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【美術展2025#84】山本理顕展 コミュニティーと建築@横須賀美術館

会期:2025年7月19日(土)〜11月3日(月)

建築家・山本理顕(1945-)の50年にわたる設計活動 を、およそ60点の模型や図面、スケッチ、ドローイングを通して紹介します。
山本理顕は、建築におけるパブリックとプライベートの境界を「閾(しきい)」と呼び、地域社会とのつながりを生む空間として重要視しています。こうした思想を体現した建築は、そこに住む人々だけでなく、周辺のコミュニティー全体を豊かにできるものとして世界的な評価をあつめ、2024年には、建築界で最も栄誉あるプリツカー賞を受賞しました。
代表作のひとつである横須賀美術館を会場として行われる本展は、山本理顕の設計思想を総合的に紹介する、過去最大規模の展覧会となります。

横須賀美術館


自身の設計した美術館での回顧展。
建築家冥利に尽きるのではないだろうか。
しかし横須賀市も後にプリツカー賞を受賞することになる建築家に、2000年代前半に白羽の矢を立てるとは先見の明があったもんだ。


階段を下る。

展示室は地下階だが1階まで吹き抜けていて天窓から自然光が注ぐため、とても開放感がある。


壁面パネル、今展のために設計した什器の上に乗せた建築模型。
それ以上「何も足さない、何も引かない」というのが今展の基本スタイル。
明快で良い。

《三平邸》1975

この一軒の住宅からキャリアがスタートする。

什器にはシリアルナンバーが入れられて、展覧会終了後にそのまま一般販売される。

ただし、販売ページによると「本製品は山本理顕氏デザインの芸術品です。テーブル・家具といった実用品としての使用を前提としておりません。」と言い切っている。
この形状を机とせずに何に用いれば良いのだ?
ちなみに、アルミ剥き出しのため角のエッジは刃物のように尖っており、私はついうっかり足を擦ってしまって流血した…。


こんなドローイング作品も展示されている。
連名だったので実際に描いたのは本人ではないかもしれないが、山本氏の建築観を象徴する世界観が描かれている。

《LIVING IN THE CITY》

香港の今は亡き伝説の九龍城を彷彿とさせる。

「山本理顕は、建築におけるパブリックとプライベートの境界を「閾(しきい)」と呼び、地域社会とのつながりを生む空間として重要視しています。」とのことだが、集落や地域の中で運命共同体のように公私の空間が曖昧な場(またはそのような価値観)は東南アジアなどで実際によく体験した。
居心地が良い反面、プライバシーがなくなるので逃げ場がないというデメリットもある。
若い頃はそのような場も楽しめたが、ある程度歳を重ねた今は一人の時間や静けさを重視したい気もする。


山本氏の自邸もあった。

《GAZEBO》1986

自邸内にも「閾」の場があるが、外から丸見えなのはちょっといやだな。


小展示室内も作品がぎっしりと展示されている。

横須賀美術館もあった。

《横須賀美術館》2007

地上には高さを出さずに、地下階で広さと高さを出している。

模型
実際の建物


若林奮の《VALLEYS》も模型化されている。

草木が整えられてすっきりしていた
2025
昨年の夏は草木が生い茂ってトンネルみたいになっていた
2024


次第に案件が大型化して、小学校や大学、大型マンション、さらには都市開発などまで手掛けるようになっていく。

《横浜市立子安小学校》2018

小学校には「閾」のコンセプトは合っていると思う。

ジャングルジムのようで楽しそう


街並みも作る。


今回最大の模型。
そして展覧会のキービジュアルにもなっている作品。

《ザ・サークル チューリッヒ国際空港》2022
やはり公共施設に「閾」のコンセプトは合う


集大成とも言える大型プロジェクトのすぐ後に、地元横浜の小さな案件も手掛けているのがかっこいい。
(実際は資金難で工事は停滞しているようだが。)

《ジャズ喫茶ちぐさ》進行中



展示を一通り見終えた後、館内を建築物として巡る。

入り口から受付へ向かう橋。
開放感あるなあ。
下から見ると頼りない吊り橋みたいだが、上からだとそれほど不安は感じないのが不思議。

下から
上から


高い天井。
天井と壁の境には角が無く丸くなっている。
床の角も丸くなっているため、線としての境目が無いので奥行きが曖昧になり、より高く広く感じる。
窓の向こうにはレストラン、さらに奥には水平線が見える。
細かいところまで計算されているなあ。

階段もきれい。

螺旋階段を登る。
建物のガラス屋根と室内の屋根の隙間。
こんなところも見せてしまう。

屋上に出る。
風が気持ちいい。
その先には海が広がる。サイコー。



先日見た藤本壮介展は片岡館長のリクエストもあったからか、インスタレーションや映像などを取り入れた、都市の未来を描くスケールの大きな体験型の展覧会だった。


今回の山本理顕展は、派手な演出は無く、パネルと模型が基本のいわゆるTHE・建築展だったが、終始展示スタイルが一貫していたためすっきりと見やすく、これはこれで全体で大きなインスタレーションのようにも思えた。
何よりも自身が設計した美術館が会場だったので、その空間がすでに作品であり、余計なことをする必要がなかったのかもしれない。


とても良かったから図録を買って帰ろうと思ったら、なんと22,000円もした。
直筆サイン入りとのことだったが…、断念😢


続けて三浦半島を神奈川県立近代美術館葉山館へ向かう↓



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