【不動産屋が気になる】不動産関連ニュース ~【週報】日銀6月利上げと不動産株の地殻変動。市場のパニックを紐解く「金利と賃料」の均衡点~
想定はしておりましたが、日銀は次回の金融政策決定会合で利上げを決める方針です。
6/9 14:47 の記事>
利上げの方針:半年ぶりの利上げであり、1.0%という水準は31年ぶりの高さ。
背景: 中東情勢による原油高や円安などを通じた「物価の上振れリスク」への予防的な対応が主な理由。
国債買い入れの扱い: これまで進めてきた四半期ごとの国債買い入れ減額措置については、市場の安定化を図るため、2027年4月以降に停止する方向。
そもそも日銀が引上げる金利とは?は以前取り上げました。
歴史的に低金利政策を続けていた日本ですが、足元ではいよいよインフレ圧力の強まりが無視できなくなってきました。
6/9 7:30の記事>
追加利上げの観測: インフレ圧力の高まりにより、次の利上げも年内(10月や12月)に実施されるとの見方が増えている。
ビハインド・ザ・カーブへの警戒: 日銀の政策対応が後手に回り、インフレが悪化してしまうリスク(ビハインド・ザ・カーブ)が債券市場で意識されている。
ターミナルレートの上昇: 最終的な政策金利の到達点(ターミナルレート)の予想も、1.50%から最大2.00%程度へと切り上がっている。
資金需要は堅調: 金利が上昇している中でも、M&Aや不動産関連などの企業による資金需要(銀行の貸出残高)は堅調に推移。
市場の予測を上回るペースで、日銀の金融政策が「正常化(利上げ)」へと焦り始めています。当然、金利が上昇すれば、我々不動産業界にとってはダイレクトに調達金利(コスト)の上昇を意味します。
株式市場は、このコスト増を一足早く「恐怖」として織り込みに行きました。
6/8 14:41の記事>
不動産株の下落: 6月8日の株式市場において、三井不動産や住友不動産といった大手不動産会社の株価が年初来安値を更新。
金利上昇の直撃: 不動産業界にとって金利上昇は「利払い負担の増加」に直結するため、市場から強く警戒されている。
好業績の織り込み済み: 不動産業界全体の業績自体は悪くないものの、市場がすでに好業績を織り込んで株を買っていたところに、金利上昇という明確な悪材料が重なったことで、売り圧力が強まった。
これまで「インフレにも勝てる不動産関連事業」として賃貸事業(貸しビル業や大家業)が注目され、分譲価格や家賃の上昇を背景に大手不動産の株価は右肩上がりを続けてきました。しかし、「そこで得られる利ザヤ(イールドギャップ)を食い尽くすほどの勢いで金利が上がるのでは?」という危機感から、大手不動産株やREIT指数に調整が入っています。
ですが、ここで少し視野を広げてみましょう。 米国では、10年債金利が4.5%/年を超えているにも関わらず、NYダウなどの株価は歴史的な好調を維持しています。なぜなら、調達コスト(金利)が高くても、それを上回る企業の「利益率」と「利益成長性」があるため、投資家が将来の業績に期待して買い続けているからです。
日本の不動産業も全く同じではないでしょうか。 これまでのコラムでも触れてきた通り、都心のオフィスやレジデンスの「賃料の伸び」は極めて堅調です。 市場は「金利上昇=不動産の収益悪化」というあまりにも単純なネガティブ・ストーリーで売りを浴びせていますが、実務の現場を知る身からすれば、それは一面的すぎると感じます。
これからの時代、将来の成長性は「エリア」や「物件の付加価値(セットアップオフィスやコミュニティ型レジデンスなど)」によって、二極化が激しく進むと考えられます。 単にハコを転売して利ザヤを稼ぐだけの業者は金利の波に呑まれるかもしれませんが、インフレの波を捉えて賃料をコントロールできる「稼げるアセット」を持つ企業は、金利上昇を遥かに超えるスピードで利益を伸ばしていくはずです。
市場の過剰な恐怖に対して、現場のリアルな「賃料の転嫁力(成長性)」でしっぺ返しを喰らわせる。そんな強い仕組みを持つ企業から順に、ここからの「選別相場」で株価を再び跳ね上げていくのではないかと、ワクワクしながらマーケットを注視しています。
気になるニュースがあれば取り上げます。
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