MVP ARCHIVE SCIENCE | Astronomy : Hubble / ハッブルと宇宙望遠鏡


ハッブルと宇宙望遠鏡
1990年4月24日。
スペースシャトル・ディスカバリーによって、一台の望遠鏡が宇宙へ運ばれた。それがハッブル宇宙望遠鏡である。
ハッブル宇宙望遠鏡は、天文学者エドウィン・ハッブル にちなんで名付けられた。
彼は「 宇宙は思っていたより遥かに広い 」という事実を示した人物だった。そしてその名を受け継いだ望遠鏡もまた、人類の宇宙観を大きく広げることになる。
仕様
全長約13メートル。重さ約11トン。
主鏡( メインミラー )直径約2.4m。
天体写真撮影に向いたリッチー・クレチアン式反射望遠鏡という方式。
太陽電池パネルで太陽光発電を行いながら、ほぼ一点を見続けられる高精度な姿勢制御を行う。
遠く暗い天体を長時間観測するためには、わずかな揺れも許されない。
この姿勢制御こそが、ハッブルの能力を最大限発揮するための重要なポイントである。
最大の利点
地球上空およそ540km付近を周回しながら観測を続けている。
ハッブルの最大の利点は、「 宇宙に置かれたこと 」。
私たちは普段、地球の大気を通して宇宙を見ている。
大気という壁
しかし観測という視点では、大気は巨大なノイズでもある。
光は揺らぎ、ぼやけ、一部の波長は地表まで届かない。
どれほど巨大な望遠鏡を地上に建設しても、最後には大気という壁にぶつかる。
そこで大気の影響を受けない方法が考えられた。
それならば望遠鏡そのものを宇宙へ持っていけばいい。
ハッブルは、人類が本格的に地球という窓ガラスの外から宇宙を観測する時代を切り開いた宇宙望遠鏡だった。
性能を発揮させる修理ミッション
ただし打ち上げ直後、ハッブルは失敗作と呼ばれた。主鏡にわずかな加工誤差が見つかったのである。誤差は髪の毛の太さよりも遥かに小さい。
しかし宇宙観測においては致命的、撮影された画像は期待したほど鮮明ではなかった。
だが1993年、スペースシャトルによる修理ミッションが行われる。
宇宙飛行士たちは軌道上でハッブルを修理した。
その後、ハッブルは本来の性能を発揮し始める。
この時点ではまだ誰も知らなかった。
この望遠鏡が、その後数十年にわたり人類の宇宙観そのものを変えることになることを。
宇宙は変わらない。
変わるのは、私たちが見える範囲である。

