マヌエル・ノイアー(Manuel Neuer):完全無欠な「スイーパー・キーパー」 サッカードイツ代表のレジェンド選手たち #2
マヌエル・ノイアー

Manuel Peter Neuer
生年月日:1986年 3月27日
出身:ゲルセンキルヘン, ノルトライン=ヴェストファーレン州
身長:193cm 利き足:右足
代表通算記録:124試合出場
主なポジション:ゴールキーパー
「アンチ・オリヴァー・カーン」

オリヴァー・カーンか、イェンス・レーマンか――。2000年代前半のドイツ代表では、この2人のどちらを正GKに起用すべきかという激しい論争が巻き起こっていた。実績でいえば、間違いなくカーンに軍配が上がる。バイエルンの守護神として数々のタイトルを手にし、2002年の日韓・ワールドカップではチームを決勝に導く活躍をみせるなど、世界最高のGKと称された。
一方、「インビンシブルズ(無敗優勝)」と呼ばれたアーセナルFCの一員であったレーマンもまた、傑出した才能を持つ守護神だった。高い集中力と大胆な飛び出しでディフェンスラインの背後をカバーし、精度の高いキックから攻撃の起点にもなる――レーマンはゴールキーパーとしては革新的なプレースタイルの持ち主だった。
最終的に、代表の正GKの座を長く担ったのはカーンだった。しかし、現代を代表するゴールキーパー、マヌエル・ノイアーに「どちらがより優れているか」と問えば、彼は迷うことなくレーマンの名前を挙げるはずだ。なぜならノイアーのスタイルに最も大きな影響を与えたのは、実のところカーンではなくレーマンだったからである。
完全無欠な「スイーパー・キーパー」

カーンがゴール前での反射神経とむき出しの闘志を武器とする「ストッパー」だったのに対し、レーマンは「スイーパー・キーパー」の先駆けとして知られ、高い最終ラインの背後を積極的にカバーするプレースタイルを確立した。ノイアーはシャルケのユース時代、トップチームの守護神として活躍したレーマンに憧れを抱き、そのプレースタイルを目標としていたのだ。
相手のロングボールには果敢に飛び出して対応し、「下部リーグならフィールドプレーヤーとして通用する」とまで評される足元の技術でビルドアップにも貢献するプレースタイルを確立してみせたのだ。しかしノイアーが優れているのは、そうした「革新性」だけではない。ゴール前での反応速度と鋭い判断力、そして大舞台で見せるメンタルの強さ――彼は現代屈指の「ストッパー」でもあるのだ。
2014年のブラジル・ワールドカップでノイアーは、このスタイルを武器に活躍し、ドイツ代表を世界一へと導いた。そして同時に、「スイーパー・キーパー」という存在を欧州トップレベルのスタンダードにまで押し上げたのである。カーンが象徴するのが「伝統」だとすれば、レーマンは「革新」だった。そしてノイアーは、その「革新」を受け継ぎ、さらに高次元で昇華させた存在である。
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