますよ』
アレーナさんの言葉に、2匹は大喜び。
窓辺にかけより、そっとあたりの様子を覗いてみました。
「すごい雪だにゃあ。お家があちこち埋まってるにゃん」
「私も……家から抜け出すのが大変だったぺん」
空からは、ふわふわとした何かが降ってきました。
「にゃ、にゃんだ?何か降ってきたにゃん。白くてふわふわして、まるで『綿あめ』みたいにゃん」
『雪』を始めて見たののちゃんは、びっくりしてお目目まんまる。
もう、早くお外に出てみたくてうずうずしています。
ワクワクが待ちきれない。
持ち前の冒険心がひょこりと顔を出した、そんな瞬間です。
「あの……」
「にゃ?何か言ったかにゃ?」
ののちゃんは誰かに呼ばれたような気がして、あたりをきょろきょろ。
でも、誰もいません。
「あの、もし……」
それはとても、か細い声でした。
よおく耳を澄まさないと、聞きのがしてしまうほど、小さな声。
「だ、だれかにゃ?だれですか?」
ののちゃんはびっくりして、部屋の中をうろうろしながら『声』の主を探しました。
「こ、ここです……わたしはここにいます」
ちょこちゃんも一緒に探していて、やっと『声の主』を見つけてくれました。
声の主は窓枠の端に倒れこんで、小さな声で助けを求めていたのです。
「だ、大丈夫ぺん?とっても苦しそうだぺん」
窓のへりに身を乗り出し、声の主にたずねるちょこちゃん。
ののちゃんも心配そうに、そっと覗いてみています。
「苦しそうにゃん!うにゃあ、ところであなたはだあれ?」
ののちゃんは、相手を驚かせないようにそっと優しく語りかけました。
「私は雪虫です。ノルシーと呼んでください」
ノルシーと名乗った雪虫は、小さく息を吐くと頭を振りながら、立ち上がろうとしました。
けれども、身体に力が入らないためか、ふらついてバランスを失ってしまいました。
「あ、あぶにゃい!」
ノルシーは、危うく窓枠から転げ落ちるところでした。

「ふう~。けがが無くて良かったぺん。それで、ノルシーはどうしたいのぺん?」
ちょこちゃんに促されて、ノルシーは小さいけれどもはっきりとした声で言いました。
「私を……雪の王国に返して欲しいのです」
「ゆ。雪の王国?どこにあるにゃん?」
ノルシーの言葉に驚いて、しばらく目をぱちくりさせたののちゃんですが、彼女を国へ返してあげたいと思う気持ちが強くなっていきました。
「私の国は、秋の森を抜けた先。冬の深き谷と呼ばれるところにあるのです。私は皆さんのところへ、冬のお使いとして来たのですが……少し帰るのが遅くなってしまって。今の私には、王国まで飛ぶ力は残されていません。ですから、どうか私を国まで、せめて谷の入り口まで連れて行ってください……お願いします」
そう言って悲しそうにうなだれるノルシーを見た2匹は、彼女を励ますように明るい声で言いました。
「まかせるにゃん!きっとノルシーちゃんを、無事に国まで連れて行ってあげるにゃん!」
「そうそう。私も一緒に行くから、心配しないで大丈夫ぺん。ののちゃん一人じゃ危ないけどね。さて。それじゃあ、出かけるとしましょうぺん」
ののちゃんが、雪国育ちではない事を知ってるちょこちゃん。
ここは自分がしっかりしなければと、気合を入れて元気もりもり。
アレーナさんの魔法の効果もあって、とても頼もしく見えるのでした。
2匹はマフラーを巻くと、ノルシーを肩にとまらせて玄関に向かいました。

「さあ、ノルシーを無事にお家に返してあげるんだにゃん!出発にゃ~ん」
小さな友達を送り届けることと、新しい冒険。
喜びにあふれるののちゃん達でした。
その時、アレーナさんがノルシーに微笑みながら、そっと彼女に「光のおまじない」を手渡しました。
『外にでたなら、これを使ってごらんなさい』
ののちゃん達は元気いっぱい、お家の外へ飛び出していきました。
さて、雪の王国に向かうののちゃん達にはいったい、どんな冒険が待っているのでしょうね。
「お日様が隠れる前に、雪の王国へ行くんだにゃん!」
その時のお日様は、みんなの頭の上より少し下の方で輝いていました。
「雪が積もっていて、少し歩きにくいけど、頑張るんだぺん」
ちょこちゃんは、短い足を一生懸命に動かして先を急ぎます。
「お二人とも……本当にありがとう。そうだわ、これを試してみましょう」
ノルシーはそう言って、アレーナさんから受け取った「光のおまじない」を、地面に向けてそっと解き放ってみました。
するとどうでしょう!
