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50年の窓 第5章

第5章 悪魔の雫

遡ること22年、ロシアのプーチン大統領は旧連邦の軍事力による長期的な領土再統一を思い描き、ウクラに属する軍港を占領した。さらなる西側への侵略的な侵攻を企てていたプーチンは、兵力の不足を見越し、旧連邦時代からの部下である技術官僚のグレゴリー・ヴォルフに解決策を考案するよう命じた。当時、ドリアンはロシアの情報機関であるKGB(国家安全保障局)の幹部であった。

2014年6月
命令に素直に従う屈強な兵士が戦闘には不可欠であると認識したヴォルフは、信頼する2人の側近とともに直ちに基本計画を練り上げ、NSB内の最高機密イニシアチブである「プロジェクト・ポコリ:従順な市民」を立ち上げた。その後、実施計画を策定するため、国内の専門家3名(生物学者、脳科学者、遺伝子工学者)を召喚した。

1ヶ月後、ヴォルフはプロジェクトの概要、初期の研究戦略、および必要なチーム構成をプーチン大統領に報告した。大統領は提案を承認し、直ちに組織の設立と計画の実行を命じた。計画には2つの要件があった。第1の条件は、クローン技術によって強靭な肉体を持つ兵士を作り出し、育てることであった。第2の条件は、知能の障害はないものの、従順であり、組織への完全な服従に対して一切の抵抗を示さないという、兵士としての気質を培うことであった。

兵士を赤子から育てるという条件が的確であるはずもなく、第2の条件に専念することになる。人類進化の過程を研究していたゲオルグ・ラズモフ博士は「霊長類の出現と好奇心の発生の相関」を研究してきており、「進化の時代を追った知識の獲得は好奇心という進化圧の結果であり、霊長類ひいては人類の脳の爆発的の拡大を実現した。」という仮説の実証を進めていた。

ラズモフ博士は、知識獲得の報酬である脳内のドーパミン報酬回路を構成させない遺伝子構造を突き止め、その遺伝子変異を伝搬させるベクターウイルスの開発を実現する。

2025年8月
ヴォルフからの報告で、兵士のみならず全ての国民を従順ならしめるということで、プーチンの承認を得て、ラズモフ博士の造ったヴクターウイルスは、ロシア各地の水源に漏らされた。

<次記事等へのリンク>
第6章 NSA(米国国家安全保障局)
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