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今日は夫の【痛いところを、言ってくれたこと】に恋をした。― 手をつけられなかった、レストランのお皿。― |2026.07.02

はじめに

このエッセイは、

国際結婚と、海外生活と、マルチリンガル育児の中で、

私が日々つまずきながら、

「わたしらしく生きる」ための実験の記録です。

「毎日、夫に恋する生活を。」

2026年の元旦に、そう決めて、

「今日の夫の好きなところ」を、

一つだけ、言葉にしています。

それだけで、同じ一日が、

少し違って見えることがあります。

完璧な妻でも、理想的な母でもありません。

それでも、結婚と子育てを通して、

女性として、妻として、母として、人として、

成長していきたいなと。

今日もこの記録が、

誰かの生活の中の、

小さな呼吸になりますように。


「一人でずっと見てるの、大変だよね」

7月2日。

今日から私は、仕事も完全にオフになった。

今日は一日中、何も考えずに息子と一緒にいられる。

そう思っていたら、出勤前に夫が言った。

「一人でずっと見てるの、大変だよね」

そして、午後から

夫の仕事が終わる5時か6時までの時間で、

またナニーさんを手配してくれていた。

私は頼んでいなかった。

休みに入った妻は、

もう手が空いている人だと思われがちだけれど、

夫はそう扱わなかった。

せっかくのバカンスだから、

自分の時間もしっかり確保しな、という計らいで。

トランポリンで飛んだ午前

午前中は、息子を連れて

キッズカフェに行った。

ダナンの7月は、

昼間に外で遊ばせるのが難しい。

屋内の遊び場が、

親にとっては避難場所みたいなものになる。

久しぶりにトランポリンで飛んで、

滑り台を何回も一緒に降りた。

クーラーがついているとは言え、息子は汗だくで、

私も汗だくだった。

こんなふうに全力で遊んだのは、

いつぶりだろうと思った。

5月も6月も、

私は自分のことで精一杯で、

息子と過ごしていても

心はどこか別の場所にあった気がする。

目の前は幸せだらけなのに、それを感じれずにいる。

そんな気持ちだった。

だけど今日は、ちゃんとそこにいられた。

産後鬱になったというと、

1歳児の子育って大変だよね、とよく言われる。

だけど実際はそうじゃなくて、

新しいバランスの中で子育て以外の日々の色んなことに追われて、

子供としっかり向き合える時間を

持てていないことが、実は一番しんどかった。

だからこうして

息子だけのことを考えて過ごせる時間は、

むしろ愛おしい。

お祝いのつもりだった夜

明日から、夫も長い休みが本格的に始まる。

週末には、家族3人でフランスへ発つ。

だから今夜は、

その始まりをお祝いしようと、

私のほうからレストランに誘った。

でも予約が取れたのは、

少し遅い時間だった。

息子が眠っている状態をつくってから、

二人でゆっくり食べたい。

そう話して、

まずは3人でビアガーデンのような場所に行った。

ビールを飲みながら、

息子が乳母車の上で眠るのを待つ。

外に出るのが好きな私たちが子育てをしていると、

夜のお出かけはだいたいこうなります。

預け先も実家も近くにないから、

「連れていく」を前提に組み立てる。

その日も、

隣で息子の呼吸が深くなっていくのを確かめながら、

私たちはビールを飲んでいた。

久しぶりに、

最近なかなかできていなかった

普通の日常の話を、ゆっくりしていた。

レストランまでの、10分

会計を済ませて、

乳母車を押しながら

レストランに向かって歩き出した。

その途中で、夫が急に切り出した。

さっきビアガーデンで、

私が何気なく話していた、

夫の友人の奥さんのこと。

あの話し方が、

ずっと引っかかっていたらしい。

君は、女性に対して厳しすぎると思う。

というか、他の人は他の人なんだから、

いいところだけいただいて、ネガティブなところにエネルギーを注ぐ必要はないとおもよと。

正直に書くと、

最初に出てきたのは

怒りに近いものでした。

今の私は、

鬱になるくらい自分を周りから隔離してしまって、

外とのつながりも、

自分自身も、失いかけているところだった。

だから、その状態の人間に向かって、

外との関わり方や、

友達のつくり方に口を出してくる。

それが、どうしても受け取れなかった。

しかもこの数週間は、

フランス帰省に向けて、

自分の状況と体調がよくなるなら

何でもやってやる、

くらいの気持ちで走ってきた。

治療を一気に受けて、

知らない人にも会いに行って、

人が集まる場所も自分でつくった。

その全部が、

批判になって返ってきたように感じた。

わかってもらえていない。

そう思って、私は黙ってしまった。

でも、たぶん当たっていた

ただ、確信は多分別のところにあって。

夫の言っていることは

結構、的を射ているところもあって。。

東南アジアのような場所で暮らしていると、

自分とはまったく違うタイプの女性に

出会う機会が多い。

生き方も、選び方も、

お金との付き合い方も違う。

ある一定の人たちを、

私はどこかで

厳しい目で見ていたと思う。

自分は違う、と思っていたかったのかもしれない。

19歳で大阪を出てから、

私はずっと

「そうならないため」に走ってきた人間だから。

でもそれを、

正面から言葉にされたとき、

素直に受け取れない自分がいました。

痛いところだったから。

図星だったから。

手をつけられなかったお皿

結局その日、

レストランには着いたけれど、

二人とも食欲がなくなっていて、

頼んだ料理に

どちらも手をつけられなかった。

お祝いのつもりで予約した席で、

冷めていく皿を見ていた。

気まずい空気のまま、

お持ち帰り用につつんでもらって、帰宅した。

後で、冷静になってから思ったのは。

自分の弱いところを

まっすぐ指摘してくれる人が

隣にいるということ。

これは、

そんなに当たり前のことじゃないなと。

褒めてくれる人はいる。

励ましてくれる人もいる。

でも痛いところを言ってくれる人は、

歳を重ねるほど減っていく。

そして国際結婚をしていると、

私の考え方の癖はたいてい

「文化の違い」で片づけられてしまいます。

そういう国で育ったから。

日本人だから。

そう言えば、その場は終わる。

でも夫は、そこで終わらせなかった。

文化の話にしないで、

私個人の話として言ってきた。

それはたぶん、

私を「日本人の妻」ではなく、

一人の人間として

見ているということなんだと思っています。

痛かったけれど。

今日の夫の好きなところ

【痛いところを、言ってくれたこと】

お祝いのはずの夜だった。

私が誘って、

息子を寝かせて、

わざわざつくった時間だった。

その帰り道で夫は、

私がいちばん触られたくないところを

まっすぐに指摘してきた。

その日は受け取れなかった。

料理にも手をつけられなかった。

でも何日か経って気づいたのは、

図星だったから痛かった、ということ。

痛いことを言ってくれる人は、

だんだんいなくなっていく。

その人が隣にいる。

今日の夫の好きなところは、

【痛いところを、言ってくれたこと】


▼ 「迎えに来てくれたこと」昨日の話はこちらに。

今日は夫の【迎えに来てくれたこと】に恋をした。

▼ このシリーズを最初から読む。

毎日、夫に恋する生活を。|Day 1〜

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