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陸自初級幹部はこれを知らないと後悔します|陸上自衛隊の語学教育が、将来の補職と海外勤務を変える理由(米国国防総省語学学校(DLIELC)の情報含む)

【更新情報】2026/06 記事アップデート


部隊勤務で忙しい毎日。

訓練、服務、部下指導、検閲、CGS受験の準備。

そんな中で、英語の優先順位は、どうしても下がっていきます。

「今の配置では英語は使わない」
「必要になったら、その時に始めればいい」

そう思っていませんか。

私もそうでした。

そして、ある日突然、米陸軍留学の話が来ました。

そのとき、私は留学前の在日米国大使館が行う語学試験でわずか1点差で滑り込みました。

あの冷や汗を、今日はあなたにお話しします。

1. 英語を後回しにしていた私に、突然チャンスが来た


指揮幕僚課程(CGS)に合格した、その直後のことでした。

突然、米国陸軍への留学の話が舞い込んできたのです。

なにー!?こんな美味しい話が、自分のところに回ってくるのか?

最初の反応は、それでした。

しかし話を聞き進めると、笑っていられなくなりました。

留学に行くためには、米国国務省が課す語学試験で、82%以上を取らなければならないというのです。

正直に言います。

その時の私は、英語学習からかなり離れていました。

POE(幹部普通英語課程)を卒業したのは、もう2年ほど前のこと。

部隊に戻ってからは、目の前の業務に追われ、

「自分が英語を使う仕事に就くことは、しばらくないだろう」

そう思い込んでいたのです。

久しぶりに英語と向き合った私が出した結果は––––。

合格基準の82%に対して、わずか1点差での合格

本当に、崖っぷちでした。

もし、その1点が足りていなければ。

おそらく、米陸軍留学という人生の節目は、私の手をすり抜けていたはずです。

その時、私は強く思いました。

英語は、必要になってから始めると遅い。
チャンスは、準備が整うまで待ってくれません。

この感覚を、今、初級幹部のあなたに知っておいてほしいのです。

2. 陸上自衛隊には、給料をもらいながら語学漬けになれる"隠れた宝石"がある


意外と知られていないことがあります。

陸上自衛隊には、給料をもらいながら、業務から完全に離れて語学に集中できる教育がある、ということです。

中心となるのは、東京都小平市にある小平駐屯地の小平学校です。

人事、会計、警務、システム、情報、語学など、自衛隊の学校が集まる、閑静な駐屯地です。

ここには、英語以外にも、

  • ロシア語課程

  • 中国語課程

  • 朝鮮語(韓国語)課程

があり、いずれも1年間の長期教育です。

これらの課程は陸自にしかないため、海上自衛隊・航空自衛隊の自衛官や事務官も、ここに集まって学んでいます。

将来、情報部門で勤務する者や、その言語を母国語とする国で駐在武官として勤務する要員などが入校してきます。

卒業後、そのまま小平学校の語学教官になる人もいます。

ただし、1年間ずっと語学だけ、というのは、向き不向きがはっきり分かれます。

毎晩、深夜0時を過ぎても教場の明かりが消えない––––そんな世界です。

語学が好きな人にとっては天国ですが、そうでない人にとっては、相当きつい環境であることも、正直に書いておきます。

1). 英語に関する課程の全体像

英語については、対象や目的に応じて、複数の教育が用意されています。

私が確認している範囲では、規則上、各課程の入校時の能力 → 卒業時の能力(TOEIC L&R)は、おおむね次のように設定されていました。

