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「お前がどんな気持ちで書いてるかなんて、読者には関係ないから」

多分12月ごろに、書籍を出せそうです。そこに向けていろいろ書いていこうと思っているのですが、その中で一つ、僕自身のキャリアを振り返るコラムをぽつぽつ書き始めてみようと思っています。
「ネット編集者のキャリアが見えない」という方も多く、先が見えないと言っている方も多い中で、僕自身がどういう経験を経て今の仕事にたどり着いたのか、その時々の考えにも触れながら、ご紹介させてください。今回はまずは、僕が新卒1年目、ネットニュースの記者として働きだしたばかりのころに、感じたこと・周囲から言われて考えたことについて振り返りたいと思います。

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いきなり言い渡された異動「来週から、編集部ね」

「来週からからまむしは、編集部に異動ね」

新卒で入社した会社でひいひい言いながら過ごすこと、2週間。
内線でいきなり役員に呼び出された僕は、こう告げられました。

当時、僕の所属は営業サポート部門。編集部とはとても距離のある部署で、一通りの座学研修を終え、OJTが始まったばかりでした。2週間での部署移動は異例で、自席に戻ってから上長に「異動だといわれました…」と告げると、上長も驚嘆。「俺がちょっと事情を聴いてくる!」とすぐに上長は、役員にその経緯を聞きに行きました。そして数分後「ごめんまむし君、まじだったみたい…」と、消沈して帰ってきました。本当に残念そうにしてくれたことが、どこかうれしかったような記憶があります。

その頃は「え、会社の配属ってこんな簡単に変わるの?」という衝撃のほうが大きく、「自分が編集者になるんだ」という方にまで頭が回りませんでした。僕の編集者デビューは、こんな気まぐれともいえる人事から、始まったのでした。

「僕が、編集者…。」

過去のエントリにも記載した通り、僕は母親が編集者(ライター)の仕事をしているので、仕事のイメージは何となくついていました。ただ、だからこそ「自分がやるべき仕事ではない」とも思っていました。正直そこまで「稼げる仕事」だとも思っていませんでしたし、記事を発信することは、多くの人に影響を及ぼしうる仕事でもあり、自分の興味本位で手を出すような領域ではないと、強く思っていたのです。

新卒入社した会社に「編集部」があることはもちろん知っていました。でも、「こんな中途半端な自分が編集者なんかになっちゃ世の中にとって良くない」という、今思えばすごく厳格な気持ちが強く、配属希望にも申告はせず、距離を置くようにしていました。

でも、なってしまったものはしょうがない。

というか、「こんな自分が編集者になってもいいんだ」と後押しされたような感じで、悪い気持ちはまったくしませんでした。「本当は編集の仕事、やりたかったのかもな」と、今となっては思います。

ちなみに、僕を編集部に配属させてくれた役員は、僕の営業日報を偉く気に入ってくれていたらしく、「まむしは編集部に行くべき」と、割と強権を発動して強引に編集部に異動させてくれたらしいです。今思えば、この強権がなければ僕は今、全然違う仕事をしていたと思います。すごい。。

「お前がどんな気持ちで記事を作ってるかなんて、読者には関係ないから」

僕が異動したのは、ネットニュースを配信する、小さな編集部でした。

かなりニッチな内容を扱っているので知っている人は少ないかもしれませんが、業界内ではそれなりに知られた媒体で、記事はヤフーニュースにも配信。医療業界の、かなり専門的なトピックを扱う媒体として一定程度認知されている媒体でした。新聞記者出身者の先輩方がたくさん在籍していて、正直今振り返っても、「レベルの高い編集部」だったと思います。

配属初日、編集部門のリーダーに言われたことは、今でも覚えています。

「『なりたくないのに編集者になった』って思ってない?大丈夫?」。

もともと編集部への配属を希望していたわけではなかったこともあって、僕はこの後、そんな問いかけを幾度となくされることになります。いまおもえばめちゃくちゃいい人たちですよね。

気の利いた回答もできない僕は当時「とんでもないです!がんばります!」と、微妙にかみ合わない返事を繰り返してばかりいました。

ただ、当時の編集部門のトップにある時、ぴしゃりといわれました。

「お前がどんな気持ちで記事を書いてるかなんて、読者には関係ないから」

本当にそうだよなと思います。

周囲の人たちが比較的穏健だったのに対して、編集長は「ザ・硬派な編集長」という感じで、ことあるごとに厳しい言葉で、ゆるみかけていた僕の気持ちをいつも引き締めてくれていたような気がします。

その後、先輩の指導を受けながら記事を提出するのですが、原稿が真っ赤になって帰ってくるのが日常茶飯事で、「おいまむし…この原稿なんなんだよ…」と怒られながら記事を書き続けることになります。

(いや、先輩に言われた通り書いたつもりだし、何なら先輩記者はOKでしてるんだけど・・・・・・・・)という言い訳はぐっとこらえて、指導はありがたく頂戴していました(ただ後から聞いたところ、要領よく指摘をすり抜けようとする僕は、かわいげなく、不気味だったそうです)。

こうして始まった僕の編集者人生。そこからさまざまな先輩や取材相手と出会い、力不足も感じながら今日に至ります。次回は「初めて記事を載せた時」の話をしたいと思います。

▼次回記事


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