神デス-腐敗51 #04 社長のお願い(職場篇)
◆セロニック Seronic=self (自己) + ironic(滑稽さ・皮肉)
俺の造語だ。
セロニック――絶望を、皮肉と笑いに変える発酵菌だ。
セロニックとは、怒りや恥や後悔を、滑稽さとともに時間と熱で熟成させ、
やがて笑いと諦観の香りを放つ“人間の納豆”へと変えていく心の酵母。
この記録は、実話として綴られた皮肉な発酵過程の観察日誌。
名を──「神のデスギフト腐敗51」。
◆社長のお願い(職場篇)
社長はパソコンを使えない。
全て手書きだ。
カシャカシャカシャ
社長からグジャグジャの汚い紙が渡された。
社長「それワープロで作り直しておけ」
俺「いつまでに・・・」
社長「今すぐだ」
社長はものすごく短気で恐ろしい。
ガッツ満点で石に松が生えたようなオヤジだ。
俺はやる事にした。
が唖然とした。
心「平安時代の蒔絵のように達筆で解読できない」
ただのミミズを干物にした様な字だった。
何回も怖い社長に聞いて清書した。
心「そんなに文句ゆうならワープロ覚えろよ、とっつぁん!」
とは言えず淡々と指を動かした。
なんの面白みのない定型分の雛形が出来上がった。
また無駄な時間と冷や汗をかいた。
俺は日の当たらない換気扇の下に歩き、吐き出される空気に自分を重ねた。
——俺も、社長の口から出たガスの一部だった。
◆次回予告
腐敗.05 新しい朝(職場篇)
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