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CGSを卒業したら、どこへ行くのか―公開情報から考える、若手幹部に十分説明されていない「その先」の話

こんにちは。Mr.Kです。

先日、「なぜ、あなたはCGSに行きたいのか」という記事を書きました。

今回は、その記事を補足する内容として、より詳しい記事を書いてみました。

将来、CGSを目指すかどうかの参考になれば幸いです。

1. CGSを受ける意味を、若手幹部は本当に教えられているのか


BOCのころから、AOCのころから、CGSという言葉は何度も耳にしてきたはずです。

一般幹部候補生、防大卒幹部は、CGSを複数回受験することになります。

部内幹部も、どこかのタイミングでCGS受験を意識します。

しかし、ふと立ち止まったときに、こう思ったことはないでしょうか。

「CGSを受けろ」と言われる。

しかし、その先にどのような道があるのかは、意外と見えない。

  • なぜ自分はCGSを受けるのか

  • 受かった先に、何があるのか

  • どのような補職に就くのか

  • どのような責任が待っているのか

そこを十分に知らないまま、ただ「受けるものだから」という理由で受験している若手幹部は、少なくないように感じます。

私はそこに、ずっと引っかかりを感じてきました。

組織として受験を求めるのであれば、その先のキャリアや意味も、もっと分かりやすく示されてよいのではないか。

この記事は、その問題意識から書いたものです。

CGS受験を始めるにあたり、まずは「その先に何があるのか」を知ることが、出発点になると考えています。

2. 今回の記事は、公開情報と公式制度から見えた「一つの参考」


最初にお断りしておきます。

この記事は、CGS後のキャリアを断定するものではありません。
公開情報と制度から見えた、一つの参考資料です。

私は、公開されている人事情報や退官後のプロフィール、防衛省・陸上自衛隊の公開資料などを丁寧にたどり、サンプルを参考に整理しました。

ただし、ここには大きな限界があります。

公開情報に名前や経歴が残るのは、退官後に活動が見える方や、公的に公表される補職に就いた方に偏ります。

現役で勤務している方や、非公開の補職に就いている方の経歴は見えません。

つまり、公開情報から見えるキャリア例は、CGS後の世界のごく一部でしかありません。

一方で、幹部自衛官の経歴管理上の中心概念として「分野制度」があります。

この記事では、公開情報から見えたキャリア例と、分野制度の両方を踏まえて、できるだけ正確に整理します。

3. まず押さえたい。陸自幹部の補職管理は「職種」だけでなく「分野」でも考えられている


陸上自衛隊には、職種があります。

普通科、機甲科、野戦特科、施設科、通信科、需品科、武器科、航空科など、多くの方が職種という言葉は理解していると思います。

また、幹部自衛官の経歴管理では、職種とは別に「分野」という考え方があります。

ここを混同しないことが、とても大事です。

分野とは、職種・特技そのものではありません。

将来の戦略環境の変化や、新たな戦い方を踏まえ、高度な専門能力を持つ人材を計画的に育成・管理するための、横断的な仕組みです。

現行の分野は、次の12です。

  • 情報

  • デジタル分野(サイバー、電磁波、AI・OR等を含む)

  • 研究開発

  • 後方

  • 情報発信

  • 法務

  • 心理(メンタルヘルス)

  • 国際

  • 戦略研究

  • 戦史

  • 特殊作戦

  • 心理戦

対象は幹部候補生および3等陸尉以上で、
A幹部(一般幹部候補生卒、防大卒)はおおむね3等陸佐昇任時
B幹部(部内幹部)は1等陸尉昇任時に分野が指定されるのが基本とされています。

