60代の私が『深夜特急』を聴いて思ったこと。無限の時間があった若者への少しの嫉妬
研修講師、手話通訳士の横山熊太郎です。
AIを活用しながら、シニア向けの情報や、書籍やガジェットの紹介などをしています。
最近、オーディブルで沢木耕太郎さんの『深夜特急』を聴いています。
若い頃に読んだことがある方も多いでしょう。バックパック一つでアジアからヨーロッパへ向かう旅を描いた名作です。
今回、私が選んだのはAudible版の『深夜特急1 香港・マカオ』です。ナレーションは俳優の斎藤工さん。落ち着いた声で語られる旅の物語は、まるで自分がその場にいるような気分にさせてくれます。
しかし、60代になった今の私は、若い頃とは少し違う感想を抱いています。
若い頃は「自由」に憧れていた
『深夜特急』の主人公は、時間にも場所にも縛られません。
行きたい場所へ行き、会いたい人に会い、面白そうな方向へ進んでいきます。
若い頃に読んだ私は、その自由さに強く憧れました。
こんな旅ができたらいいな。
知らない街を歩き、見知らぬ人と言葉を交わし、自分の世界を広げていく。
そんな生き方に胸を躍らせていました。
シニアになって見えてきたもの
ところが、60代になった今、同じ作品に触れると別の感情が湧いてきます。
それは少しばかりの嫉妬です。
もちろん、旅をしている主人公に対する嫉妬ではありません。
私がうらやましいと思ったのは、「時間」です。
主人公には、これから先の人生が無限に広がっているように見えます。
失敗してもやり直せる。
遠回りしても取り戻せる。
立ち止まっても十分な時間が残されている。
そんな感覚が文章のあちこちから伝わってきます。
時間の価値は年齢とともに変わる
若い頃は時間があることを意識しません。
むしろ、お金や経験の不足ばかりに目が向きます。
しかし年齢を重ねると気づきます。
本当に貴重なのは時間なのだと。
お金は工夫次第で増やせるかもしれません。
知識も努力で身につけられます。
けれど、過ぎた時間だけは取り戻せません。
だからこそ、『深夜特急』の主人公が持っている膨大な時間がまぶしく見えるのです。
それでも今だから味わえる旅がある
とはいえ、若さだけが価値ではありません。
60代には60代の楽しみ方があります。
若い頃は先を急いでいました。
効率を求め、結果を求め、何かを得ようとしていました。
しかし今は違います。
旅の話を聴きながら、そこに流れる空気や人との出会いに耳を傾けることができます。
主人公の焦りや期待、不安や高揚感にも共感できます。
人生経験を積んだからこそ味わえる深さがあります。
オーディブルだからこそ感じる旅の時間
今回、Audibleで聴いたことにも意味がありました。
散歩をしながら。
電車に乗りながら。
コーヒーを飲みながら。
まるで旅の同行者になったような気分で物語を楽しめます。
本を読むのとはまた違う体験です。
斎藤工さんの落ち着いた語りが、『深夜特急』の世界観をさらに豊かにしてくれます。
おわりに
『深夜特急』を聴きながら、私は少しだけ若い主人公をうらやましく思いました。
無限に続くような未来。
どこへでも行ける自由。
たっぷりと残された時間。
しかし同時に思います。
今の私には、若い頃には持っていなかった経験があります。
人生の喜びも苦しみも少しは知っています。
だからこそ、『深夜特急』をただの冒険物語としてではなく、一人の人生として味わうことができるのでしょう。
もし60代以降でまだ『深夜特急』に触れたことがないなら、ぜひオーディブルで聴いてみてください。
若い頃とはまったく違う旅が、きっと始まります。
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