小さな光の玉がみるみる大きく、眩しく輝いたかと思うと、ののちゃん達の前に小さな「そり」が現れました。
「そり」には風を受けるための、小さなセイルが付いていました。
「わぁーい!これで雪の道を早く進めるよ!」
大喜びをする、ののちゃんとちょこちゃんはそりに乗り込み、引綱をしっかりとにぎりました。
不思議な事にそりはすい~っと動き始め、ぐんぐん先へと進んでいきます。
お家が立ち並ぶ通りをぬけ、森の中を粗利は進んでいきます。
途中、鏡の池の横を通りかかると、小さな看板が立っていました。
『春までお休みします。御用の方は、暖かくなってからおいで下さい』
「ここはアマガエルの、あもっちくんのお家だにゃ!春までお休みにゃん』
そりは、あもっちくんお家の前を通り過ぎていきました。

風を受けて、魔法のそりはどんどん進んでいきます。
森の仲間はみんな春までぐっすり。
暖かいお部屋の中で、楽しい夢を見ながら眠っているようです。
(また、春になったらいっしょに遊ぶにゃん)
ののちゃんは通り過ぎる家の前で、そっと思うのでした。
もう直ぐ森をぬけそうになった時の事でした。
雪の積もった道がでこぼこになっていて、勢いに乗ったそりが大きく跳ね上がりました。
そのまま下に向かって落ちていくそり。
「?!」
「わぁ~!と、とまれにゃい!」
「地面にぶつかるぺん!」
ノルシーは空中で目を見開き、ののちゃんは必死になって、そりを上手く着地させようと頑張りました。
がしゃーん!
そりが地面に落ちて、ののちゃん達は雪の中に放りだされてしまいました。
「うにゃぁ、冷たい!あぁ、びっくりしたにゃん」
雪を払いながら立ち上がったののちゃん、目の前を見てびっくりです。
そりがばらばらになって、壊れていました。
「大変だぺん。魔法のそりが壊れてしまったら……」
二人はしょんぼり落ちこんで、瞳が涙でうるんでいました。
ノルシーも言葉もなく、悲しそうな顔で壊れたそりと二人を交互に見つめるのでした。
「うーん、何か良い方法はないかなぺん。壊れたそりをなおせたら……」
ちょこちゃんが壊れたそりの側にかけより、そのかけらをていねいに拾い集め始めました。
すると、ちょこちゃんのポシェットに入っていたカップの中から、新しい光の玉が飛び出してきました。
そりが飛び出した時に弾けた光の雫が、ちょこちゃんのポシェットに零れ落ちたのでした。
小さな光の玉を手にしたちょこちゃんが、そりに手を近づけると……!
ぱんぱん、ぱーん!
もぞもぞ、びゅわん!