  • 英語通訳集合訓練    800 → 860

  • 幹部上級英語課程(AOE) 600 → 730

  • 幹部普通英語課程(POE) 350 → 600

  • 陸曹上級英語課程(AEE) 470 → 600

  • 陸曹普通英語課程(PEE) 270 → 400

数字を見て分かる通り、幹部だけでなく陸曹のための課程も整備されている、というのが陸自語学教育の大きな特徴です。

ただし、これらの入校・卒業基準は時期によって変更されます

例えば、私の入校当時のPOE卒業基準はTOEIC 500点でしたが、その後600点に引き上げられた、と聞いています。

最新の入校要件・卒業基準は、必ず人事担当や公式情報で確認してください。

2). 民間では絶対に手に入らない環境

それでも、変わらない本質があります。

業務から離れ、給料をもらいながら、集中的に語学を学べる––––これは、民間では絶対に手に入らない環境です。

民間で同じことをやろうとすれば、仕事を辞めて、自費で語学留学するしかありません。

その意味で、陸自の語学教育は、初級幹部にとって他では手に入らない、隠れた宝石だと言えます。

3. 私がPOEに行けたのは、上司の理解があったからだった


ここで、少し私の話をさせてください。

私がPOEに入校できたのは、決して自分一人の力ではありませんでした。

当時、私は第1空挺団に所属していました。

検閲訓練を終え、ようやく部隊に幹部の補充があったタイミングで、小平学校POEの入校案内が届いたのです。

中隊長との会話は、こんな感じでした。

中隊長:「K、POEの入校案内が来てるけど、どうする?」

私:「ぜひ、行かせてください!」

中隊長:「これまで一人で頑張ってきたから、希望していたPOEに行かせたるわ。行ってこい」

中隊長は、私が幹部一人だけの状態で部隊業務を回してきたことを、ちゃんと見ていてくれました。

その上で背中を押してくれたのです。

ここで、初級幹部のあなたに知っておいてほしい現実があります。

部隊から幹部が一人いなくなれば、その分の業務は、誰かが肩代わりすることになります。

つまり、上司が「行って来い」と言ってくれるかどうかは、

その幹部の将来をどれだけ真剣に考えてくれているか、

そして、本人が日頃の勤務でどれだけ信頼を積んでいるか、

その両方にかかっています。

実際、上司に反対されて、入校できなかった同期の話も何度も聞いています。

部隊の幹部が圧倒的に不足していて、どうしても出せない、というやむを得ないケースもあります。

だからこそ、

チャンスは、本人の希望だけでなく、日頃の信頼の上に開きます。

「英語をやりたい」と口で言う前に、目の前の任務に誠実に取り組む人間であること。

それが、結局は最短のルートになります。

4. 習志野から小平へ。激流から、急に静かな部屋に通された感覚


POEへの入校が認められて、千葉県の習志野駐屯地から、東京都の小平駐屯地へ引っ越すことになりました。

陸自で最も訓練の激しい部隊から、学校が集まる静かな駐屯地へ。

最初に驚いたのは、生活のリズムです。

空挺団時代、毎日の帰宅はだいたい21時過ぎでした。

それが、小平に来ると、

教育は17時30分頃には終了

降下も行軍もなし。

訓練計画作成のために、夜中までPCのキーボードをカタカタと打つ日々もなし。

夜は完全に、自分の学習に充てられる。

最初の数日、私は本気で「夢のような場所だ」と思いました。

激流の中で泳いでいた身体と頭が、ゆっくりと「学ぶモード」に切り替わっていく。