指揮幕僚課程(CGS)や技術高級課程(TAC)修了後に早めに指定される場合や、育成に長期間を要する分野では幹部候補生学校卒業時等に指定される場合もあります。

2以上の分野を、順位付きで指定できる仕組みもあります。

ここで誤解しないでほしいのは、分野が指定されたからといって、その分野以外の補職に就けないわけではない、ということです。

分野は経歴管理の方向性を示すものであり、他分野への補職を妨げるものではありません。

CGS後のキャリアを考えるなら、職種だけでなく、"分野"という専門性の軸も知っておく必要があります。

ちなみに、私は、「国際」分野でした。

4. CGS後のキャリアは「単線」ではなく、「分野」と「補職領域」の往復でできている


CGS後のキャリアは、一本のレールを真っ直ぐ進むものではありません。

中央、司令部、部隊、教育・研究、海外派遣など。

これらを行き来しながら、一人ひとりのキャリアが形づくられていきます。

その中で、自分の専門性や分野が「軸」になります。

たとえば、戦史を軸にしながら、国内大学院で戦史を研修し、中央幕僚、連隊長、防衛駐在官、CGSの戦史教官といった経験を重ねていく方もいます。

国際を軸にしながら、防衛駐在官、対外調整の中央勤務、部隊勤務、職種学校勤務を組み合わせていく方もいます。

法務を軸に、運用法規や国際法に関わる職域で経験を積む方もいます。

つまり、こういうことです。

CGS後のキャリアは、"どこに行くか"だけではありません。
"どの分野を軸に、どの世界を往復するか"でも決まっていきます。

5. CGS後に関わり得る5つの世界


ここからは、公開情報を整理した「CGS後に関わり得る世界」を、5つに分けて紹介します。

ただし、これは人を分類するためのものではありません

CGS後のキャリアの中で、誰もが何かしらの形で関わり得る、5つの補職領域として読んでください。

そして、この5つの世界をどの分野を軸にして往復していくかが、一人ひとりのキャリアになります。

1). 中央幕僚の世界

内局、統幕、陸幕などの世界です。

防衛、運用、人事、防衛協力、装備、統合運用といった、組織全体・国家レベルの仕事に関わります。

求められるのは、文章を書く力、調整する力、制度を理解する力、政策的な感覚です。

ただし、CGS直後にいきなり中央に行くケースは、それほど多くありません。

師団・旅団司令部での幕僚勤務や、中隊長、各種研修などを経てから、中央幕僚に進むパターンが一般的です。

※ CGSを卒業しても、市ヶ谷勤務を経験しない幹部もいます。

2). 部隊指揮の世界

中隊長、大隊長、連隊長、団長、旅団長、師団長といった、現場で部隊を動かす世界です。

隊員を掌握し、訓練を計画し、実任務でも崩れない指揮官としての力が問われます。

外から見ると華やかですが、責任は重く、判断の重みは年々増していきます。

CGSは、ここで「指揮官として評価される」入口でもあります。

3). 教育・研究の世界

教育訓練研究本部、防衛研究所、防衛大学校、職種学校などの世界です。

戦史、戦略研究、戦術、安全保障、教育研究などの仕事があります。

現場で得た経験を体系化し、後進に伝える力が問われます。

書く力、教える力、研究する力。

地味に見えますが、組織の知を支える要の領域です。

4). 国際・対外・派遣系の世界

PKO、海外派遣、防衛駐在官、海外留学、他省庁出向、対外調整など、外と関わる仕事の世界です。

ただし、これらをすべて一律に「国際分野」と断定することはできません。

補職運用上は、特別な職務への補職として扱われる勤務もあります。

語学、対外調整、異文化理解、計画力、統合的な視野が求められます。

長期間の不在や帯同など家族や生活への影響も大きいため、家庭との対話も欠かせません。

5). 情報・デジタル・研究開発・新領域に近い世界

情報、デジタル分野、研究開発、装備、新領域、C4I、サイバー、電磁波、AIなどに関わる世界です。

部隊指揮官型だけが、CGS後の道ではありません。

専門性を持つことで、独自のキャリアが開けていきます。

これからの戦い方の変化に対応する人材として、その重要性はますます高まっています。

CGS後の道は一つではありません。
ただし、それは自由に好きな道を選べるという意味ではなく、職種・特技・分野・能力・補職・組織ニーズが重なって形づくられていくものです。

ここで、もう一つ加えておきたいことがあります。

CGS卒や幹部としては、おおよそどの分野を軸にキャリアを形成していくかは、ある程度(必ずしも同一ではありません)見えてきます。

たとえば、戦史を軸にする普通科の方であれば、CGSを卒業した後、国内大学院で戦史を研修し、中央幕僚、連隊長、防衛駐在官、CGSの戦史教官といった流れでキャリアを重ねていくイメージです。