何という事でしょう。
あっという間に、そりは元通り。
「わわ!びっくりだにゃん。でも、これでまた先に進めるにゃん!」
ののちゃん達を乗せたそりは、再び先に進みます。
雪の道を軽やかに滑り始めます。
「少し時間が経っちゃった!ちょっと先を急ぐにゃん。でも……気を付けるんだにゃん!』
送れた時間を取り戻したいけど、そりが壊れては大変です。
ののちゃん、ちょっと心配になりました。
でも、しっかりなおったそりは、前よりもさらに丈夫そうでした。
乗り心地もなかなかです。
風に乗ってそりは徐々に早さを増してすべっていくのでした。
「ひゃっふう~!風が吹いてるけど、寒くないんだぺん」
ちょこちゃんも、アレーナさんの魔法のおすそ分けに感動しながら、引き綱を握る手にはしっかりと力を込めていました。

そりはひゅんひゅん、風を切って走ります。
軽やかな走りのそりの上、にこにこ笑顔でののちゃん達。
そしてそりは最後の丘を越えると、いっきに坂を下って行きました。
「あ!王国の門が見えてきました!みんなが出迎えてくれてます!」
ノルシーが嬉しそうな声を上げました。
「あそこが、ノルシーの住んでる王国にゃん?とてもきれいなんだにゃー」
目の前の王国はふわふわした白い雪と、きらきらと輝く透き通った氷で出来ていました。
門の向こう、国の真ん中に建つお城はお日様の光を受けて、きらきらと銀色に輝いていました。
「ただ今皆さん!ご心配をおかけしました。やっと帰って来ることが出来ました!」
坂道を下ったそりはするるーとすべって、王国の門の前で停まりました。
「ただ今、お母さん!私、ちゃんとお使いをしてきたのよ」
ノルシーはそう言うと、門の一番前にいた女の人に抱き付きました。
その女性は美しい純白のドレスに身を包み、頭には透明なクリスタルのティアラを載せていました。
「えらいわ、ノルシー。約束通り、ご褒美を上げましょう……それはそうと、こちらの方たちは?」
それから、ノルシーのお母さんは少しだけ身をかがめると、ののちゃん達を不思議そうに見つめていました。
「ジャガーがののちゃん。ペンギンがちょこちゃん。あの子たちが私のことを助けて、ここまで連れて来てくれたのよ」
ノルシーの話を聞いて、お母さんは「まぁ!」と、目を丸くしています。
「それは……私の娘が大変お世話になったようですね。紹介が遅れましたね。私はこの国の女王。アスティスといいます。あなた達に、何かお礼をしたいと思うのですが……」
「ええ!女王様?という事は、ノルシーって……」
「お姫様だったんだぺん……」
小声で話すののちゃんとちょこちゃん。
驚きのあまり、2匹はその場で固まってしまいました。
小首をちょっとかしげて考える女王アスティスを遮るように、ノルシーが言いました。
「お母さん、私ね、一つお願いがあるの。この二人を、無事に光の庭園、この谷を越え深い森のさらに向こうにあるところまで、送り届けてあげて!」
ノルシーの願いに、女王はちょっと驚いたような顔でしたが、すぐににっこりとして、ののちゃん達に向かって言いました。
「我が娘の願いです。あなた達を、無事にお家まで送って差し上げましょう」
そう言ってアスティア女王は魔法の杖を取り出すと、そりに向かって風と光のの魔法を唱えました。
すると、不思議な事にそりはふわりと浮き上がりました。
「帰り道はそりが知っています。空の上を、滑ってお行きなさい。大丈夫、道を間違えたり、揺れたりはしません。安心して」
ののちゃん達は促されるまま、そりに乗りました。
「ののちゃん、ちょこちゃん。本当にありがとう。また……次の冬、いえ、秋の終わりに逢いましょう」
ノルシーはそう言うと、ののちゃんのほっぺにそっとキスをしました。
再会の約束です。
「うにゃ!またこんど、かならずにゃん」
「それでは、王国の皆さん、ごきげんようだぺん!」
ふわりと空に浮き上がったそりはするすると空高く昇って、そして優しい風に押されながら前に進み始めました。
目の前には虹の道が、光の庭園まで続いています。
「それではみなさん、さようならだにゃん!」
「今日の約束は絶対に忘れないぺん!きっとまた」
そりが昇るにつれ、王国はどんどん小さくなっていきます。
けれど、そこに立っている人たちは手を振って、2匹の出発を見送ってくれていました。
「絶対に逢えるって信じてるにゃん」
「絶対に逢えるって信じてるぺん!」
そりは、しゃららんと音を立て、虹の道を軽やかに滑っていくのでした。
おしまい。
『作者の呟き』
読者&フォロワーの皆さん、お待たせしました。
前回の予告通り『光の庭園~ののちゃんとゆかいな仲間たち~』冬の章をお届けする事が出来ました。
ののちゃん&ちょこちゃんの冒険を楽しんで頂けたなら、作者としてとても嬉しいです。
もしもこの物語が皆さんに届いたなら、スキやコメントを残して頂けると幸いです。
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