見出し画像

《みち草🧶》モナーク・バタフライを育てた話

寝たきりで認知症の母の介護のため実家に住み込むようになって、わたしは介護施設の仕事を週2に減らし、土日だけ働いている。

先日の土曜日、Yさんが10時過ぎに来所した。

うがいと手洗いをしてもらってるときに、Yさんが見たことのない服を着てたのでそう伝えると、ちょっとやぼったいけどね、と彼女は言った。
やぼったいかなぁ?ステキな色だよ、と言うと、今朝、娘さんがYさんにその服を着てもらうときに、ちょっとやぼったいけどイイか聞いてきたみたいなのだ。Yさんは認知症だけど、自分に印象に残ってることはけっこう覚えているとわたしは思う。

ちょうど先週、Yさんは鮮やかな青のシャツを着てて、おお、青空を着てるんだね、とわたしがコメントしたのを、えらい気に入ってくれてたのだ。

Yさんのバイタルを測り、数値に問題ないので、お風呂の準備をする。
浴室で洋服を脱いでもらっていると、また彼女は、自分が着ている服がやぼったいのだと言う。
その日、Yさんは家に帰るので、下着、靴下、リハパンだけを変え、やぼったい服はお風呂から上がってもまた着ていただく。

そんなわけで、お風呂から上がるとYさんに夏の思い出って何かあるか聞いてみる。家族で旅行したこと、と言うので、子供の頃、岡崎に住んでたときのこと?と聞いてみると、そう、とのこと。


彼女の旅行の話は支離滅裂な話だったが、それでも色々、聞いてみる。
たくさん話てもらった後に、今度はわたしの夏の思い出を1つお話しする。


家族でアメリカに住んでた頃の話だ。
学校でmonarch butterfly について学んだときのこと。
仕事のおかげで、英語をちょっと理解できるYさんは、蝶々ね、と。
モナーク・バタフライ。
そうそう、蝶々。

モナークはオレンジ色と黒の鮮やかな模様が特徴のアメリカにいる蝶々で、冬になると数千キロメートルもの距離を移動することで有名。

当時学んだときに覚えているのは、モナークがいっぱい木のまわりにいる映像。
とんでもない数の蝶たち。
で、なんと映像を探してみると覚えていた通りだったのだ。
わたしの記憶も捨てたもんじゃない。
バッチリだよ。


他のことはまったく覚えてないので調べてみると、この蝶はメキシコからシカゴを移動するとある。
わたしが住んでたイリノイ州の昆虫が、モナーク・バタフライだそうだ。

モナークが移動してきて、居る場所を聞いたわたしと友達のベッキーは、わたしの姉と一緒に、自転車でその場所まで行き、モナークの毛虫を取りに行った。
毛虫は白、黒、黄色のストライプという色の、目立ちたがり屋さん。

わたしは母が用意してくれた赤いヒルズブラザーズのコーヒーのカンカンに何匹か毛虫をとらえた。

そして帰り道。
けっこう遠いところ、暑い中、自転車をこいでたせいか、わたしは目の前が真っ暗になり、ひっくり返ったのだ。今思えばあれは軽い熱中症だったのか?

しばらく木の下の木陰で休んだ。
コーヒーのカンカンは、かなりへこんでしまった。
せっかくつかまえた毛虫も残ってたのは数匹?この辺はあまりよく覚えてない。
家に戻り、皆で母が作ったおいしいアイスキャンディーを一緒に食べたのを覚えてる。

結局、わたしがつかまえたモナークの毛虫、1匹は無事に脱皮し、逆さに、サナギ(chrysalis)となった。
キレイなエメラルド・グリーン。
この形と色も良く覚えている。


蝶々になるには思ったより時間がかかった。
蝶々になるまでは、このキレイなグリーンを楽しめた。


実は、わたしのこの夏の思い出をYさんに話したのは、このサナギのグリーンと、Yさんがやぼったいかもしれないと言った彼女の服の色の話をするためだ。
あまりグリーンの色としては似てないのだが、Yさんの服の緑を見てモナークのサナギを思い出したのだ。

キレイな色だよ。
娘さんにもわたしが育てたモナーク・バタフライの話をしてみてあげて、と。サナギの色がとってもキレイだったことも、と。
そうする!とYさんはニコニコして言ってた。

モナークの話をしている間、Yさんは色々わたしに質問してきた。ずいぶんと興味があったみたいだ。


こんな風にお話しばかりしているので、わたしと利用者様のお風呂は他のスタッフよりも、いつも時間がかかってしまうのだ。
 

Snez “Green” (2012) YouTube動画



🎙️お知らせ:

いよいよ『トイストーリー5』、公開になりましたね🦖

"時が流れても、変わらないもの"
わたしが子どもの頃、アメリカの歯医者さんで出逢ったおもちゃたち🐖

わたしのトイストーリーは《コチラから👇》

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集