部隊で疲弊していた人間が、机に向かって自分を磨く時間を与えられる––––

この感覚を一度でも体験できることが、初級幹部にとって、すでに大きな財産です。

5. しかし2週間で拒絶反応。POEは"楽な休暇"ではなかった


ただし––––。

その「夢のような感覚」は、長くは続きませんでした。

POEの実態は、想像以上にハードだったのです。

1). 朝から晩まで、英語から逃げられない

POEの一日は、英語に始まり、英語に終わります。

居住隊舎から教場までの移動は、英語の号令で部隊行動。

毎朝の「間稽古(まげいこ)」では、前日に示された英文10文を暗記し、教官を含むグループで発音を練習します。

教官に1人ずつ指名され、覚えていなければ、こっぴどく怒られます。

教官室への入室から指導受け、退室まで、すべて英語

発音が悪ければ、その場で容赦なく直されます。

当時、やたらと発音に厳しい教官がいて、本当に大変でした。

授業は、部外の外国人講師と日本人講師から「一般英語」を学び、

「軍事英語」は、小平学校所属の自衛官や事務官の教官が担当します。

「敬礼!」「回れー、右!」といった号令の英訳から始まり、

米陸軍のField Manual(FM:教範)に基づいた専門用語まで叩き込まれます。

授業が終われば、英語日記などの課題が大量に出されます。

夕食・入浴のあとは、教場に戻ってTOEIC対策と暗記。

課業中の日本語使用は、原則として禁止

2). 2週間で限界が来た

入校から2週間ほどで、私には明らかに英語への拒絶反応が出始めました。

  • 頭が英語を受け付けない。

  • 文章が頭に入ってこない。

  • 空挺団での激動の日々と比べて、刺激のない単調な英語漬けに、心がついていかなかったのです。

「つまらない。」
「刺激がない。」
「部隊に帰りたい・・・」

そう思ったことが何度もありました。

毎日のように課業後に外出して、駐屯地の外の空気を吸って気分転換する日が続きました。

POEは、楽な休暇ではありません。
英語から逃げられない環境に身を置く、かなり濃い5か月です。

ですが、この「逃げられない環境」こそが、英語力を変える鍵でもあったのです。

6. キャンプ座間の米軍人と、横田基地の奥様たち


POEで本当に面白いのは、ここからです。

教科書だけでは絶対に得られない経験が、実践の場として組み込まれているのです。

1). キャンプ座間の米軍人との交流

教育期間中、キャンプ座間の在日米陸軍から、准尉から大尉までの軍人が3名ほど、約2週間小平学校に来て、私たちと交流します。

この間に、

  • 小平市の歴史館を、グループごとに英語で米軍人に説明する

  • 通訳の練習を行う

  • 米軍人から米陸軍に関するプレゼンを受ける

といった実習が組まれます。

そして、米軍人が滞在している期間は、課業終了後にグループごとに彼らを誘って、日本文化を紹介するために外出します。

これが、5か月間で一番楽しかったことです。

私たちのグループの担当は、通信科のC大尉。

サッカーが趣味の、陽気な男性でした。

電車で立川まで行き、まずはお好み焼き屋へ。

そのあと、彼の強い希望でキャバクラを2軒はしごしました。

かなりの女性好きで、満面の笑みを浮かべて楽しんでいました。

––––翌朝。

教官室の前を通りかかると、英語の女性教官とC大尉が、昨日の「日本文化紹介」の話をしているのが聞こえてきました。

女性教官:「C大尉、昨日はどこに連れて行ってもらったの?」

私:(……まずい)

C大尉:「カマクラ」

女性教官:「えっ、鎌倉まで行ったの?遠かったでしょ?」

私:(……ふぅ、助かった……)

