英語は音から|弱くなる音のしくみ、リダクションを知る|Humpty Dumpty|#05
「カタカナ英語」に圧倒的に足りないもの、それはリダクションです。
英語は、弱くなる音があることで、強い音とのメリハリが生まれ、英語らしいリズムになります。
英語は、知識として覚える前に、まず音として捉えて身につけたいものです。そのためには、英語音声を聞く習慣が必要です。でも、小学生が「英語漬け」になるのはあまり現実的ではありません。
だからこそ、ただ聞き流すのではなく、どこに意識を向けて聞くかが大切になります。
リダクションは、そのときに最初に意識したいポイントの一つです。
超シンプル英語習慣『Sounds to Stories メソッド』のMinnieです。
前回(#04)は、ライムを使って、英語の強弱リズムについて考えました。
今回は、同じくライムを使いながら、そのリズムを支えているしくみであるリダクション(音が弱くなる現象)を見ていきます。
今回のライム|Humpty Dumpty
今回は「Humpty Dumpty」のライムを使います。
Humpty Dumptyは、英語のナーサリーライムの中でも特によく知られているものの一つです。
中学1年生の英語教科書、New Crown English Series 1(三省堂)にも載っています。
まずは音声を聞いてみましょう。
ここでは、Wee Sing(アメリカで50年近く続くロングセラーの子どもの歌シリーズ)の「Humpty Dumpty」をご紹介します。
Humpty Dumpty sat on a wall.
Humpty Dumpty had a great fall.
All the King’s horses
And all the King’s men
Couldn’t put Humpty together again.
ここで、文字を見て「むずかしそう…」とあきらめないでください。
中学の英語教科書では、最初の2行だけ掲載されていました。
この記事でも、最初の2行だけ使います。
知らない単語があっても、文法が分からなくても、気にしなくて大丈夫です。(気にしていては、ずっと「教材英語」から抜け出せません)
最初から全部を理解して、全部を正確に読もうとしなくていいのです。
これは「音」あそびです。
意味より先に、音が強いところ、弱いところに注目しながら、リズムを感じてみましょう。
しくみ|弱くなる音(リダクション)
文の中に「強い部分」と「弱い部分」がある
前回は、単語のアクセント(単語の中の強い部分、word stress)について学びました。
今回は、文のアクセント(文の中の強い部分、sentence stress)です。
単語が並んで文になったとき、すべての単語が強くなるわけではありません。
文の中にも、強い部分と弱い部分ができます。
大事な意味を持つ語は強く、それ以外の語は弱く発せられます。
この強い部分と弱い部分の差が、前回見た英語の強弱リズムを作っています。
どの単語が強くなる?
では、文の中で、どんな語が強くなるのでしょうか。
強くなりやすいのは、意味の中心になる語(内容語、content words)です。
たとえば、
人や物の名前(例:potato, wall, fall)
動作を表す語(sat, had)
様子を表す語(形容詞・副詞)
数を表す語(one, two)
新しい情報
などです。
一方で、
a / the
is / are
on / to / of / for
and / but
you / he / she
のような語(機能語、function words / grammar words)は、文を組み立てるうえでは大切ですが、それだけでは意味の中心にはなりにくいため、弱くなることが多いです。
つまり、英語では、意味を運ぶ語は強く、文をつなぐ語は弱くなりやすいのです。
これは、英語の聞き取りでも、音読でも、会話でも、必要になる感覚です。
弱い音はどう発音する?リダクションについて
英語で、アクセントのつかない音は、
弱めに
短めに
速めに
あいまいに
発音されます。
今回の「Humpty Dumpty」で見てみましょう。
DAH da|DAH da|DAH da da|DA|
Humpty|Dumpty|sat on a|wall.|
👏 |👏 |👏 |👏 |
Humpty|Dumpty|had a great|wall.|
👏 |👏 |👏 |👏 |
強いところで手を叩く👏と、だいたい同じ間隔になります。
(絶対に等しくなるということではなく、だいたい同じ間隔にすると、収まりがよくなる、という感じです)
Humpty
DAH da ( 2シラブル = 👏 1ビート )
sat on a
DAH da da( 3シラブル = 👏 1ビート )
ここで、「Humpty(2シラブル)」と「sat on a(3シラブル)」は、どちらもほぼ同じ1ビート分の長さに収まります。
つまり、「3つの音(シラブル)」を「2つの音(シラブル)」とほぼ同じ時間に入れるので、結果として、「sat on a」は、「Humpty」に比べると、速く、弱く、あいまいな発音になります。
これが、拍の中に、弱い音が収まるように変化する現象、リダクション(reduction、弱化)です。
英語がところどころ聞こえないと感じるとしたら、それは、弱い音まで同じ強さで聞こうとしているのかもしれません。
カタカナ英語では、こうした弱い音も一つずつはっきり発せられるため、英語らしい流れが出にくくなります。
強弱リズムのビートの感覚をもって英語を聞くと、弱い部分も捉えやすくなります。
リダクションで変わる音|母音のあいまい化
リダクションが起こると、音の聞こえ方が変わることがあります。
前回のライム「One Potato Two Potato」では、アクセントのつかないところの母音があいまいになります。
potato
puh-TAY-toh → puh-TAY-tə
toh → tə(あいまい化)
seven
SEV-en → SEV-ən
en → ən(あいまい化)
アクセントのないシラブルの母音 → 弱くあいまいに
このように、アクセントのないシラブルの母音は、弱くあいまいになりやすいです。
英語が聞こえにくいときは、元のはっきりした音を聞こうとしているのかもしれません。これも、強弱リズムの中で聞くと捉えやすくなります。
リダクションで変わる音(応用編):アメリカ英語のフラップT
こちは応用編です。
リダクションが起こると、弱い語は短くなるだけでなく、音そのものが変わることがあります。
そのため、文字を見て覚えた形と、実際に聞こえる形が一致しなくなります。
アメリカ英語では、弱い位置にある t の音が、軽いd(soft d)のような音に変わることがあります。これを「フラップT」といいます。
たとえば、以下の2つです。
potato
puh-TAY-toh → puh-TAY-tə → puh-TAY-də
toh → tə(リダクション) → də(フラップT)
sat on a wall
SA-ton-a WAwl → SA-də-nə WAwl
ton-a → tə-nə(リダクション) → də-nə(フラップT)
こうした変化も、リズムよく、なめらかに話すために起きる現象です。
(t の音は、ベロの先を、上前歯の裏にしっかりつける必要がありますが、これをしっかりつけずに、軽く当たるだけにすると、d や l の音に近づきます。この「動きを省略する感覚」を持つと、他の場面でも自然にできるようになっていきます。)
音声変化にはいくつかの種類がありますが、ライムを声に出したり、文章の音読を続けていると、出会ったものから身についていきます。
少しずつ慣れていけば、難しいものではありません。
まとめ|「弱くする」ことで英語らしく
英語らしい音を身につけるには、強い音だけでなく、弱くなる音にも気づくことが大切です。
今回のポイント
・英語の文には、強い語と弱い語があります。
・意味の中心になる語(内容語)がリズムの柱になります。
・それ以外(機能語)は、短く・速く・あいまいに発音されます(リダクション)。
・強い音の間に、弱い音が収まることで、英語の流れが生まれます。
こうした音のしくみが見えてくると、英語をまとまりで聞きやすくなり、自然で英語らしい発音にもつながっていきます。
英語らしさの決め手は、個々の音の正しさだけではありません。
英語のリズムがあるからこそ、英語は英語らしく聞こえます。
次回は、英語らしい話し方の仕上げになるイントネーションについて考えます。
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