【美術展2025#17】坂本龍一 音を視る 時を聴く@東京都現代美術館
会期:2024年12月21日(土)〜2025年3月30日(日)
東京都現代美術館では、このたび音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する、日本では初となる最大規模の個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」を開催いたします。
坂本は50年以上に渡り、多彩な表現活動を通して、時代の先端を常に切りひらいてきました。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開し、さらに2000年代以降は、さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを積極的に思考、実践しました。本展では、生前坂本が東京都現代美術館のために遺した展覧会構想を軸に、坂本の創作活動における長年の関心事であった音と時間をテーマに、未発表の新作と、これまでの代表作から成る没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品10点あまりを、美術館屋内外の空間にダイナミックに構成・展開します。これらの作品を通して坂本の先駆的・実験的な創作活動の軌跡をたどり、この類稀なアーティストの新しい一面を広く紹介いたします。
坂本龍一の「音を視る、時を聴く」ことは、鑑賞者の目と耳を開きながら、心を揺さぶり、従来の音楽鑑賞や美術鑑賞とは異なる体験を生み出します。坂本が追求し続けた「音を空間に設置する」という芸術的挑戦と、「時間とは何か」という深い問いかけは、時代や空間を超えて、私たちに新たな視座をもたらし、創造と体験の地平を開き続けてくれることでしょう。
あっという間に会期は終盤に入り、特に土日の会場はモネ展ばりに混んでいると聞いたのでなんとか都合をつけて平日朝イチを狙って行った。
勢い余って早めに着いてしまったのでどこかで時間を潰そうかとも思ったのだが、とりあえず美術館入口に向かう。
開場までまだ1時間近くあり、こんなに寒くて天気が悪いというのにすでに並んでいる人がいたので後ろに並ぶと、あっという間に私の後ろに長い列ができた。
警備員によると前日は平日にもかかわらず開館前には200人くらい並んでいたとのこと。
チケットは直前にオンラインで買おうと思っていたのだが、列に並びながらサイトを見ると本日の予定枚数終了になっている!
くそう!昨晩見た時に買っておけば良かった!
これってせっかく朝イチ並んだのに入れないのか?
なんて一人焦っていたのだが、窓口にて当日券の販売はあるとのこと。
あぶね〜。
開場直前にふと列を見返すとざっくり150人以上は並んでいた。

無事当日券をゲットし入場。

会期中盤までは全ての作品が写真撮影できたようなのだが、混雑緩和のため2月11日以降地下階の作品のみ撮影可と変更になった。
無人の作品と対峙しつつ誰もいない写真も撮りたかったので入場後一階をすっ飛ばして地下階へダッシュ。

おかげで無事パチリ。

しかし名作《PK80》はどんな場所・状況でも場に馴染むなあ。
ストイックなまでに細い脚がカッコいい。

部屋と作品と私。

誰もいない。最高。
しばし見入る。
こちらの部屋も独り占め。
やはり作品と自分だけの空間は良い。


今回の作品群の中では初期のもの。

アーカイブの部屋。

このマインドマップが今回の展覧会の全てを表しているように思えた。


まだまだ独り占め。
坂本龍一に対しての思い入れはそこまでないのだが、映像の存在感がいい感じにリアルで泣ける。


元々は1996年に岩井俊雄とのコラボレーションで制作した作品。
無人の作品を撮影するためにざっくり地下階を回った後、一階へ戻り最初からゆっくりと作品を鑑賞する。
あっという間に大混雑していた。
やはりとりあえず先に地階を回っておいてよかった。
サウンド系インスタレーションの展覧会ということで、どうしても先日までICCで行われていたevalaの展覧会が頭をよぎる。
あちらのタイトルは「現われる場 消滅する像」だった。
その名の通りまさに音に身を任せて次々と景色が現れては消えていく、印象深い展覧会だった。
対してこちらのタイトルは「音を視る 時を聴く」。
やはりその名の通り、坂本龍一の音源を元に視覚化した映像やインスタレーションが展開されていた。
坂本龍一名義の作品ではあるがあくまで音源部分がメインで映像やインスタレーション部分は協働作家が担う部分が大きかったように思う。
そういった意味ではやはり坂本龍一は音楽家だったのだろう。
津波で被災したピアノを用いたインスタレーション《IS YOUR TIME》はそのものでなければならないストーリーが込められていたが、その他の多くの作品は再現性も高く、なんなら音源が坂本龍一でなくとも成り立つような気もした。(もちろんそれぞれの作品は素晴らしいものだったが)
とはいえ、最後の作品《Music Plays Images X Images Play Music》などは元ネタの楽曲をよく知らないのに感動してしまったし、各作品の音源の素晴らしさは門外漢の私にですら響くものがあった。
屋外にも作品が。
画像のノイズが雨とシンクロしている。

最も写真映えする作品のはずだったが、来館日は悪天候だったためリアル濃霧にしか見えない。


私が物心つく頃にはYMOはすでに「散開」していたが、YMOの楽曲や『戦場のメリークリスマス』『ラストエンペラー』のサントラは街中でよく耳にした。(映画そのものも多分観たはずなのだが全く覚えていない)
清志郎がらみで『い・け・な・いルージュマジック』なども耳にはしたが、私の中での坂本龍一はいずれにせよその辺りで一度姿を消す。
現代音楽的なこともやっているというのは遠巻きに知ってはいたが、昨今では政治に物申す系界隈をうろうろしている著名人という印象だった。
そのように今までぼんやりと認識しているだけだった坂本龍一やその作品群についての解像度が今回少しクリアになったのは良かった。
いずれにせよ坂本龍一の残した音楽はこれからも残る。
まさに Ars longa, vita brevis.
芸術は長く、人生は短し。
私の人生と同時代に活躍していた著名人が亡くなるたびに、いつか訪れる自分の死を考える。
すでに私も人生の折り返し地点を過ぎ、これから先、今まで生きてきた年数以上に生きることはきっとないだろう。
若い頃はいつまでも続くと思っていた未来が徐々にカウントダウンされていく。
私は死後、この世界に何かを残せるのだろうか。
帰宅後、今回の展覧会で楽曲が多数用いられているアルバム「async」がApple musicで聞けたので、酒を飲みながらしばし世界観に浸る。
あら、…いいじゃないこれ。
家のBlu-rayレコーダーにちょうど今回の坂本龍一展を特集した「日曜美術館」が録画されていたので見る。
良かった。
泣いた。
2回見た。
東京シティビューにて行われる「火の鳥展」に備えて最近まで「火の鳥」全巻一気読み返しをしていたせいか、私の中で坂本龍一の世界観が、時空を越えて過去と未来を自由自在に行き来する「火の鳥」の世界観と完全にシンクロしていた。

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