「キャバクラ」と「鎌倉」。

ネイティブの耳でも、聞き取りにくかったのでしょう。

冷や汗が止まりませんでしたが、結果として、これは実用的な英会話の練習そのものでした。

そして話には続きがあります。

それから5年後––––。

私が在日米陸軍司令部で勤務することになったとき、C大尉は少佐に昇進し、在日米陸軍の通信中隊長として勤務していたのです。

5年越しの再会でした。

人とのつながりが、いつ、どこで活きるかは、本当に分からないものだと痛感した出来事でした。

2). 横田基地の奥様方との週1英会話

もう一つ、忘れられない実習があります。

小平駐屯地から比較的近い場所にある、在日米軍の横田基地

ここで、米軍人の奥様方との会話実習が、毎週組まれていました。

グループごとに担当の奥様が決まっており、毎週「お題」が出されます。

そのお題について、まず英語でプレゼンを行い、そのあと奥様や同期からの質問に英語で答える––––という形式です。

準備は大変でしたが、これが本当に勉強になりました。

ハロウィンやクリスマスには、奥様方が手作りのお菓子やケーキを持ってきてくれました。

教育の最後のころには、ご自宅に招いてご馳走してくれた奥様もいて、旦那様と一緒に、横田基地のオフィサーズ・クラブでお酒を飲んだことも、今となっては良い思い出です。

中には、目のやり場に困る服装で参加される奥様もいましたが––––それも含めて、忘れられない教育でした。

3). 隊歌コンクールという謎の行事

そして、小平学校には、もう一つ謎の行事があります。

隊歌コンクールです。

コンクールの1か月前くらいから、毎朝の間稽古が、英会話から隊歌の合唱に変わるのです。

英語の勉強をしに来ているのに、なぜ隊歌––––。

学生全員が、心の中で同じことを思いました。

教官曰く、

合唱することで、英語の発音が良くなるから」

学生:「……」

私たちのクラスは、「小平学校校歌」と「抜刀隊」を合唱することになりました。

隊歌係」という、よく分からない係が臨時に設置され(もちろん音楽の素人)、その指導のもと、しばらく毎朝、抜刀隊を大声で歌う日々。

会計、警務、ロシア語、中国語、韓国語……他課程の学生たちも参加し、15チームほどで対抗しました。

私たちのクラスの結果は、3位

正直、英語の発音にどれほど効いたかは、今もよく分かりません。

しかし、こうした「妙な体験」も含めて、POEは記憶に残るのです。

7. POEで本当に得られるもの。TOEICスコアだけではない


POEというと、

「TOEICの点数を上げる場所」

というイメージを持つ人が多いかもしれません。

確かに、それも一面の事実です。

しかし、POEで本当に得られるものは、それだけではありません。

  • 一般英語と並行した、軍事英語の体系的な学習

  • Field Manual(米陸軍教範)を使った、実戦的な内容

  • 米軍人との直接交流と、英語での日本文化紹介

  • 通訳練習やプレゼンテーションの経験

  • 横田基地の奥様方との毎週の会話実習

そして何より、

英語を使うことへの心理的な抵抗が、確実に下がります。

外国人を前にしても、まず口を開ける。

完璧でなくても、伝えようとする姿勢を持てる。

この感覚は、実際に英語を使う場面に出てから、本当に効いてきます。

加えて、同期との横のつながりも大きな財産です。

数年後、C大尉との再会のように、別の補職や共同訓練の場で、思わぬ形で再会する日が来ます。

POEは、TOEICの点数を上げる場であると同時に、英語を使う幹部になるための"入口"です。

8. TOEICはどこまで伸びるのか―クラス平均250点アップの現実


TOEICの伸びについても、具体的に書いておきます。

私のクラスでは、5か月間で、クラス全体のTOEIC平均点が約250点伸びました

当時としては、歴代最高の伸びだったと聞いています。

最も伸びた人で、300点以上の伸び

英語が苦手で入校した同期も、卒業時には別人のようなスコアになっていました。

中には、入校時の素養試験で250点だった同期もいました。

入校要件は当時350点でしたが、卒業後に在外公館警備対策官としての勤務が予定されていたため、特別に入校が認められたケースです。

5か月後、彼はギリギリで500点を取得し、卒業していきました。

ここで、私自身の話も正直にしておきます。

私は素養試験の結果が良かったので、最初は最上位のAクラスで授業を受けていました。

しかし、毎晩のように外出して気分転換していたこともあり、伸びは思ったほどではありませんでした。

教育中盤でBクラスに落ち、そのまま卒業しました。

最終成績は中くらい。

教官の「これからも英語を勉強し続けろ」という忠告も、半分聞き流していました。

その「ツケ」が、2年後の米陸軍留学前の試験で、1点差という形で返ってきたのです。

ですから、ここははっきり書いておきます。

入校すれば、自動的にスコアが伸びるわけではありません。

毎日の課題、暗記、TOEIC対策、英語使用の環境に、

真面目に向き合った人だけが伸びていきます。

英語は、

正しい環境 × 継続した取り組み

で伸びる、ということです。

「自分は英語が苦手だから無理」と決めつけるのは、まだ早いのです。

9. 英語は、ある日突然「必須の能力」になる


POEに入校していたとき、教官からよく言われた言葉があります。

お前たちの中には、たとえCクラス(最下位クラス)であっても、これから必ず英語を使って勤務したり、海外で勤務する者が出る。だから、英語は継続的に勉強しておけ

正直、当時の私は半信半疑でした。

「自分には、そういう勤務はあまり縁がないだろう」

そう思っていたのです。

しかし、現実はまったく違いました。

POE卒業後、私のキャリアでは、

  • 米国陸軍への留学

  • 在日米陸軍司令部での勤務

  • マレーシアの国連平和維持活動センターでの国連兵站課程

  • 国連南スーダンPKOへの個人派遣(軍司令部幕僚として1年間)