国際分野を軸にする方、情報分野を軸にする方、法務分野を軸にする方も、それぞれの軸を中心としながら、5つの世界のどれかを行き来していきます。

軸があるからといって、他の世界に関わらないわけではない。

その点は、あらためて強調しておきたいと思います。

6. CGS後の最初の一歩は、意外と地味で重い


CGSという言葉から、華やかな幹部コースを想像する方もいます。

しかし、私の知見上、CGS後の最初の補職は、想像より地味で、重いものです。

  • 普通科連隊等の中隊長

  • 師団・旅団司令部の幕僚

  • 職種学校等の企画、教官など

実務をどれだけ確実に回せるかが問われます。

CGSで学ぶ知識だけでは、足りません。

  • 文書を仕上げる力

  • 部署横断で調整する力

  • 期限を守って計画を立てる力

  • 現場の混乱の中でも、判断を崩さない力

  • 重い仕事を、回し続ける力など

そこで積み上げた信頼が、次の補職につながっていきます。

CGS後に求められるのは、華やかさではありません。
重い実務を確実に回す力です。

卒業後、外務省出向、海外留学、国内大学院研修などを経験できる幹部もいます。

7. CGSは「選択肢を広げる」が「責任も重くする」


CGSを卒業すると、キャリアの選択肢は確かに広がります。

中央勤務、部隊指揮、司令部勤務、教育研究、国際・対外、情報・デジタル・研究開発などの専門領域。

退官後の道も、大学、研究機関、企業、自治体、防災・危機管理など、いくつかの可能性が見えてきます。

しかし、良い面だけではありません。

責任は、確実に重くなります。
転勤は増える可能性があります。
業務量も、判断の難易度も上がっていきます。
家庭との両立が、より難しくなる場面もあります。

求められる水準が一段、上がるということです。

CGSは、選択肢を広げる一方で、背負う責任も重くします。

ここを正直に見たうえで、それでも目指したいかどうか。

その問いは、自分にしか答えられません。

8. 若手幹部にとって本当に大事なのは、「CGSに行けるか」だけではない


CGSに行けるかどうかは、もちろん幹部自衛官にとって重要です。

ただ、そこで止まってしまうと、もったいない。

本当に大事なのは、CGSに行った後に、何を任される人になるかです。

  • 自分はどの分野を軸にしたいのか

  • どの補職領域で、力を発揮したいのか

  • 部隊を動かす指揮官になりたいのか

  • 幕僚として重い仕事を回す人になりたいのか

  • 教育研究で、知を体系化する人になりたいのか

  • 国際・対外の場で、外との橋渡しをしたいのか

  • 情報、デジタル、研究開発などの専門性で勝負したいのか

ここを考えるかどうかで、合格後の景色は大きく変わります。

CGSはゴールではありません。
その後に何を任される人になるかを考えるための分岐点です。

そしてもう一つ、正直に書いておきたいことがあります。

自分の進みたい道がこの記事の中になかったり、CGSに行かなくても自分の夢が達成できるのであれば、無理にCGS受験を本気でやる必要はない、と私は考えています。

CGSは、すべての幹部にとって唯一の正解ではありません。

ただし、これは少し補足しておきたいのですが、勤務を続けていく中で、自分の興味や役割が変わっていくこともあります。

数年後、ふとしたきっかけで「やはりCGSを受けたい」と思う日が来るかもしれません。

そのときに、ゼロから走り出すのは、とても大変です。

ですので、いま本気で受験するかどうかは別として、勉強だけはできる範囲で続けておいたほうがよい、と私は考えています。

  • 教範を少しずつ読む

  • 防衛白書などの時事に触れる

  • 英語を細く長く続ける

  • 文章を書く習慣を残しておく

その積み重ねが、将来「やっぱり受けたい」と思ったときの土台になります。

9. この記事に出てこない道も、当然ある


今回の記事は、公開情報と公開資料をもとに整理したものです。

ですので、ここに出てこない道も、当然たくさんあります。

公開情報に残りにくい補職や、表に出にくいキャリアもあります。

私のCGS同期も、いまさまざまな道を歩んでいます。

  • 部隊で指揮を執る者

  • 中央で重い案件を回す者

  • 教育研究の場にいる者

  • 海外や対外の現場で動いている者

  • 専門領域で独自の存在感を持つ者

この記事には書ききれない将来像を持っている方も、たくさんいるはずです。

その場合は、ぜひ身近な上司や先輩に確認してみてください

特に、近くにCGS卒の先輩がいるなら、直接話を聞くのが一番です。

もし周囲に相談しにくい状況であれば、私にコメントやメッセージで相談してもらっても構いません。

分かる範囲で、「こういう道もありますよ」とお伝えします。

この記事に出てこない道も、当然あります。
だからこそ、自分の将来像は、ぜひ周囲の先輩や上司にも確認してください。

10. 最後に:CGSは、突然開く扉ではない


CGSは、ある日突然、目の前に現れる扉ではありません。

いまの仕事の延長線上にある扉です。

  • いま目の前の中隊

  • いま目の前の幕僚実務

  • いま目の前の文章一本

  • いま目の前の訓練計画

  • いま目の前の部下指導

その積み重ねが、合格後の自分を形づくっていきます。

CGSを目指すなら、栄光だけを見るのではなく、責任のほうもまっすぐ見つめてほしいと思います。

そして、なぜ自分はCGSを目指すのか

組織から求められるからではなく、自分のキャリアを考える機会として、CGSを受け止めてみてください。

その問いと向き合った人だけが、合格後の景色を本当に活かせるのだと思います。

CGSは、突然開く扉ではありません。
いまの仕事の延長線上にある扉です。

11. 注記


本稿は、公開情報と、防衛省・陸上自衛隊の公開資料をもとに整理したものです。

本文中のキャリア例は、公式に示された標準ルートではなく、公開情報から見えた一部の事例です。

幹部自衛官の補職管理上の中心概念は「分野制度」です。

ただし、分野指定は他分野への補職を妨げるものではありません。

実際の経歴は、職種・特技・分野・補職・能力・組織ニーズが重なって形成されていきます。

本稿は、若手幹部がCGS後の道を考えるための一つの参考資料であり、公式見解ではないことを、重ねてお伝えします。

12. コメント・ご相談はお気軽に


もし、あなたが気になっている将来像や補職があれば、コメントまたはご相談ください。
この記事に書き切れなかった道も含めて、分かる範囲で整理していきたいと思います。

ご自身がいま、どの分野・どの世界に惹かれているのか。

一行でも構いません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Mr.K


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