MVP ARCHIVE PEOPLE | Space NASA : Nancy Grace Roman / ナンシー・グレース・ローマン - ハッブル宇宙望遠鏡の母


ナンシー・グレース・ローマン - ハッブル宇宙望遠鏡の母
Who Was She?
ナンシー・グレース・ローマンは、アメリカの天文学者であり、NASA 初代天文学主任( Chief of Astronomy )として宇宙天文学の基盤づくりを主導した人物である。
「 ハッブル宇宙望遠鏡の母( Mother of Hubble )」の異名でも知られ、宇宙望遠鏡という構想を国家規模の科学計画へ発展させる上で中心的な役割を果たした。
Scientific Contributions
ローマン は幼い頃から天文学に強い興味を持ち、11歳で天文クラブを結成した。
1946年にスワースモア大学で天文学を学び、1949年にはシカゴ大学で博士号を取得。
その後研究者として活動したが、当時の女性研究者を取り巻く環境を受け、1955年にアメリカ海軍研究所へ移り、1959年には創設間もない NASA へ加わった。
NASA では初代 Chief of Astronomy として宇宙天文学の研究体制を築き、宇宙から天体を観測するという新しい研究分野の発展を推進した。
Project Role
ローマン は、大気の影響を受けない宇宙望遠鏡の必要性を早くから訴え続けた。
Orbiting Astronomical Observatories( OAO )、International Ultraviolet Explorer( IUE )、Cosmic Background Explorer( COBE )など、多くの宇宙科学計画を支援し、その発展に貢献した。
最大の功績は、宇宙望遠鏡構想を科学界・NASA・政府機関へ働きかけ、長年にわたり計画を推進したことである。
1960年代から構想を支え続け、1977年にアメリカ議会が予算を承認したことで、大型宇宙望遠鏡計画は本格的に動き始めた。
ローマン 自身は1979年に NASA を退職したが、その後もコンサルタントとして計画を支援し続けた。
Legacy
1990年、ハッブル宇宙望遠鏡は打ち上げられた。
その成功は、一人の研究者だけではなく、多くの科学者・技術者・行政機関による長年の積み重ねによって実現したものであり、ローマン はその中心で計画を支え続けた人物として広く認識されている。
この功績から、彼女は現在でも「 Mother of Hubble 」と呼ばれている。
Historical Significance
2018年に ローマン は93歳で亡くなった。
その功績をたたえ、NASA の次世代赤外線宇宙望遠鏡は、Nancy Grace Roman Space Telescope と命名された。


この望遠鏡は、ダークエネルギー、ダークマター、系外惑星など宇宙の重要課題を探ることを目的としており、ローマン が切り開いた宇宙天文学の流れを受け継いでいる。
ナンシー・グレース・ローマン が残した最大の功績は、一台の望遠鏡を完成させたことではない。
宇宙を観測するという新しい時代への道筋を築き、未来の宇宙科学を支える基盤を形にしたことである。