と、英語を使う勤務が次々と続いていきました。

気づけば、教官の言葉そのものを、自分が体験していたのです。

そして、近年の陸上自衛隊を外から見ていても、外国軍との共同訓練は数年前と比べて明らかに増加しています。

コミュニケーションの手段は、もちろん英語です。

英語は、今すぐ必要でなくても、ある日突然、必須の能力になります。

そして、その「ある日」は、こちらの都合では選べません。

人事の動きは、本人の準備状況を待ってくれないからです。

私が留学前の語学試験で、わずか1点差で滑り込んだあの時の冷や汗を、

あなたには、できれば味わってほしくないのです。

10. 初級幹部が、今からやるべきこと


ここからは、より実用的な話をします。

「では、初級幹部の自分は、今、何をしておけばよいのか」

その問いに、私なりの答えをお伝えします。

1). TOEICの現在地を知る

まずは、自分のTOEICの現在地を確認することから始めてください。

最近受けていない人ほど、まずここからです。

点数を知らなければ、次の対策も立てられません。

苦手だと思っている人ほど、早めに現実を見ることが、結局は近道になります。

2). 陸自の語学教育の制度を、自分の目で調べる

POE、AOE、英語通訳集合訓練、陸曹のAEE・PEE。

ロシア語、中国語、朝鮮語の各課程。

入校要件と卒業基準は、それぞれ違います。

最新情報は変更されている可能性がありますので、必ず人事担当か公式情報で確認してください。

知らないままでは、チャンスが来ても動けません。

3). 日頃から、希望を伝えられる関係を作っておく

希望は、突然口にしても通りません。

中隊長や上司と、日頃から自分の関心や、将来どのような幹部になりたいかを話せる関係を作っておく。

これが、いざというときに効きます。

4). 部隊で信頼を積む

私のPOE入校は、結局のところ「これまで一人で頑張ってきたから」という、中隊長の一言で決まりました。

語学教育に行けるかどうかは、本人の希望だけでは決まりません。

「あいつなら、出しても大丈夫だ」

そう思われる人間でなければ、上司も背中を押しにくいのです。

5). 軍事英語に少しずつ触れる

一般英語だけでなく、軍事英語にも、できる範囲で触れてみてください。

最初は、自分の特技や担当装備に関する英文記事、米陸軍のFM(Field Manual)の概要などから入るだけでも構いません。

共同訓練、米軍との調整、海外勤務の場面では、軍事英語の語彙が必ず役に立ちます。

6). 「今の配置に関係ない能力」だと考えない

今の配置では、英語を使わないかもしれません。

しかし、数年後の補職は、誰にも分かりません。

英語は、今のためではなく、将来の選択肢を広げる能力として捉えてください。

7). CGS、共同訓練、海外勤務まで見据える

英語は、CGS受験にも関わってきます。

共同訓練、海外勤務、PKO、防衛駐在官、連絡官––––。

これらの可能性は、すべて英語の上にあります。

初級幹部のうちから、ゆっくりでもいい。
準備を始めておく価値があります。

11. ただし、英語だけに寄りすぎるリスクもある


ここまで読んで、

「よし、英語を最優先で頑張ろう」

と思った方もいるかもしれません。

ただ、ひとつだけ注意してほしいことがあります。

英語は、強力な武器になります。

しかし、英語だけに努力を集中してしまうと、人事がいわゆる"英語畑"の方向に固定されていく可能性があります。

情報科、通訳要員、小平学校の教官––––。

これを望んでいる人にとっては、最高のキャリアです。

しかし、

「自分は指揮官として部隊で勝負したい」
「幕僚として作戦・運用畑を歩みたい」

という人にとっては、必ずしも望む方向ではないかもしれません。

語学は、目的ではありません。

幹部自衛官としての可能性を広げるための"手段"です。

部隊勤務で培う指揮官としての力。

幕僚としての基礎。

CGS受験に向けた論理的思考と幅広い知識。

これらは、英語と同じくらい、あるいはそれ以上に大切です。

英語を武器にしつつ、

「自分は、どのような幹部になりたいのか」

という軸を持っておく。

このバランスが、長い目で見たキャリアを支えてくれます。

12. AOE、英語通訳集合訓練、そしてDLIELCという、さらに先の選択肢


最後に、もう一段先の話をします。

POEのその先には、さらに専門的な課程があります。

1). 幹部上級英語課程(AOE)

