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ドイツ代表がイタリア代表に勝利した理由 FOKUS Bundesliga!!! #52




試合巧者のナーゲルスマン

サッカードイツ代表は、UEFAネーションズリーグ準々決勝において、2戦合計スコア5-4でイタリア代表を破り、次のラウンドへの出場権を得た。イタリアで行われた1stレグ、ドイツで行われた2ndレグはどちらも全く異なる試合展開を見せ、両者互角といいたくなる仔細な要素は多々あった。ただ個人的にはユリアン・ナーゲルスマンの戦術が相手を上回ったと感じる。

ナーゲルスマンの戦術の特徴は、ペップ・グアルディオラなどを中心に欧州の主流となった「ポジショナル・プレー」と、ラルフ・ラングニックなどを中心にドイツの主流となった「ドイツ的ゾーンプレス」を止揚したことにある。最も特徴的なのが、3人のトップ下の起用の仕方だ。ナーゲルスマンは攻撃時、基本的に2列目の両ワイドの選手をペナルティ・ボックスの幅内に留めさせ、大きくワイドに開くことをさせない。選手が密集した状態を保つことができ、ゲーゲンプレスの効果が高まるためだという。

ただ、まったくワイドで起用しないわけではない。例えば、3月20日にエスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァで行われた1stレグの後半では、前半、より内側でプレーした2列目の右MFナディーム・アミリをサイドに開かせ、相手ウイングバックのデスティニー・ウドジェと対峙させたことで、右SBヨズア・キミッヒがフリーになった。ティム・クラインディーンストの同点弾のシーンなどはその最たる例で、途中からアミリに代わってよりサイドを主軸とするジェイミー・レヴェリングを投入したことからも狙いは明らかだった。

2列目の選手の位置を変化させるのはFCバイエルン・ミュンヘンの監督であったときから見せていた特徴なので、おそらく戦術のオプションのうちにあるのだろう。正直にいって、選手の質ではドイツ代表がイタリア代表を大きく上回ったということはないように思う。戦術面においても、イタリア代表のプレスにドイツ代表は苦しめられた。しかしナーゲルスマンは選手の強烈な特徴を巧みに利用し、勝利を得た。


ドイツ代表の「怪物」と「天才」

2024年11月21日、ワールドサッカーダイジェスト誌が発売した雑誌の特集は「世界100か国「天才」&「怪物」図鑑」だった。雑誌の内容もさることながら、個人的に表現が面白いと感じた。「ピッチで絵が描けている天才」と「抗いがたい自然の力のように圧倒的な存在感でピッチを制圧する怪物」という対比は、サッカーというスポーツと親和性が高い。

ではドイツ代表における「怪物」は誰か。上述の表現に照らし合わせるなら、クラインディーンストこそドイツ代表における怪物だろう。193cmと高身長ながら縦横無尽にピッチを駆け回り、空中での競り合いに勝利するのだ。またナーゲルスマンの代名詞ともいえる「様々な角度へのレイ・オフ(シュタイル・クラッチュ)」を無理な体勢でもできるため、相手は対応に苦慮せざるを得ない。2ndレグの前半でもGKオリヴァー・バウマンのラフなロングキックに頭で合わせて裏のスペースに落とすプレーを披露した。まさしく「怪物」である。

ではドイツ代表の「天才」は誰か。1人あげるなら、間違いなくキミッヒだろう。勝利を渇望し続けるキミッヒのプレースタイルは、チームにいい影響をもたらし続ける。例えば1stレグの前半において、ドイツ代表はポゼッションで優位に立ちながら、何度もイタリア代表にカウンターを許した。しかしキミッヒは安定した守備を披露し、自身が守るサイドを突破しての攻撃をほとんど許さなかった。後半に入ると右足での冴え渡ったボール展開力を披露し、2度のアシストを含めて好機を演出するなどMVP級の働きをみせた。

「怪物」と「天才」。この2選手の能力が活きるように戦術を調整してみせた1stレグ後半のナーゲルスマンのアイデアこそ、ドイツ代表がイタリア代表に勝利を収めることができた最大の分岐点だっただろう。


ドイツ代表の中盤

最後に2ndレグで好印象を残したアンジェロ・シュティラーにも触れておきたい。3バックの前でアンカーとしてビルドアップをサポートしたシュティラーの前線の動きは見事だった。ナーゲルスマンはこれまで中盤にパスカル・グロスを優先的に起用したが、おそらくこの試合を機に序列が変化するのではと予想する。

個人的に、現在のドイツ代表の強みは、キミッヒを右SBとして起用できる点にあると考える。彼が現在のドイツ代表で最大限に能力を発揮できるポジションは、過剰なプレッシャーのかかりにくいサイドバックだろう。ただキミッヒをサイドに置くことができるのは、ドイツ代表の厚い中盤の選手層があってこそだ。ユーロでも活躍したロベルト・アンドリッヒや復活したレオン・ゴレツカ、逸材アレクサンダル・パヴロヴィッチの存在が今のドイツ代表を支えているのだ。

ナーゲルスマン監督率いるドイツ代表には引き続き期待したい。次の対戦相手はロベルト・マルティネス監督率いる難敵ポルトガル代表。高い得点能力を持つ選手を前線に擁している相手だけに、ディフェンスラインの奮闘に期待したい。


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