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「掴み」は冒頭にあり?書き出しの上手な作品を紹介【創作大賞感想】

 先日、talesのスペースイベント「物語のつかみかた」に参加した。その中で、物語冒頭から読者の心をつかむためには「掴み」が大事な点や、丸戸史明さんの十八番とも言える「会話劇」についても触れられていた。

 創作大賞に挑む場合、きっと役立つ要素満載なので、気になる方はぜひアーカイブを視聴してみてほしい。

 なお、私は視聴しながら、A4用紙に6枚ほどメモを書いた。すでに内容を忘れつつあるので、もう一度読み直してみたい。

今回の記事では「創作大賞感想」ということで「冒頭のつかみ」が上手いなぁと感じた方の感想を紹介する。


佳子よ、愛しているだけは言わないで/はるさん

一文目から、「何が起きたんだろう」と感じる内容があると、2行目、3行目が気になってしまう。

あの日、私は新幹線のデッキで泣いていた。当時恋人であった夫と、結婚の挨拶のために実家に行った帰りだった。

エッセイより

冒頭というよりも、タイトルを見た瞬間から、もう作品は始まっているのだと思わされた。サムネイルのエモーショナルな写真も、その世界へ誘う入口として完璧だった。

読み進めると、エッセイはお母さま・佳子さんとのエピソードへと移っていく。母との葛藤や悩みを抱えつつも、母と全力でぶつかり合える関係に揺れたりもしながら、最後の一文に向かって真っすぐに伸びていく「母への想い」。それは「愛している」という言葉よりも、もっと深く、切実な思いのようにも感じた。

エッセイ | 将来の不安/やまだくにあきさん

弁護士をやめてnote・創作で活動している、やまださんのエッセイ。まず5行で「どんな話か」が簡潔でまとめられ、なおかつ「いろんな人たちが気になる話題」を盛り込んでいるところ、流石だと感じる。

ぼくより明らかに収入があって、東京でいい暮らしをしている友だちが「明日が不安だ」と言っていた。精神的な話を抜きにしても、たしかに年収1000万円とか2000万円とかだと東京で何不自由なく暮らすののはとてもハードルが高い。この物価の上がり方からすると、家買わないと不安になるだろうし。

先日、東京に行った。

煌びやかな街並みは、愛知から出てきた私からすればどの景色も眩い。この土地でいい暮らしをしている人が「不安」を感じるなんて、全く想像がつかない。

だからこそ、どんな話なのか気になってしまう。こんな風に5行で「引き」と、誰もが共感できるテーマを入れるのが上手い方は、強いなぁと感じた。

PKを蹴った花嫁/ 空原ゆにさん

結婚式のエピソードにそっと触れながら、たった3行で「続きが気になる」引きをつくるあたり、流石は「今日の注目記事」や「スマートニュース」の常連だと感じた。

文章を読んでいるうちに、思わず自分の結婚式はどうだっただろうと、ふと記憶を辿る。ゆにさんの場合は「両親が望んでいるから」だったけれど、私の場合は元職場の先輩が

「絶対に結婚式は挙げたほうがいい」

と強く背中を押してくれたのがきっかけだった。お金がない中でも、メルカリで小物を買い集めたりして、なんとか形にしたことを思い出す。

そして意外なほど、結婚式の準備は当日までずっと面倒くさくて、あれは確かに「作業」だったなぁ、と今になって気づく。ジュビロ愛と、いくつもの「ゴール」が重なり合ったゆにさんのユニークなエピソードはもちろん、その構成の巧さにも唸らされた。

【完】


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