POEの上に位置するのが、AOE(幹部上級英語課程)です。

入校時にTOEIC 600点、卒業時に730点を目標とする課程で、

通訳要員を育成するための教育です。

卒業するとMOS(特技)が付与され、

ヤマザクラ(YS)などの日米共同訓練で、会議の通訳として勤務する場面が出てきます。

教育の集大成として、実際にYSの会議の場で通訳を担当する、というのが大きな特徴です。

2). 英語通訳集合訓練

その上が、英語通訳集合訓練です。

入校時800点、卒業時860点という、もはや別世界の水準です。

英語力を本気で伸ばしたい人にとっては、最高の教育機会です。

3). 米国国防総省語学学校(DLIELC)

そして、英語を極めたいという人には、もう一つの道があります。

米国国防総省語学学校(DLIELC:Defense Language Institute English Language Center)

所在地は、テキサス州サンアントニオのラックランド空軍基地

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ここでは、英語教官を育成するための課程として、

  • BALIC(Basic American Language Instructor Course)

  • AELIC(Advanced American Language Instructor Course)

があり、英語で英語を教えるためのノウハウを学ぶことができます。

主に小平学校の英語教官がチャンスを得る課程ですが、英語が得意であれば、教官以外の幹部や陸曹でも入校の可能性があります

また、米陸軍などの米国軍の教育課程に留学する人にも、その前段階として、軍事英語をまとまった期間学ぶ機会が設けられることがあります。

なお、留学制度や派遣の枠組みは、時期によって変わります

最新の情報は、必ず公式ルートで確認してください。

知っているか、知らないか。

ただそれだけで、見える景色は大きく変わります。

13. 最後に:英語は、初級幹部の未来を広げる"静かな武器"である


今のあなたは、英語を使わないかもしれません。

部隊業務で精一杯かもしれません。

TOEICの問題集を開く時間など、どこにもないと感じているかもしれません。

その気持ちは、私もよく分かります。

私自身、POE卒業後は「もう英語を使う仕事はないだろう」と勝手に思い込み、勉強から離れてしまった人間です。

そのツケが、米陸軍留学前の試験で、1点差という形で返ってきました。

それでも、運よくチャンスをつかんだ私のその後は、

米陸軍留学 → 指揮幕僚課程 → 在日米陸軍司令部 → 国連兵站課程(マレーシア) → 国連南スーダンPKO

と、英語の上に積み上がっていきました。

数年後のあなたは、どこにいるでしょうか。

米軍との共同訓練の現場かもしれない。

ヤマザクラの会議で、通訳席に座っているかもしれない。

防衛駐在官として、現地の大使館にいるかもしれない。

PKOの軍司令部で、各国の軍人と肩を並べているかもしれない。

そのどれかが、ある日突然、あなたの目の前に現れます

その時、英語は扉を開く鍵になります。

鍵を持っている人だけが、その扉を押し開けることができるのです。

初級幹部のうちに、少しずつでいい。

未来の自分のために、今日から鍵を磨いておいてください。

英語は、今すぐ使わないかもしれません。
しかし、準備していた人だけが、突然来たチャンスをつかめます。

14. あなたへの質問


最後に、あなたに問いを残します。

もし、明日突然、海外勤務や米軍留学の話が来たとしたら––––。

今のあなたの英語力で、迷わず手を挙げられますか。

あなたの今のTOEICの現在地は、どのくらいでしょうか。

英語を「まだ先の話」だと、思っていませんか。

ぜひ、コメント欄で教えてください。

同じ立場の初級幹部の方々と、考えを共有できれば嬉しいです。

Mr.K


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CGS受験について、さらに学びたい方へ:

この記事では、CGS受験に関する考え方の一部をお伝えしました。

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