見出し画像

MVP ARCHIVE HISTORY|Energy : Nuclear Energy 03 : Chicago Pile-1 / 世界初の原子炉

Chicago Pile-1 / 世界初の原子炉

世界初の原子炉

1942年12月2日、メリカ・シカゴ大学のスタッグ・フィールド観覧席の地下で、人類は初めて人工的な 核分裂 連鎖反応を制御することに成功した。

この実験装置は Chicago Pile-1( CP-1 ) と呼ばれ、世界初の原子炉として知られている。
イタリア出身の物理学者 エンリコ・フェルミ が率いたこの実験で、核分裂 の発見からわずか4年後、人類は核エネルギーを制御できることを実証した。

連鎖反応を制御する

核分裂 によって放出された中性子は、新たな 核分裂 を引き起こすことがあり、この反応が途切れず一定の割合で続く状態を実現できれば、核分裂 のエネルギーを継続的に利用できる。

フェルミ らの研究チームは、その条件を探るため、黒鉛ブロックとウラン金属、酸化ウランを積み重ね、巨大な格子状の構造物を建設した。

黒鉛は中性子の速度を調整する減速材として用いられた。
さらに、中性子を吸収するカドミウム製の制御棒を出し入れすることで、核分裂 の進行を調整できる仕組みが採用された。

1942年12月2日

1942年12月2日午前、研究チームは慎重に制御棒を引き抜きながら、中性子の数を観測し続けた。
午後3時25分、核分裂 連鎖反応は自ら維持される状態へ到達した。

人類は初めて、自律的な 核分裂 連鎖反応を人工的に制御することに成功したのである。
実験は約28分間続けられ、その後、制御棒を挿入して安全に停止された。

極秘プロジェクト

Chicago Pile-1 は、第二次世界大戦中に進められていたマンハッタン計画の一部として建設された。

研究は極秘で進められ、成功後には暗号文によって報告が送られた。
「イタリアの航海士は新世界に到着した。」
これに対する返答は、
「先住民は友好的だった。」
という短い言葉だった。

この暗号は、人類が初めて制御された 核分裂 連鎖反応に成功したことを意味していた。

科学から技術へ

Chicago Pile-1 の目的は、核分裂 の連鎖反応を安全に制御できることを実証することだった。
この成功によって、より大型の研究炉やプルトニウム生産炉の建設が進み、マンハッタン計画は大きく前進することになる。

戦後には、この技術が原子力発電所や研究用原子炉の基礎となり、原子力利用の出発点となった。

歴史的意義

Chicago Pile-1 は、人類が初めて核エネルギーを制御した瞬間として科学史に刻まれている。

核分裂 の発見が「 原子核からエネルギーを取り出せる可能性 」を示したとすれば、Chicago Pile-1 はその可能性を現実の技術として証明した。

この実験は、原子力発電、研究用原子炉、そして核兵器開発へと続く、新しい時代の始まりとなった。


いいなと思ったら応援しよう!