50年の窓 第15章
第15章 米国の本気
Ω(オメガ)プロジェクト
2037年7月14日
この日を以て、大統領決定により米国における本件対策の執行責任は正式にNSA長官となり大統領直属のプロジェクトとなり、「Ωプロジェクト」と名付けられ、国連加盟の国々の行政府の了解に基づいて活動を開始した。世界の遺伝子、感染症、保健衛生関連組織等の権威者を会議参加者として各国の政権により推薦を要請するなど、8月1日に向けた準備を開始した。
今までCIAで本件を担当していた6人の主要スタッフ(当面仮称「CIA組」)は正式にNSAに移籍が命ぜられ、NSAから約100名が人選され、NSA長官をトップとするΩプロジェクトのHQ(ヘッド・クオーター)が定義された。「Ωプロジェクト」の管理部門を形成することと命ぜられた。
6名のCIA組は各人に10数名の担当者が割り当てられ、課題解決、業務執行を進める10数名の6つの部門が定義され、6名のCIA組にHQ部門と、AからEまでの5つの部門に充てられた。
また、NSA長官を議長とするΩボードが定義され、6名のCIA組からの前記部門長と別途決定されるΩ研究会議から3名、CIAと上院、下院からの各1名のリエゾンの総計13名のメンバーが任命された。このΩボードの議長の報告先は大統領である。
HQ部門にΩプロジェクト全体のHQ業務を置くことのみを決め、それ以外のA~Eまでは、当面は組織詳細を定義せず、臨機な立ち振る舞いをパワーアップすることでAからEまでの部門を設定し活動を開始した。
CIAの6人組の中で特に自然科学に造詣のあるサミュエル・エンディコット(サム)がHQ部門の責任者としてアサインされた。
この6名のCIA組が、HQ部門と5部門で既に見えている課題に対応し、更に、Ω研究会議が今後明らかにしてゆく課題の解決に当たることが命じられた。当面は大統領、NSA長官からの指示、CIA組の想定していた課題などをミッションとして各部門が担当してゆく。
2037年8月1日
大統領のDウイルス世界対策宣言
米国大統領は、NSAのプロジェクトの報告を受け、ことの重大さを理解し、国連安保理事会の各国首脳に専用電話で事情の説明と、当面の対応について、米国大統領に全権委託することの合意を取り付けた。
その上で、YouTubeや他のSNSによる世界に向けた公式発表として自らの言葉で世界に向けて次のように表現した。
「今日、私は今までの人類史にない悲劇が起ころうとしていることを、世界のすべての人々に、米国大統領としてではなく、1人の人類のメンバーとして、報告せざるを得ないことを非常に残念に思います。
詳細はこの演説で説明しきれる物ではなく国連のしかるべき機関を通して各国の担当機関に報告されます。また国連のWebsiteにも掲示されることになります。人類の滅亡とまでは言えないとしても、人類の文化の終焉を見ることになる事件が既に進んでいることを世界に報告するものです。
1000年、100年先の話ではありません。問題は既に始まっており対策を打たなければ、10年、20年後に皆さん自身がその悲惨な事件の実態を目撃することが始まるでしょう。
世界のすべての国が1つに和合し、この難関の悲劇を最小化するために世界中の叡智を集めることが必要です。
必要なのは、資金ではなく、武器でもなく、叡智と、悲劇に最後まで立ち向かう人々の勇気と力です。
国連の安全保障理事会の同意もいただき、米国のNSAが事務局として、具体的なプロジェクトを進めてゆきます。
どうか、叡智ある人々、各国の政権にある人は事態を正しく理解して1丸となって予想される悲劇を正しく理解し、立ち向かおうではありませんか。
全世界の人々に、神のご加護を!」
同時に国連の安全保障理事会(UNSC)を通して、米国大統領名で各国の行政府に文書による協力依頼を発出した。
国連では取り敢えず米国が主導し対策の検討とその推進について各国の合意を得られた。
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