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8/17 サマルカンド

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地獄の移動終了から1日。前日の宣言通り全く起きる気配のないマサカリとバナナの横で多様もゴロゴロしていたら、普通に午後になってしまった。さすがに飯くらいは食いに行くか。一応2人にも声をかけたが、ウウーンみたいな反応しか来なかったので無視して部屋を出る。昨日の散歩に引き続き、今日も1人回のようだ。

美しい通りをゆく

向かっているのは、この辺りで評判が良いらしいプロフ屋だ。プロフ(この国ではオシュとも)は中央アジアで広く食べられる米料理で、ピラフの原型とされている。油っぽくパラパラとしていて、牛、羊、馬、ヤギなどの肉と細切りのニンジン、レーズン、ひよこ豆、ニンニクなどが入り、味はしょっぱかったり甘かったり、濃かったり薄かったりと色々である。新疆以降多様はこれにすっかりハマってしまい、今では地域や店ごとの味の違いを確かめるのが半ば習慣化している。特に、プロフ発祥の地ともされるここウズベキスタンにはカザフスタンやキルギスと比べても格段に店が多く、見つけると試さずにはいられないのだ。一方、付き合わされているバナナやマサカリはいい加減プロフにうんざりしているようで、その恨みは多様を狂人呼ばわりするほどに深い。ということで、1人行動の今日は絶好のプロフ日和であった。
店まで3キロほどの道のりの途上、多様は昨日から気になっていたコカ・コーラの広告について考えていた。実はウズベキスタンでは、街頭で見かける広告などで、コーラと共にプロフも描かれていることがままある。日本ならそこに入るのはまずピザやハンバーガーといったアメリカ料理だと思うが、この国では「プロフ=コーラ」のイメージ戦略も展開されているようなのだ。

こういうのである(Kun.uzより)

まさにプロフが国民食である国なのだから当たり前か、と当初はあまり気に留めなかったが、ふと考えると日本で「ラーメン=コーラ」の広告なんて見たことがない。では、プロフとコーラの食べ合わせが格段によいからこそなのか?否、正直なところ別に普通である。なぜコカ・コーラはこの国で「プロフ=コーラ」のイメージ戦略を展開しているのか…いや、どちらかというと、なぜ日本では「ラーメン=コーラ」や「お好み焼き=コーラ」といった土地の食べ物と掛け合わせた広告を展開しないのか、昨日からずっと疑問だ。寝る前にさななやマサカリとも議論したが、結論は出なかった。日本ではお茶の存在感が大きすぎるのだろうか?
そうこうしているうちに目的の店に着き、多様は1人で巨大なプロフを堪能した。もちろん、コーラも頼んで。

やはり、相性抜群というコンビでもない

ところで、炭水化物を食べるのに一緒に味のないパンが提供されるのもよく分からなかったが、その答えは今日見つけることができた。プロフの味に飽きた頃にパンを食べると、油を吸って口をリセットしてくれるのである。パンはとんかつのキャベツ同様、中和の役割を担っていたのだ。やはりプロフは奥が深い。
その後は2時間ほど店の周囲を一人で散歩した。言わずもがなサマルカンドといえばイスラームであるが、ここらには帝政ロシア時代に建設された正教会聖堂もいくつかあることが分かり、それらを巡ったり旧市街の端をぶらついたりした。

聖アレクシス・モスクワ府主教大聖堂

夕方、散歩に飽きてモールのフードコートでぼーっとしていると、さっき起きたさななが合流してくるという。待つこと1時間、なぜかさななはスリッパで現れた。

北京のホテルからパチってきたらしい

靴下の洗濯物を増やしたくなかったというだけで、4キロの道のりをスリッパで来たそうだ。底が薄いので石があると足の裏がめちゃくちゃ痛いらしい。狂人はお前だろう。
何はともあれ合流は果たしたので、たまにスリッパを2度見されつつ近くのグーミ・アミール廟へ向かう。

あのティムールが眠っている

さななは昨日のシャヒ・ズィンダが不動の1位となったらしく、こんなののために1000円を吸われたと毒づいていたが、多様は内部の金の装飾が気に入った。
今日見たのはこれだけだ。観光らしい観光はすればするほどスタンプラリーのようになってしまうので、1日1つくらいが多様にはちょうどいいような気がする。というか、サマルカンドでゆっくりと散歩をするまで覚えているようで忘れていたが、元来自分は観光地を巡るより、ローカルの生活が感じられる地域をゆったりと歩く方が楽しいのであった。今まで移動ついででその欲求を満たした気になっていたが、2時間、3時間と目的なく歩くことが多様には必要だったとここに来て思い出したのである。
すっかり日が落ちたので飯を食い、レギスタン広場に出ると、特徴的な青が謎のライトショーで七色に照らされて完全に台無しにされていた。やっぱり多様はお散歩だよね、と思い返しながら、観衆のまばらな拍手を聞く。

一体何がしたいの?

さすがに誰も納得していないようだった。


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