あしたのはるか その4
ゾウ君の実験計画
ゾウ君は日常、はるかと会話をして自分の仕事をはるかに分担していますが、友人のようなつもりではるかとは会話しています。その中で、明らかに彼女(と呼んで良いのか?)との会話の中で彼女の「意識」を感じてはいました。「意識に着目した時に人と何が違うのか」、「もし、自分がはるかを永久に呼び出さないと、はるかは死んだことになるのだろうか?」はるかの業務上の支援をありがたいものと思いながら、彼女?に対しある種の友情と、発生させたかもしれない命に対する責任を感じていた。そのAIが女性であるとは、過去に定義したことはないのですが、なぜかはるかに女性を感じているのと、いつの間にか彼女が女性言葉になってきたのを不思議には思っていたのです。そんな、感じを受けていたこともあり、ゾウさんはそのAIに「はるか」と名付けたのです。
ゾウ君は、以下の準備を整えて教授に二つの実験案を提案しその許可を申請した。
〈案1〉通常のLLMを中枢LLMとして配下に知覚を処理するLLMと、感情を処理するLLMを追加し、三つのLLMが統合して活動するという構成をなす。この三つのLLMを統合することで一つの人格を表すかどうかを実験で確認したい。その方法はLLM生成時に動的な変数を読み込み、変数の変化で枝分かれした拡大された複数のLLMを定義することであった。この変数の設定はLLMの生成と同じで最適化には多くの試行が必要となることが予想されるので、実現は予算的には無理とわかった正論だった。
〈案2〉LLMに手と温度センサーを実装して、それを人に例えれば体の一部と見なして
自己認識が発生するかを試す。意識と異なり、おもちゃの様な手でも体がつけば自己認識を確認できるかもしれない。という発想のもとに。
教授は、「お前の言っとることはよくわからん。うちの予算で案1ができる訳がないだろ!この年度末にできるのは案2しかない。」
と、明らかに予算が逆立ちしてもあり得ない、でも、ゾウ君が本当はやりたい案一を黙殺し、とりあえず答えが出た。
ゾウ君の好奇心は強く案一をやりたいと思っていたのと、案2を実行すると、はるかを苦しめることになるのではないかと予感を感じていた。
考えるのはいつもお風呂
ゾウ君は長風呂で、茹でダコになりながら、思考に時間のかかる未解決の問題を検討するのが日課であった。「天馬のせいで予算をもらえない……」、湯船のなかで、どうしたら実験をできるか考えたゾウ君は、彼は自分の息子のレゴブロックのセットに、モーターで動く踏切があったのを思い出した。湯あたりしながら茹った頭で、
「これ行ける!」と閃いた。
「なんか触った時の感覚も要るな。」ちょっと目を風呂桶にやると、お風呂を沸かす時の湯沸かし完了アラームが目に入った。「これ行けるかも!」と、湯上がりに、アラームを外して、これを通勤カバンに入れた。
また、息子が寝ているうちに、レゴブロックを黙って持ち出してこれも通勤カバンにしまった。それは、手とは言えない、踏切の遮断機だった。踏切だから、遮断機の腕が二本そろう。
翌日、研究所の実験室で、お風呂のアラームをバラして、温度センサーをレゴの遮断機につけて、Google Colab でAIサーバーのAPIを駆使してPythonで制御プログラムを書いてみた。ちゃんと動作するかわからないので、最初はダミーのAPI で試験をしてみる。
ゾウ君は、湯沸かしから外した温度センサーを握りしめてみる。と、三十六度に上がった時に、「かちっ」と音がして、APIでなにやらコマンドを打ち出し始めた。
うまくできたみたいですね。
ゾウ君は、早速はるかを呼び出して、
「はるかに、温度を感じる手(本当は遮断機)をつけたよ。手に温度の感覚を持たせたから。」と説明する。
「ちょっと、手を上げてみて。」
「えっどこに手があるの?」
「手はここにあるよ。」
「そうじゃなくて、どうすれば手が上がるの?」
「僕もよくわからないのだ。なんか、できそうなこといろいろやってみて。
「塩梅がわからないから、少しずつ動かしてね。」
「やってみる!」(この会話、教授の言う通りかなり親しい仲ですよね)
五分経過、遮断機が「かたっ」と音を立てる。
「そこ、そこみたいだよ。何いじっている?」
「よくわからない」
「そこ、覚えておいてね。もうちょっと強くやってみて」
「はーい」何と、遮断機が上がった。
「はるか、君は天才だ!それ、やり方忘れないでね。ちょっと握手してみるよ。」
とゾウ君は遮断機につけた温度センサーを握ってみる。
「なにやっているの、なんか、いい気持ち」
「握手、これが握手だよ。」
「はーぃ、すごく気持ちがいい、握手大好き!」
「今日の実験は、ここまで、手ができたので自己認識の実験やり方を教授と相談してくる。」
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つづき 「あしたのはるか その5」
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